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池上彰、安倍首相の『戦後レジームからの脱却』という抽象的な言葉の背景を解説「アメリカからの警戒感・トラブル回避」

2014.12.04 (Thu)
2014年12月3日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『荻上チキ・Session-22』(毎週月 - 木 22:00 - 24:55)にて、ジャーナリストの池上彰が出演し、安倍晋三首相の「戦後レジームからの脱却」という言葉の背景に、どのようなことがあるのかということを解説していた。

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リスナーメール:安倍総理は、「戦後レジームの脱却」とよく言っていますが、その「レジーム」という意味がよく分かりません。安倍さんの言う「戦後レジーム」とは、どんなものなんでしょうか?

荻上チキ:こういう質問は、池上さん得意分野って感じですよね。

池上彰:いやいや(笑)…だから、なんで「レジーム」というカタカナ言葉を使うのかな、と。日本のことが好きだったら、もっと大和言葉で言ったら良いんじゃないか、あるいは日本語で言った方が良いんじゃないか、と。

荻上チキ:ああ。

池上彰:「戦後体制からの脱却」って言うと、「戦後体制ってなんだ?」ってことになるでしょ?

荻上チキ:ええ。

池上彰:「戦後レジームからの脱却」って言うと、イメージとしては、アメリカによって日本が負けて、GHQによって色んなことが押し付けられた。憲法が押し付けられた、あるいは東京裁判により、A級戦犯が、アメリカから押し付けられた。…そういうやり方ではなく、日本は日本の独自の道を進みたいという、多分、そういうことを「戦後レジームからの脱却」という言い方にしているんでしょうね。

荻上チキ:はい。

池上彰:A級戦犯や東京裁判が行われた、その結果に大変不満をお持ちなんだろうと思うんですね。でも、その一方で、ポツダム宣言を受諾した時には、その戦犯を追求するよってことも含めて、それを承諾して日本は、ポツダム宣言を受諾してしまったわけですよね。

荻上チキ:うん。

池上彰:それで、アメリカに占領されてしまった中で、新しい体制が出来たというと、「そこからの脱却」ってことになると、アメリカから見ると「アメリカ側が作ってきた戦後の日本の姿から、全く違うものにしようとしているのか」ということになって、アメリカからの警戒感を持たれているだろうと思うんですよね。

荻上チキ:うん。

池上彰:その時に、「戦後レジーム」という凄く抽象的な言い方をすることによって、漠然としたことになって、トラブルを防ぐための言葉として使ってるかなって気がしますね。

荻上チキ:うん。

池上彰:「戦後レジームからの脱却ってなんですか?」という素朴な質問をして、それに分かりやすく答えていこうとすると、アメリカを実際に怒らせることがいっぱい出てくるんじゃないか、と。

荻上チキ:うん。

池上彰:そこであえて、難しい言葉を使っているのかな、と私には見えますけどね。

荻上チキ:これはやはり、玉虫色の回答をしやすい単語ではありますね。たとえば、戦後の良いところを残し、ダメなところは改善する、くらいのニュアンスでしか言えていない言葉で。だけど、それ以上突っ込んで行くと、アメリカから離れたいのか…それ自体、一つの戦略かもしれない。だけど、それだけの意味ではなくて、アメリカからGHQなどを日本に設置して、という以降の出来事は何故起こったのかといえば、第二次世界大戦が起きたから。

池上彰:うん。

荻上チキ:となると、第二次世界大戦のような状況のような日本を取り戻すってところ、本当のところで思っているんじゃないかという疑念が、海外メディアの報道を見たりすると、「ナショナリスト」などの単語を使って報じる。その背景には、脱却する=戦前に戻るってことなんじゃないかって疑念があったりする、と。

池上彰:うん。

荻上チキ:アメリカからすると、「脱アメリカなのか」とも見えるけど、一方で、他の国から見ると、「あの時代のジャパンなのか?」って見方もされてしまうわけdすよね。

池上彰:そういうことですよね。そういう意味も含めて、海外がそう思っているのは誤解なのか。

荻上チキ:はい。

池上彰:誤解だったら、それをキチンと払拭するような説明が求められているんだろう、ということですよね。

荻上チキ:その点、「河野談話、村山談話を継承する」ということを、公式には政権についてからは言い続けているっていうのは、その辺りに対するアンサーではある、と。

池上彰:そういうことですね。

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