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伊集院光、将棋の人工頭脳ソフトPonanza開発者・山本一成氏に聞いた「将棋の思考プログラムの原理」

2015.01.13 (Tue)
2015年1月12日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』(毎週月 25:00 - 27:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、コンピュータ将棋ソフトウェア・Ponanza(ポナンザ)の開発者である山本一成氏と会い、将棋の思考プログラムがどのように作られているのか、その原理について説明を受けたと語っていた。

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ファミ通と僕 2000-2002 (ファミ通BOOKS)

伊集院光:お正月休みにダラダラしててもしょうがないなって思って、人と会おうと思って。去年、あんまり人と会わなかったから、プライベートで人と会おうと思って。

以前から興味あって、番組でちょっと共演したりしてたから、連絡先は知ってるけど、連絡するのは敷居高いなって人に連絡してみて。「ご飯食べに行きませんか?」って誘ってみて。

去年もこの番組で話した、将棋のコンピュータで羽生名人に勝ちたいって言ってる、Ponanza(ポナンザ)っていう将棋のソフトを作ってる山本一成さんって人。この人とメシを食いに行こうって思って。その時たまたまオテンキ・のGOくんと一緒に遊んでて。夜はPonanzaを作った山本さんと会うことになってて。

最近、パソコン同士の対戦で負けちゃったりして、スランプだったりするって話もしてたんですけど…俺の中で凄い強い将棋の人工知能のソフトを作ってるうちの1人の山本さんと、オテンキのGOと、俺と、3人でメシを食うことになって。

自分よりも優れた人ばかりだった環境

スゲェなって思ったのは、あの人、東大を出ててコンピュータのことをやってるんだけど、「元々、どういう経緯でこういうことを始めたんですか?」って話を聞いたら、「まず自分の周りに凄い頭の良い友達がいっぱいいて、自分はその中で一番バカで。凄い自分はバカだと思ってた」と(笑)

「頭の良い人たちが、凄いレベルの高い学校を受ける受験勉強をしてる時に、俺も置いていかれちゃいけないって思って、勉強している内に東大に受かった」らしいの。俺からしてみたら東大出てるだけで勝ち、みたいなところあるんだけど。もうずっと謙虚なの。

喋ってて分かるんだけど、めちゃめちゃ謙虚な人なの。「自分はバカなんだ」って意識でずっと育ってるから。それに対して、横からGOが「分かります、分かります」って(笑)違う違う、お前の本物のバカのヤツとは全然違うからって。お前の言ってるヤツと、山本さんの言ってる「自分のことをバカだと思ってるから、全然人に訊くのとか大丈夫だし…」みたいな話で、GOの大きな相槌はちょっと待て、っていう感じなわけ。

GOは、学校の頃から柔道をやってて、名門校に柔道で誘われていくから、アイツはその中では強くないわけですよ。下級生で、上級生と組まされてるから。でも、気がついたら東京都の代表になるくらい柔道が強くなってた…って方のたとえなら分かるけど、「バカだと思ってた」をストレートに捉えちゃってるくらいバカだからって(笑)それはちょっと鬱陶しかったんですけど。

Ponanza(ポナンザ)の開発のきっかけ

それで、将棋はずっと好きだったんだって。東大に入った時に、ある意味、周りの人たちに負けないように頑張ってたにも関わらず、東大に入っちゃってるから。燃え尽きというか、「さて、どうしよう」みたいな感じになって。

「ここからは、自分の不得意なことをやろう」と。自分の不得意なことがパソコンだったから、パソコンを始めるんだって。それで多分、あの人は29とか30なんだよ。ってことは、10年でってことだよね。10年で、日本最高峰…将棋だから、世界最高峰で良いのかな。そのプログラムを作ってるってことだよね。そういう凄い謎な人なわけ。

将棋の人工頭脳プログラムとは

人工知能というか、将棋のプログラム、将棋の思考プログラムってどういうものか、イマイチ分からなくて。俺はマイコン世代で、BASICをやったとか、それくらいしかパソコンが分からなくて。パソコンのことに興味はある方だけど、分からないから。

どういうプログラムで解析をして、将棋の対戦プログラムができてるのか、どういう考え方をしてるのか分からないから、説明して欲しいって話になって。こっから先、GOくんが口を開くことは一切なかったです(笑)

将棋の場合は、オセロみたいに「最初に置ける場所が4ヶ所あって、4パターンある。その先におけるところが、さらに4ヶ所あるから、16パターン。さらに4ヶ所あって…」みたいなことでは、将棋は全然追いつかないんだって。その選択肢は広すぎて、将棋はそのパターンで解析することはできないから、その中から、可能性のあるところだけを計算する、みたいなことをするらしくって。

将棋盤の状況をコンピュータが見た時に、今、自分がどれくらい良い感じなのかを判断するっていうプログラムがあって。それに、「この一手を打つと、今350点の局面が、400点になる」ってことをどんどんやってくんだって。

その(点数を決める)条件があって。「自分の王将の周りに、味方の駒はいっぱいあった方が点が高い」「相手の王将の周りに駒があまりない方が点が高い」「飛車を自分で持ってる方が点が高い」「相手の飛車を手駒として持ってる方が点が高い」みたいな、細かい条件が決められてて。

「今、俺が一歩家から踏み出した時点で、2 Km先野ウンコを踏むかどうか」っていうことに関して、1歩歩くごとに、点が高くなっていってるっていう。最終的に、ウンコの上、3 cmくらいのところまでに靴が下りてきてる段階では、ほぼ100%勝ちですよ、みたいな。

途中で、どういうステップを踏むと、よりウンコを踏めるか、みたいな(笑)相手のあることだから、よろけると点数が下がったりするんだけど、毎回、毎回、計算しては最善手と考えられるものを打っていく、みたいなプログラムを作ってるらしくって。

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タグ : 伊集院光,山本一成,Ponanza,将棋,人工知能,

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