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諫山創、『進撃の巨人』の実写化に際してエレンのキャラクター変更を希望していた「巨人に恐怖する普通の青年に」

2015.07.21 (Tue)
2015年7月21日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『たまむすび』(毎週月-金 13:00 - 15:30)にて、映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の脚本を担当した映画評論家・町山智浩が、原作者である諫山創が自ら、「主人公であるエレン・イェーガーのキャラクターを、映画では原作と異なるものにして欲しい」と希望していたと明かした。

小説 映画 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』 (KCデラックス)

町山智浩:この作品で、一番大きな変更点はですね、原作者の諫山(創)さんから来た要請だったんですよ。

赤江珠緒:はい。

町山智浩:「主人公・エレンのキャラクターを変えてくれ」という依頼だったんですよ。

山里亮太:はい、そうですね。

町山智浩:原作のエレンっていうのは、もう全く恐れというものがない。猪突猛進で、とにかく巨人を倒すこと以外、何も考えていない少年なんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:諫山さん曰く「いかにも、少年マンガのヒーローとして完成したものだった」と。ただ、諫山さん自身は会議の時に「感情移入できない」って言ったんですよ。

赤江珠緒:ご本人が?

町山智浩:ええ。それで、「もし映画化するんだったら、エレンを非常にリアルな、巨人を見ると、恐怖で身動きもできなくなっちゃうような青年として描いてください」という要望があったんですよ。

赤江珠緒:へぇ。

町山智浩:これ、炎上する可能性があるんですよ、凄く。

赤江珠緒:うわぁ(笑)

山里亮太:たしかに、エレンにちょっと、ダメな要素も入っちゃってるの。

町山智浩:主人公の設定を変更してるんですよ。

赤江珠緒:根本的な部分ですもんね。

町山智浩:根本的な部分だから、これ、全部書き直しになったんですけど。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:原作のエレンが、「なぜ巨人を恐れないか?」っていうと、小学生の頃に、殺人を経験しているからなんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:原作では、幼い頃に、ミカサっていう女の子を救うため、悪いヤツを刺し殺してるんです。この2人は、幼い頃に殺人を経験した、一種の共犯関係で結ばれている形なんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:だから、巨人どころじゃないですよね。子供の頃に人を殺しちゃったらね。ミカサは、自分を救ってくれて罪を背負ってくれたエレンのためだったら、人でも平気で殺すような…まあ、守護天使なんだけど、ちょっと怖い守護天使。殺戮の天使みたいなキャラクターなんですよ。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:ただ、この話で主人公・エレンが、物語が始まった時に普通の人だったってことにしちゃうと、この殺人をした過去も、消さなきゃならなくなっちゃうんですよ。そうなると、ミカサとエレンの関係っていうものは、そんなに強い絆じゃなくなっちゃうんですよ。

赤江珠緒:そうかぁ。

山里亮太:青春の惚れた腫れたぐらいの関係性ですね。

町山智浩:この映画では、ただの幼なじみですよね。しかも2人とも、罪を背負ってないから非常にイノセントな、『エデンの園』のアダムとイヴみたいなもんですよ。だから、これにはね、原作ファンは激怒するだろうな、と。

山里亮太:いや、まあたしかに驚きましたね。「あれっ…ミカサが?あれ…?」っていう(笑)

町山智浩:そうなんですよ。とにかく2人とも、イノセントに始まるんですけども。そこから、大変なことになっていくという話になりましたね。

赤江珠緒:へぇ。

町山智浩:だからこれね、諫山さんの要望は、「キツイなぁ」と僕は思ったんですけど。でも、そこから組み立て直してみると、諫山さんの要望は「凄いな」と思いましたね。

赤江珠緒:ああ、そうですか。

町山智浩:ご覧になったら分かると思うんですけど、物凄く厳しくてきついドラマになっているでしょ?

山里亮太:はい。エレン、超ツライです。

町山智浩:原作では、主人公は絶対に負けない男だし、挫けない男。彼女の方は、それを命がけで守る女の子だから。どんな地獄状況にあっても、それがセーフティーネットになってる。

赤江珠緒:うん。

町山智浩:そのセーフティーネットがあることで、読者は安心するんですよ。でも、この設定にすると、それも覆されちゃうし、守ってくれる天使である、ミカサすら奪っちゃうんです。

赤江珠緒:そうかぁ。

山里亮太:エレンは本当に、どの作品よりも地獄だと思う。

町山智浩:地獄なんですよ。今回、エレンは物凄い罪を背負って。その後が大変なんですよね。地獄の巨人との戦いに入っていくわけですけど、彼は1回、罪を背負っちゃったから、後はもう自分を罰するかのように死に急いで。自分からどんどん危険に飛び込んで行くんですよね。

赤江珠緒:ほう。

町山智浩:本当に、死に急ぎ野郎になっていくんですよ。だから、普通の青年が地獄を経験して、その贖罪を求めて、地獄を巡っていくという恐ろしいドラマになったんですよ。

赤江珠緒:ちょっとまた、違うドラマが見えてきましたね。

町山智浩:最初は、アダムとイヴだったんですよ。それが地獄に落ちるんですよ。

山里亮太:そう、エレンが悲惨よ。

町山智浩:諫山さんって、凄いなと思って。普通、漫画家の人って自分が創りだしたヒーローって、大事にするじゃないですか。それにあえて重い枷をはめて、地獄に突き落としたんですよ。

赤江珠緒:いや、それでも町山さん大変でしたね。

町山智浩:「これは重くて深いわ…諫山、恐るべし!」って思いましたね。

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タグ : 進撃の巨人,諫山創,町山智浩,

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