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池上彰が語る、朝日新聞の慰安婦問題での誤報とコラム不掲載問題の裏側
2014.10.28 (Tue)
2014年10月26日放送のニッポン放送系のラジオ番組『土田晃之 日曜のへそ』(毎週日 12:00 - 14:00)にて、ジャーナリスト・池上彰がゲスト出演し、朝日新聞の慰安婦問題での誤報問題と、自身のコラム不掲載問題の裏側について語っていた。
池上彰の戦争を考える
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リスナーメール:池上彰さんにお聞きしたいのは、この夏に話題になった、朝日新聞の問題です。長い間、慰安婦問題について誤って報道していたとのことですが、いまいち中身が分かりません。池上さんの言葉で、今、この問題をどう捉えているのか、ぜひ教えてください。
池上彰:これは、朝日新聞が何を間違えたかがよく分からないという意味ですかね。
土田晃之:はい。
池上彰:日本が戦争中、慰安婦という人たちがいたわけでしょ。兵隊の性欲を満たすための女性たちというのがいたわけですよね。
土田晃之:はい。
池上彰:これは、日本人もいたし、あるいは朝鮮半島は当時、日本が統治していましたから、朝鮮人もそういう慰安婦になった人たちがいるわけですよね。
土田晃之:はい。
池上彰:そういう人たちの中に、無理やり慰安婦にされた人がいるのかどうか、というところがあって。たとえば、家が貧しいから、稼いで家に仕送りをしろ、と親に売られた人たちもいるわけです。
土田晃之:はい。
池上彰:あるいは、騙されて、そこに連れて行かれた人もいるわけですよね。
土田晃之:はい。
池上彰:その中で、「そういう嫌がる連中を強制的に狩りだして、慰安婦として使った。申し訳ないことをした」とお詫びをした人物がいるんです。これが、いわゆる吉田証言と言われるもので。「昔、私は申し訳ないことをしました。申し訳ありません」と言えば、最初はみんな、一瞬、信じたわけですよ。
土田晃之:はい。
池上彰:「自分は昔、とんでもないことをしました。みなさん、ごめんなさい」って普通は言わないでしょ。悪いことをやったと思えば、隠してるのが普通なのに、「ごめんなさい」と言った、勇気ある人だ、と色んな社が報じたわけです。
土田晃之:これは、朝日新聞だけじゃなかったんですか?
池上彰:当時は、他の新聞も書いてます。ですけども、「特に韓国の南の済州島でそういうことをやった」ということが報じられたことに対して、学者が「本当にあったのかな?」ということで聞き取り調査をしたら、そんなことは全くなかった、ということがあって、それを産経新聞が報じたわけですね。
土田晃之:そんなことはなかった、と。
池上彰:なかったという学者の調査がありました、ということを産経新聞が報道した。それで、その時、朝日新聞も「おや?」と思って確認をしようとしたら、その吉田という人が、取材に応じなかったんですよ。それまでは喋ってたのに。
土田晃之:ベラベラ喋ってたのに。
池上彰:どうも違うんじゃないのってなった途端、言わなくなった。
土田晃之:はい。
池上彰:本当は、そこの段階で、朝日新聞として「これは信用が失われた」とか、おかしいとかって、ちゃんとやっておけば良かった。だけど、その時に確認がとれないから、ということでそれ以上しなかったんですね。
土田晃之:ああ。
池上彰:その後、段々「アレは嘘だったよね」ということが、色んなところが報じるようになった後、朝日新聞が言ってみれば、どこかで訂正をするきっかけを失ってしまったみたいなことがあって。
土田晃之:はい。
池上彰:ずっと、口を閉じてたわけですね。それで、これをいつまでもやると、「おかしいんじゃないか」と。あるいは、韓国で慰安婦問題について、日本の責任を追求する、という時に、「日本人がそういうことをやったと言ってるじゃないか」ということになって、日本を叩く時に、それが使われているんじゃないか、ということになって、朝日新聞としても、ずっと知らん顔できなくなった。
土田晃之:はい。
池上彰:そういう意味では、今の社長が、「この際、全部、明らかにしましょう」と言って調べて、「たしかに、強制性があったという報道は間違いでした、訂正します」とやったんですね。
土田晃之:はい。
池上彰:それを見て、私としては「誤りを訂正をするということは良いことだけど、なんで32年間も訂正できなかったか、ということを検証する必要があったんじゃないか」と。
土田晃之:そうですね。
池上彰:あるいは、「間違いでした」という場合は、普通、ごめんなさいが付いてくるだろう、と。よくテレビやラジオだと、「お詫びして訂正します」って言いますね。
土田晃之:ああ。
池上彰:新聞の場合は、「訂正します」だけで、「お詫びします」が付いてこない場合が多いんですよ。
土田晃之:ああ。
池上彰:朝日新聞の場合も、「間違いであったと判明したため、訂正します」と書いたんですね。でも、私は「訂正するときは、普通、お詫びをした方が良いんじゃないの?」って連載コラムに書いたら、「掲載できない」って言われたんですね。
土田晃之:そういうことだったんですね。
池上彰:そういうことだったんですね。私としては、掲載するかどうかってことは、新聞社に編集権があることだから、それについて私はとやかく言わない、と。
土田晃之:うん。
池上彰:だけど、これまで私が書いたものは、皆、掲載してくれますよっていう信頼関係があったから書いてきたけど、信頼関係が失われたから、「この際、連載をやめます」と言ったんですね。
土田晃之:うん。
池上彰:そのまま海外取材に行ったら、朝日新聞の方の誰かが、それを週刊誌に情報を伝えた人がいまして、私はロシアで別の仕事をしていたら、次々に日本から「週刊○○ですが…」とか。「これ、本当ですか?」と取材が入ってきて。
土田晃之:取材が(笑)
池上彰:朝日新聞と私との間の、編集者と執筆者の話ですから、わざわざそれについて、外に言うことはしないけど、逆に嘘はつきたくないですから。「本当ですか?」って訊いてきたから、「本当ですよ」と答えた、と。
土田晃之:なるほど。
池上彰:こういう話ですね。
土田晃之:朝日新聞の話から、池上さんの連載の話まで、繋がるわけですね。
池上彰:そっちに言っちゃったという話ですね。
土田晃之:吉田さんは、なんでそもそもそんなことを言い出したんですかね?「私、酷いことをしました」みたいな。
池上彰:あのね…人間、不思議なもんですけど、いるんですよ。「ごめんなさい」って言うでしょ?すると、特に韓国の人たちは、「おお、この人は勇気ある人だ」と。「あんな酷いことをしたのを、ごめんなさいと言っている」と。英雄扱いされるんですよ。
土田晃之:ああ。
池上彰:歓迎されるわけですよ。気持ちいいでしょ?
土田晃之:なるほど。
池上彰:倒錯してますよね。
土田晃之:このことを30年にわたって事実みたいになってたから、韓国側はもちろん、揉めたときに必ずこの問題、出てくるわけじゃないですか。
池上彰:そうですね。
土田晃之:大分前の総理が、認めるってことありましたよね?
池上彰:総理ではなく、河野談話という、河野洋平官房長官が慰安婦問題について、日本の責任を認めて、謝罪する談話を発表したというのがあるんですね。その中に、吉田証言は実は使われてはいなかった、ということがあって、またややこしいことになるんですけどね。
土田晃之:うん。でも、それは国のトップが言ったわけではないけど、官房長官が言ったら、日本が認めたってことにならないですか?
池上彰:そう。その時の慰安婦問題についての謝罪というのをやった。その時、そこには強制性とかは書いてなかったんだけど、発表の時の記者とのやりとりの中で、「これは強制性があったんですか?」という質問に対して、河野官房長官が、「そういう風に受け止めてもらって結構です」と言ったんです。
土田晃之:はぁ~。
池上彰:そこで、「なんだ強制性を認めたんじゃないか」っていうことが、大きなニュースになってるっていうのがあるんです。
土田晃之:はい。
池上彰:ただ、これは物凄い難しい話で、「強制があった」という証言は間違いだった、ということになるけど、「強制はなかったのか?」っていうのは難しいんですね。
土田晃之:なるほど。
池上彰:何かがあった、という証明は簡単なんですよ。見つければ良いから。でも、なかったって証明は、なかなか難しいわけですよ。
土田晃之:そうですね。
池上彰:となると、韓国や世界的に言うと、強制性があったなかったって関係なく、「慰安婦っていたんでしょ?」っていう話になっちゃうわけですよ。
土田晃之:でも、それはいたわけですもんね。
池上彰:いましたね。
土田晃之:どこの戦争があるたびに。
池上彰:世界で色んなところで、慰安婦っていた。そういう「世界の女性の人権問題を考えなければいけないときに、日本は何を言ってるんだ?」と、海外から受け止められているわけです。
土田晃之:なるほどね。でも、世界的には、日本がそういうことをしたって思われてますもんね。その30年間があったわけですからね。
池上彰:そうですね。その一方で、「アレは昔の日本だった」と。「今の日本は、平和国家で、そんなことをしない国だよね」っていうのは分かってるわけですよね。
土田晃之:うん。
池上彰:その今の日本が、「昔、悪いことをやってたわけではないんです」って弁解したくなる気持ちは分かるんだけど、すると「おいおい、今の平和の日本が昔は悪くなかったって言うわけ?」って受け止められてしまう危険性もあるんですよ。
土田晃之:「かつては問題あったけど、今を見てください。ちゃんとしてますよ」で良かったのに、「昔もそんなことしてないし」っていう…
池上彰:その気持ちは分かるよね。「昔も、そんな酷いことばっかりしてたんじゃない」って言いたくなること、とっても分かるんだけど、それが世界では通用しない場合もあるんだってことなんですよね。
池上彰の戦争を考える
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慰安婦とは
リスナーメール:池上彰さんにお聞きしたいのは、この夏に話題になった、朝日新聞の問題です。長い間、慰安婦問題について誤って報道していたとのことですが、いまいち中身が分かりません。池上さんの言葉で、今、この問題をどう捉えているのか、ぜひ教えてください。
池上彰:これは、朝日新聞が何を間違えたかがよく分からないという意味ですかね。
土田晃之:はい。
池上彰:日本が戦争中、慰安婦という人たちがいたわけでしょ。兵隊の性欲を満たすための女性たちというのがいたわけですよね。
土田晃之:はい。
池上彰:これは、日本人もいたし、あるいは朝鮮半島は当時、日本が統治していましたから、朝鮮人もそういう慰安婦になった人たちがいるわけですよね。
土田晃之:はい。
池上彰:そういう人たちの中に、無理やり慰安婦にされた人がいるのかどうか、というところがあって。たとえば、家が貧しいから、稼いで家に仕送りをしろ、と親に売られた人たちもいるわけです。
土田晃之:はい。
池上彰:あるいは、騙されて、そこに連れて行かれた人もいるわけですよね。
土田晃之:はい。
吉田証言とは
池上彰:その中で、「そういう嫌がる連中を強制的に狩りだして、慰安婦として使った。申し訳ないことをした」とお詫びをした人物がいるんです。これが、いわゆる吉田証言と言われるもので。「昔、私は申し訳ないことをしました。申し訳ありません」と言えば、最初はみんな、一瞬、信じたわけですよ。
土田晃之:はい。
池上彰:「自分は昔、とんでもないことをしました。みなさん、ごめんなさい」って普通は言わないでしょ。悪いことをやったと思えば、隠してるのが普通なのに、「ごめんなさい」と言った、勇気ある人だ、と色んな社が報じたわけです。
土田晃之:これは、朝日新聞だけじゃなかったんですか?
池上彰:当時は、他の新聞も書いてます。ですけども、「特に韓国の南の済州島でそういうことをやった」ということが報じられたことに対して、学者が「本当にあったのかな?」ということで聞き取り調査をしたら、そんなことは全くなかった、ということがあって、それを産経新聞が報じたわけですね。
土田晃之:そんなことはなかった、と。
池上彰:なかったという学者の調査がありました、ということを産経新聞が報道した。それで、その時、朝日新聞も「おや?」と思って確認をしようとしたら、その吉田という人が、取材に応じなかったんですよ。それまでは喋ってたのに。
土田晃之:ベラベラ喋ってたのに。
池上彰:どうも違うんじゃないのってなった途端、言わなくなった。
土田晃之:はい。
吉田証言は誤りだと訂正できなかった朝日新聞
池上彰:本当は、そこの段階で、朝日新聞として「これは信用が失われた」とか、おかしいとかって、ちゃんとやっておけば良かった。だけど、その時に確認がとれないから、ということでそれ以上しなかったんですね。
土田晃之:ああ。
池上彰:その後、段々「アレは嘘だったよね」ということが、色んなところが報じるようになった後、朝日新聞が言ってみれば、どこかで訂正をするきっかけを失ってしまったみたいなことがあって。
土田晃之:はい。
池上彰:ずっと、口を閉じてたわけですね。それで、これをいつまでもやると、「おかしいんじゃないか」と。あるいは、韓国で慰安婦問題について、日本の責任を追求する、という時に、「日本人がそういうことをやったと言ってるじゃないか」ということになって、日本を叩く時に、それが使われているんじゃないか、ということになって、朝日新聞としても、ずっと知らん顔できなくなった。
土田晃之:はい。
池上彰:そういう意味では、今の社長が、「この際、全部、明らかにしましょう」と言って調べて、「たしかに、強制性があったという報道は間違いでした、訂正します」とやったんですね。
土田晃之:はい。
池上彰:それを見て、私としては「誤りを訂正をするということは良いことだけど、なんで32年間も訂正できなかったか、ということを検証する必要があったんじゃないか」と。
土田晃之:そうですね。
池上彰:あるいは、「間違いでした」という場合は、普通、ごめんなさいが付いてくるだろう、と。よくテレビやラジオだと、「お詫びして訂正します」って言いますね。
土田晃之:ああ。
池上彰:新聞の場合は、「訂正します」だけで、「お詫びします」が付いてこない場合が多いんですよ。
土田晃之:ああ。
朝日新聞での池上彰のコラム不掲載問題
池上彰:朝日新聞の場合も、「間違いであったと判明したため、訂正します」と書いたんですね。でも、私は「訂正するときは、普通、お詫びをした方が良いんじゃないの?」って連載コラムに書いたら、「掲載できない」って言われたんですね。
土田晃之:そういうことだったんですね。
池上彰:そういうことだったんですね。私としては、掲載するかどうかってことは、新聞社に編集権があることだから、それについて私はとやかく言わない、と。
土田晃之:うん。
池上彰:だけど、これまで私が書いたものは、皆、掲載してくれますよっていう信頼関係があったから書いてきたけど、信頼関係が失われたから、「この際、連載をやめます」と言ったんですね。
土田晃之:うん。
池上彰:そのまま海外取材に行ったら、朝日新聞の方の誰かが、それを週刊誌に情報を伝えた人がいまして、私はロシアで別の仕事をしていたら、次々に日本から「週刊○○ですが…」とか。「これ、本当ですか?」と取材が入ってきて。
土田晃之:取材が(笑)
池上彰:朝日新聞と私との間の、編集者と執筆者の話ですから、わざわざそれについて、外に言うことはしないけど、逆に嘘はつきたくないですから。「本当ですか?」って訊いてきたから、「本当ですよ」と答えた、と。
土田晃之:なるほど。
池上彰:こういう話ですね。
土田晃之:朝日新聞の話から、池上さんの連載の話まで、繋がるわけですね。
池上彰:そっちに言っちゃったという話ですね。
吉田証言はなぜ生まれたか
土田晃之:吉田さんは、なんでそもそもそんなことを言い出したんですかね?「私、酷いことをしました」みたいな。
池上彰:あのね…人間、不思議なもんですけど、いるんですよ。「ごめんなさい」って言うでしょ?すると、特に韓国の人たちは、「おお、この人は勇気ある人だ」と。「あんな酷いことをしたのを、ごめんなさいと言っている」と。英雄扱いされるんですよ。
土田晃之:ああ。
池上彰:歓迎されるわけですよ。気持ちいいでしょ?
土田晃之:なるほど。
池上彰:倒錯してますよね。
土田晃之:このことを30年にわたって事実みたいになってたから、韓国側はもちろん、揉めたときに必ずこの問題、出てくるわけじゃないですか。
池上彰:そうですね。
河野談話の問題点
土田晃之:大分前の総理が、認めるってことありましたよね?
池上彰:総理ではなく、河野談話という、河野洋平官房長官が慰安婦問題について、日本の責任を認めて、謝罪する談話を発表したというのがあるんですね。その中に、吉田証言は実は使われてはいなかった、ということがあって、またややこしいことになるんですけどね。
土田晃之:うん。でも、それは国のトップが言ったわけではないけど、官房長官が言ったら、日本が認めたってことにならないですか?
池上彰:そう。その時の慰安婦問題についての謝罪というのをやった。その時、そこには強制性とかは書いてなかったんだけど、発表の時の記者とのやりとりの中で、「これは強制性があったんですか?」という質問に対して、河野官房長官が、「そういう風に受け止めてもらって結構です」と言ったんです。
土田晃之:はぁ~。
池上彰:そこで、「なんだ強制性を認めたんじゃないか」っていうことが、大きなニュースになってるっていうのがあるんです。
土田晃之:はい。
池上彰:ただ、これは物凄い難しい話で、「強制があった」という証言は間違いだった、ということになるけど、「強制はなかったのか?」っていうのは難しいんですね。
土田晃之:なるほど。
池上彰:何かがあった、という証明は簡単なんですよ。見つければ良いから。でも、なかったって証明は、なかなか難しいわけですよ。
土田晃之:そうですね。
池上彰:となると、韓国や世界的に言うと、強制性があったなかったって関係なく、「慰安婦っていたんでしょ?」っていう話になっちゃうわけですよ。
土田晃之:でも、それはいたわけですもんね。
池上彰:いましたね。
土田晃之:どこの戦争があるたびに。
世界の女性の人権問題への取り組みと日本
池上彰:世界で色んなところで、慰安婦っていた。そういう「世界の女性の人権問題を考えなければいけないときに、日本は何を言ってるんだ?」と、海外から受け止められているわけです。
土田晃之:なるほどね。でも、世界的には、日本がそういうことをしたって思われてますもんね。その30年間があったわけですからね。
池上彰:そうですね。その一方で、「アレは昔の日本だった」と。「今の日本は、平和国家で、そんなことをしない国だよね」っていうのは分かってるわけですよね。
土田晃之:うん。
池上彰:その今の日本が、「昔、悪いことをやってたわけではないんです」って弁解したくなる気持ちは分かるんだけど、すると「おいおい、今の平和の日本が昔は悪くなかったって言うわけ?」って受け止められてしまう危険性もあるんですよ。
土田晃之:「かつては問題あったけど、今を見てください。ちゃんとしてますよ」で良かったのに、「昔もそんなことしてないし」っていう…
池上彰:その気持ちは分かるよね。「昔も、そんな酷いことばっかりしてたんじゃない」って言いたくなること、とっても分かるんだけど、それが世界では通用しない場合もあるんだってことなんですよね。
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