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町山智浩、映画『スティーブ・ジョブズ』はジョブズをリア王になぞらえ解釈していると指摘「娘を拒絶したジョブズ」

2015.10.28 (Wed)
2015年10月27日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『たまむすび』(毎週月-金 13:00-15:30)にて、映画評論家の町山智浩が出演し、映画『スティーブ・ジョブズ』でのスティーブ・ジョブズの解釈について解説を行っていた。

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町山智浩:Macを発売して、「コンピューターの歴史を変える」っていう、その直前、Macを動かした時に、「みなさん、こんにちは。私は、マッキントッシュです」って、自己紹介を音声でコンピューターにさせようとしたんですね。

赤江珠緒:はい。

町山智浩:そうしたら、それが動かないことが分かって。もう、怒鳴り散らすわけですよ。

赤江珠緒:そりゃあそうですよ。世紀の発表みたいに、大々的にやるわけですからね。

町山智浩:そうなんですよ。「これで俺は、革命を起こすのに!テメェら、何やってんだバカ野郎!」みたいなことを言って。大暴れしてるんですね(笑)

赤江珠緒:へぇ。

町山智浩:「この人、ヤベェな。面倒くせぇ人だな」みたいなところが、最初に出てくるんですけど。ステージが始まる直前、その楽屋に小さい、5歳くらいの女の子が来るんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:女の子を連れて来た人が、「あなたの娘のリサよ」って言うんですね。

赤江珠緒:そんなドタバタしてる時に?

町山智浩:スティーブ・ジョブズさんは、高校時代に付き合っていた女性と同棲してて、そこで子供を作っているんですけど。それがリサっていう女の子なんですね。ところが、彼は自分の娘だって認めなかったんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:何度も、何度もそのお母さんが連れてきて。「養育費、払ってよ」みたいなことをやってるんですけど。それで、DNA鑑定で、父親だって認定されたのに、それでも拒否し続けたんですよ。

赤江珠緒:それはヒドイじゃないですか。

町山智浩:ヒドイんですよ。今回の映画は、「どうしてそんな人なのか?」っていうのをある種、軸としてるんですね。「何故、彼は自分の娘を父親として引き受けなかったのか。それが、彼自身の暴君的な性格の根本になっているのではないか」っていう風に、推察していく映画なんですよ。

赤江珠緒:はい。

町山智浩:だって、どう考えてもおかしいわけですよ。DNA鑑定で、娘と分かっている上、母親と同棲してたんですよ。どう考えても自分の娘なのに、「ふざけるな!何しに来たんだ。そんなの、俺の子じゃねぇ!」とか言ってるんですよ、子供の目の前で。

赤江珠緒:はい。

町山智浩:ヒドイんですよ…そこで、この娘が9~10才ぐらいになって、また楽屋に訪ねてくるんです。この時、1988年のNeXTっていう、教育用のワークステーションで。学校とかに納品するためのコンピューターシステムを、彼は考えて。それを売り出して、その発表会の楽屋にまた、10才ぐらいになった娘が来るんですね。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:でも、それをまた拒否するんですよ。ジョブズは、「出て行け!」みたいな感じで。

赤江珠緒:うわぁ…ちょっと、人でなしだな。

町山智浩:結構、人でなしなんですよ。

山里亮太:イメージ、違うなぁ。

町山智浩:ただね、その娘に「出て行け!」って言っている時、後ろでかかっている曲が、ボブ・ディランの『血の轍』というアルバムの『朝に会おう』で。その曲が、ラジオから流れているんですね、娘とのシーンで。

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赤江珠緒:はい。

町山智浩:この『血の轍』っていうアルバムは、ボブ・ディランにとって強烈なアルバムなんですよ。これは、アルバム1枚丸ごと、別居していた奥さんに対して歌われた歌だけが入っているんです。

赤江珠緒:えっ?

町山智浩:ボブ・ディランはこの頃、奥さんと別居してたんですね。奥さんとの間には、もう4人子供がいたんですけど。それで、結婚してから10年ぐらい経っているんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:でもね、ボブ・ディランも人の子なんで。やらかしまして。奥さんと別居してたんですけど、その時にアルバム1枚。9曲ぐらいある歌を全部、「君と会えなくて寂しい」「辛いんだ」っていう歌ばっかりなんですよ。あとは、夫婦喧嘩の歌とか。

赤江珠緒:『血の轍』って、そうやって聞くと。

町山智浩:タイトル通りの内容なんです。それを、その娘を拒絶するシーンで流しているっていうのは、凄く意味があって。「本当は、娘を引き受けたい」っていう、スティーブ・ジョブズの内面みたいなものを意味してるんですね。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:「家族の元に戻りたい」っていう歌なんで。そういう、凄く不思議な使い方をしていますね。

赤江珠緒:はい。

町山智浩:…曲が、バックに流れているところが上手くてね。スティーブ・ジョブズと、重なりあう不思議な映画でしたね。最後にね、非常に泣かせて。『嵐からの隠れ場所』っていう曲が流れるんですけど、「君は、僕に嵐からの隠れ家をくれるんだ」っていう歌なんですけど。「2人の間には、壁があったんだ」みたいな、娘との関係みたいなものにも聴こえるっていう曲なんですね。

赤江珠緒:へぇ。

町山智浩:こんなヒドイ人ですが、映画ですから、最後は良い感じになります。

赤江珠緒:ああ、そうですか。

町山智浩:ただ、「実際のスティーブ・ジョブズと違う」ってことで、物凄く批判されているんですけど。多分、これはシナリオを書いたアーロン・ソーキンっていう人が、スティーブ・ジョブズを、シェイクスピアの『リア王』にたとえたんですね。

赤江珠緒:ほう。

町山智浩:シェイクスピアの『リア王』っていうのは、末娘を勘当しちゃうんですよ。「生意気だ」って。本当は、良い娘だったのに。それで、最後に「実は、一番自分のことを想っていた娘なんだ」ってことが分かって、和解するっていう話なんですね。

赤江珠緒:なるほど。

町山智浩:だから、「これはスティーブ・ジョブズを、リア王に当てはめたシェイクスピア的な解釈をしているんだな」って思いましたけどね。

赤江珠緒:そうですか。スティーブ・ジョブズさんの見方が変わりますね、これはね。

町山智浩:これを観ると、変わりますよ。結構ダメ人間ですね、はい。

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タグ : 町山智浩,スティーブ・ジョブズ,

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