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爆笑問題・太田×久米宏「中身の無いバラエティ番組は、制作する意味があるのか?」
2014.02.24 (Mon)
2014年02月23日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題の日曜サンデー』(毎週日 13:00 - 17:00 )にて、久米宏(以下、久米)がゲスト出演していた。そこで、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光とともに、大衆向けの中身の無いバラエティ番組の存在意義について議論していた。
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太田光(以下、太田):テレビのこと、結構、憂えていますよね?(爆笑問題・田中×久米宏の討論「バラエティ番組はつまらなくなったのか」)
久米:あのね…最近のバラエティ番組が、つまんないんだけど、割りとスカスカって感じがするんですよね。
太田:スカスカ?
久米:予算の無いのが分かってしまう、とかね。
田中裕二(以下、田中):それはしょうがないですよ(笑)
久米:でもね、最近、テレビ局は儲かってるんですよ。かなり黒字傾向で良くなってて、もっとテレビ局がお金儲かっていたら、制作費に使わなきゃ。不動産とかに使うんじゃなくて。
田中:まさにTBS(笑)
太田:昨日、久米さんがテレビを一人で家にいるときに、寂しいから付けてて、ひな壇にいるタレントがワーって言ってる感じが、自分にとって良いボリュームに合わせて、そこで観てるんじゃなくて、寂しさを紛らわせるために、ついてるだけのメディアになったら、メディアとしては死んでしまうって。
久米:うん。
太田:俺はまさに、同じこと、同じ設定を考えてて。俺は、テレビっていうのは、そういうものであって良いんじゃないかなって思ったんですよ。
久米:うん。
太田:俺がまさにやってることは、中身が無くて、その場で思いついて、その場でウケれば良いっていうことを毎日繰り返しているわけですよね。特に、『笑っていいとも!』なんて、生放送でも、その場のことでやって、すぐ次に行く。
田中:うん。
太田:そうすると、ちゃんとした作品を作ってるって気持ちにはならないかもしれないけど、もしそれが誰かが1人でいて、ちょっとでもチラっと観て、「太田がまたバカなことやってる」って思って、気が休まるみたいな、そういうジャンルであることに、テレビの魅力を感じるんですけどね。
久米:うん。
太田:テレビは、もうそっちに行くしかないと思うんですよ。
久米:僕は、テレビが出てきたのって、小学校の後半から、中学生くらいなんですよ。それまではラジオしかなくて。ラジオ少年だったんですけど。テレビって、大発明だったんですよ。映っちゃうんですから。
太田:うん。
久米:遠くのものも映って、ケネディが暗殺されたって、衛星中継で映像が来る。こんな人類史上に残るようなものは、テレビで、次はパソコンになっていくと思うんだけど。
田中:うん。
久米:そんな素晴らしいモノを、無駄に使ってしまうのはどうなのかって思って。父親が電機メーカーのエンジニアだったから、よけいにそう思うんですけど。生み出された素晴らしい機械を、無駄に使わないで欲しいって思うんですよ。
太田:それが年寄りなんだよなぁ(笑)
久米:ふふ(笑)あなたの言うことは分かるんですよ。時代も違うし、観ている環境も違うから当たり前なんですけど、設置電話みたいなものは凄いものだったんですけど、古物商に置かれてるものになってしまったでしょ。電話って。
田中:はい。
久米:それがもうホコリかぶってるのを見ると、ちょっと…って気がするんだ。古いのはしょうがないけどね。
太田:佐村河内の一件、どう見ます?それとテレビ論が、凄くつながると思うんです。
久米:うん。
太田:佐村河内って偽物が、ゴーストが書いた曲が、大衆にウケていくわけですよ。だけど、ゴーストライターをやっていた新垣隆さんっていう、本当にやりたい音楽は、大衆ウケしないものなんですよ。現代音楽っていって。それを最近ずっと聴いてるんですけど、さっぱりわからないんです。
久米:うん。
太田:何をやってるか分からない。『糸』とか、ずっと聴いてるんですけど、全く分からない。
糸

田中:今、話題になってますよね。
太田:ただ、メジャーにウケるものは、簡単に作れるっていうんですよ。それは片手間にやってるんで、本流じゃないし、だからこそゴーストって意識が希薄だったんです。こんなもの、大した音楽ではないって意識が彼の中にあったから。
田中:うん。
太田:でも、そちらの方が大衆でウケる。ただ、本当にやりたいことは、我々が理解できないようなレベルにあって。
田中:うん。
太田:一方、テレビというのは、あくまで大衆に向いてなければいけない、それは宿命だと思うんです。そこで良い物、ドラマから落語なんかも聴き始めは分かりやすいところから入っても、最終的には心象文楽っていう、若い子が聴いても「何が良いの?」ってところにいく、そういうものってあるじゃないですか。マニア受けするもの。専門性って、そうでしょう?
田中:音楽もね。
太田:テレビは逆のベクトルで、とにかく大衆がつけている。それはちょっと前までは、まだ中身があった。それが今、ネットやなんかが出てきて、作品などはそっちに以降してて。テレビは、どんどん言ってみれば視聴率至上主義になってる。でも、俺はそれで良いと思ってるんです。それがテレビの宿命だから。
田中:うん。
太田:『糸』の中にもう一つ、大友良英さんって人の曲があるんですけど、これがさらに分からない。この人、『あまちゃん』のテーマ曲作った人なんです。
田中:へぇ。
太田:アレを作れる人が、アレをバイトとしてやるわけですよ。
田中:本当にやりたいことではないんだね。
太田:本当にやりたいのは、現代音楽なんです。音楽を知ってる人には、『あまちゃん』のテーマ曲、「あんなの、面白くもなんともねぇよ」って思うんだよね。でもね、テレビはそっちなんですよ。
田中:まぁ、そうなんだろうね。
太田:大衆が気持ちいい、楽しいとか。音楽のレベルは低いって言うかもしれないけど、テレビはやっぱり、大衆に寄り添ってなきゃダメだと思うんですよ。
久米:おそらくそうでしょうね。スポンサーもあるし。民放は特にそうでしょうね。
太田:そういう意味でいうと、今のテレビのシステムは、『明日、ママがいない』で、スポンサーの名前だけ隠してってことになっていくと、視聴率はとっても、スポンサーの得にならないって、変なことになってくる。
田中:うん。
太田:少なくとも今までは、どんなにお下劣だろうが、レベルが低かろうが、視聴率が良ければカネを出すって構造で成り立ってたから、テレビは大衆のモノとして成立できてたと思うんです。でも、数字が良くてもスポンサーの得じゃないってことになると、その辺の構造が崩れて、訳の分からないことになってしまう危惧はあるんですよ。
久米:スポンサーは、放送局よりもシビアですからね。一人あたりの単価が、いくらになるかまで計算してますから、訴求効果を。「番組の効果が低いから、やめよう」みたいなことも、前から宣伝部は計算しているわけですからね。
太田:うん。
久米:テレビ局がはるかに及ばないことを、彼らはとっくに考え始めているから、とてもじゃないけど、甘くない。それこそ"あまちゃん"じゃない。そんなところまで、いってるんですよね。
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スカスカな低予算番組
太田光(以下、太田):テレビのこと、結構、憂えていますよね?(爆笑問題・田中×久米宏の討論「バラエティ番組はつまらなくなったのか」)
久米:あのね…最近のバラエティ番組が、つまんないんだけど、割りとスカスカって感じがするんですよね。
太田:スカスカ?
久米:予算の無いのが分かってしまう、とかね。
田中裕二(以下、田中):それはしょうがないですよ(笑)
久米:でもね、最近、テレビ局は儲かってるんですよ。かなり黒字傾向で良くなってて、もっとテレビ局がお金儲かっていたら、制作費に使わなきゃ。不動産とかに使うんじゃなくて。
田中:まさにTBS(笑)
中身がない番組の存在意義
太田:昨日、久米さんがテレビを一人で家にいるときに、寂しいから付けてて、ひな壇にいるタレントがワーって言ってる感じが、自分にとって良いボリュームに合わせて、そこで観てるんじゃなくて、寂しさを紛らわせるために、ついてるだけのメディアになったら、メディアとしては死んでしまうって。
久米:うん。
太田:俺はまさに、同じこと、同じ設定を考えてて。俺は、テレビっていうのは、そういうものであって良いんじゃないかなって思ったんですよ。
久米:うん。
太田:俺がまさにやってることは、中身が無くて、その場で思いついて、その場でウケれば良いっていうことを毎日繰り返しているわけですよね。特に、『笑っていいとも!』なんて、生放送でも、その場のことでやって、すぐ次に行く。
田中:うん。
太田:そうすると、ちゃんとした作品を作ってるって気持ちにはならないかもしれないけど、もしそれが誰かが1人でいて、ちょっとでもチラっと観て、「太田がまたバカなことやってる」って思って、気が休まるみたいな、そういうジャンルであることに、テレビの魅力を感じるんですけどね。
久米:うん。
太田:テレビは、もうそっちに行くしかないと思うんですよ。
久米:僕は、テレビが出てきたのって、小学校の後半から、中学生くらいなんですよ。それまではラジオしかなくて。ラジオ少年だったんですけど。テレビって、大発明だったんですよ。映っちゃうんですから。
太田:うん。
久米:遠くのものも映って、ケネディが暗殺されたって、衛星中継で映像が来る。こんな人類史上に残るようなものは、テレビで、次はパソコンになっていくと思うんだけど。
田中:うん。
久米:そんな素晴らしいモノを、無駄に使ってしまうのはどうなのかって思って。父親が電機メーカーのエンジニアだったから、よけいにそう思うんですけど。生み出された素晴らしい機械を、無駄に使わないで欲しいって思うんですよ。
太田:それが年寄りなんだよなぁ(笑)
久米:ふふ(笑)あなたの言うことは分かるんですよ。時代も違うし、観ている環境も違うから当たり前なんですけど、設置電話みたいなものは凄いものだったんですけど、古物商に置かれてるものになってしまったでしょ。電話って。
田中:はい。
久米:それがもうホコリかぶってるのを見ると、ちょっと…って気がするんだ。古いのはしょうがないけどね。
新垣隆の難解な現代音楽と"ゴースト作品"の大衆性
太田:佐村河内の一件、どう見ます?それとテレビ論が、凄くつながると思うんです。
久米:うん。
太田:佐村河内って偽物が、ゴーストが書いた曲が、大衆にウケていくわけですよ。だけど、ゴーストライターをやっていた新垣隆さんっていう、本当にやりたい音楽は、大衆ウケしないものなんですよ。現代音楽っていって。それを最近ずっと聴いてるんですけど、さっぱりわからないんです。
久米:うん。
太田:何をやってるか分からない。『糸』とか、ずっと聴いてるんですけど、全く分からない。
糸

田中:今、話題になってますよね。
太田:ただ、メジャーにウケるものは、簡単に作れるっていうんですよ。それは片手間にやってるんで、本流じゃないし、だからこそゴーストって意識が希薄だったんです。こんなもの、大した音楽ではないって意識が彼の中にあったから。
田中:うん。
太田:でも、そちらの方が大衆でウケる。ただ、本当にやりたいことは、我々が理解できないようなレベルにあって。
田中:うん。
太田:一方、テレビというのは、あくまで大衆に向いてなければいけない、それは宿命だと思うんです。そこで良い物、ドラマから落語なんかも聴き始めは分かりやすいところから入っても、最終的には心象文楽っていう、若い子が聴いても「何が良いの?」ってところにいく、そういうものってあるじゃないですか。マニア受けするもの。専門性って、そうでしょう?
田中:音楽もね。
太田:テレビは逆のベクトルで、とにかく大衆がつけている。それはちょっと前までは、まだ中身があった。それが今、ネットやなんかが出てきて、作品などはそっちに以降してて。テレビは、どんどん言ってみれば視聴率至上主義になってる。でも、俺はそれで良いと思ってるんです。それがテレビの宿命だから。
田中:うん。
太田:『糸』の中にもう一つ、大友良英さんって人の曲があるんですけど、これがさらに分からない。この人、『あまちゃん』のテーマ曲作った人なんです。
田中:へぇ。
太田:アレを作れる人が、アレをバイトとしてやるわけですよ。
田中:本当にやりたいことではないんだね。
太田:本当にやりたいのは、現代音楽なんです。音楽を知ってる人には、『あまちゃん』のテーマ曲、「あんなの、面白くもなんともねぇよ」って思うんだよね。でもね、テレビはそっちなんですよ。
田中:まぁ、そうなんだろうね。
太田:大衆が気持ちいい、楽しいとか。音楽のレベルは低いって言うかもしれないけど、テレビはやっぱり、大衆に寄り添ってなきゃダメだと思うんですよ。
久米:おそらくそうでしょうね。スポンサーもあるし。民放は特にそうでしょうね。
『明日、ママがいない』のスポンサー降板問題
:太田:そういう意味でいうと、今のテレビのシステムは、『明日、ママがいない』で、スポンサーの名前だけ隠してってことになっていくと、視聴率はとっても、スポンサーの得にならないって、変なことになってくる。
田中:うん。
太田:少なくとも今までは、どんなにお下劣だろうが、レベルが低かろうが、視聴率が良ければカネを出すって構造で成り立ってたから、テレビは大衆のモノとして成立できてたと思うんです。でも、数字が良くてもスポンサーの得じゃないってことになると、その辺の構造が崩れて、訳の分からないことになってしまう危惧はあるんですよ。
久米:スポンサーは、放送局よりもシビアですからね。一人あたりの単価が、いくらになるかまで計算してますから、訴求効果を。「番組の効果が低いから、やめよう」みたいなことも、前から宣伝部は計算しているわけですからね。
太田:うん。
久米:テレビ局がはるかに及ばないことを、彼らはとっくに考え始めているから、とてもじゃないけど、甘くない。それこそ"あまちゃん"じゃない。そんなところまで、いってるんですよね。
【関連記事】
爆笑問題・田中×久米宏の討論「バラエティ番組はつまらなくなったのか」
久米宏、『ニュースステーション』での失言は意図的だったと明かす「覚悟を決めて用意した」
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