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倉本聰が語る、プロデューサーの目の前で行う衝撃的な行為「原稿を破り捨てる」
2014.02.24 (Mon)
2014年02月23日放送のJFN系列のラジオ番組『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』(毎週日 23:00 - 23:30)に、『北の国から』シリーズの脚本家で知られる倉本聰がゲスト出演し、スタジオジブリのプロデューサーで知られる鈴木敏夫と対談を行っていた。
倉本聰は、「最近の雑誌編集者は、原稿に対して感想や意見を全く言ってこない」と語った。そこから、ドラマのプロデューサーに意見を求めるために行っているという、衝撃的な"ある行為"について語っていた。
聞き書き 倉本聰 ドラマ人生

倉本聰:雑誌編集者も、随分変わりましたね。昔は、『群像』にいた鬼の大久保って有名な方がいましたけども。
鈴木敏夫(以下、鈴木):はい、有名な方ですよね。
倉本聰:阿川弘之先生が、僕の身元保証人なんだけども。
鈴木:あ、そうなんですか。
倉本聰:阿川先生が「怖かったんだぁ」って言ってましたけどもね(笑)あの人に直しを入れられたり、突っ返されたりするのが、物凄い勉強になったって言ってましたね。
鈴木:そういう編集者が、おそらく減っているんでしょうね。
倉本聰:プロデューサー的な役割が、編集者にはあったんだと思うんですね。でも、最近は原稿を雑誌や新聞社に出しても、良いのか悪いのか、返事も来ないんですよ。
鈴木:分かりますね。
倉本聰:だからね、それは困るって言って、一本だけ10数年連載しているコラムがあるんですけど、「毎回、必ず意見をくれ」と。
鈴木:当たりまえですね。こちらから催促しなければいけないんですね(笑)
倉本聰:それはもう、くれるようになってますけど。何の反応もないっていうのは辛いですよ。
鈴木:僕の本当の最初の仕事は、宮﨑駿、高畑勲に対して、自分の意見を言うってことですよね。
倉本聰:うん。
鈴木:それはなんでかっていえば、最初の観客ですからね。しかもたいがい、全部出来てるわけではなく、冒頭で「こんな感じでどうかな?」って言われて、それに対して、自分は雑誌編集っていう仕事をやってましたんでね、「これはちょっと…」とか(笑)
倉本聰:あぁ。
鈴木:『風立ちぬ』もやったんですけどね。これは1つの例ですけどね。宮﨑が、A案とB案って考えてきたんです。A案は、男の友情。主人公の堀越二郎って男と、カプローニって男、この男たちの友情物語なんですよ。
倉本聰:うん。
鈴木:B案は、二郎と菜穂子のラブストーリーなんです。「どっちが良い?」って言われて。そうすると、プロデューサー、編集者っていうのはそういうことがすぐに言えるんですけど、「これ、一緒になった方が良いですよ」って。
倉本聰:なるほど(笑)
鈴木:「それぞれやったらつまらないですよ。なんとか一緒に出来ないですか?」って。そういう無茶が言えるのが、僕の仕事かな、と。
倉本聰:テレビの場合も、僕はまず本を書くと、まずプロデューサー、ディレクターに目の前で読んでもらうんですよ。
鈴木:あぁ。
倉本聰:見てて、「泣いたな」「笑ったな」とか、その反応を見ていて、何も笑いも泣きもしないと、「あ、ダメだね」って、目の前で破くんです。
鈴木:はい。
倉本聰:だいたい、1時間モノで150枚くらいペラであるんですよ。
鈴木:はい。
倉本聰:これを破くのがね、ちょっと練習しましたけども(笑)電話帳で。
鈴木:ふふ(笑)
倉本聰:目の前で破くと、テレビ局の奴らは、怯えるわけですよ。最初はギョッとして、「ちょっと…」って。クズかごに放り捨てるんです。
鈴木:あぁ。
倉本聰:だいたい、良いシーンは覚えてるんです。その中で残そうというケチな心を残すと、やっぱり次にいけないんですよ。
鈴木:はい。
倉本聰:「面白くない顔をしてたから、破いたんだ」っていうと、向こうも緊張しますよね。
鈴木:宮﨑も高畑も、必ず目の前で読むことを要求するんです。だから、ゆっくりなんか読めないですよ。読む時が勝負なんです。
倉本聰:えぇ、そうでしょうね。書く側は、それが勝負ですよ。
鈴木:宮さんも、高畑さんも目の前で。それは色んな局面でね。目の前で読むと、なんか決まりますよね。
倉本聰:そうですね。分かりますよ。僕らは目の前で読ませてて、誰かが話をしているのに気を取られたりすると、途中でとってビリって。
鈴木:ふふ(笑)
倉本聰:150枚の紙を破くのは、なかなか破れなくて(笑)最初、電話帳で稽古したんですね。一気に破くことを(笑)
鈴木:鮮やかにね(笑)
倉本聰:鮮やかに破かないと面白くないから。
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倉本聰は、「最近の雑誌編集者は、原稿に対して感想や意見を全く言ってこない」と語った。そこから、ドラマのプロデューサーに意見を求めるために行っているという、衝撃的な"ある行為"について語っていた。
聞き書き 倉本聰 ドラマ人生

倉本聰:雑誌編集者も、随分変わりましたね。昔は、『群像』にいた鬼の大久保って有名な方がいましたけども。
鈴木敏夫(以下、鈴木):はい、有名な方ですよね。
倉本聰:阿川弘之先生が、僕の身元保証人なんだけども。
鈴木:あ、そうなんですか。
倉本聰:阿川先生が「怖かったんだぁ」って言ってましたけどもね(笑)あの人に直しを入れられたり、突っ返されたりするのが、物凄い勉強になったって言ってましたね。
鈴木:そういう編集者が、おそらく減っているんでしょうね。
倉本聰:プロデューサー的な役割が、編集者にはあったんだと思うんですね。でも、最近は原稿を雑誌や新聞社に出しても、良いのか悪いのか、返事も来ないんですよ。
鈴木:分かりますね。
倉本聰:だからね、それは困るって言って、一本だけ10数年連載しているコラムがあるんですけど、「毎回、必ず意見をくれ」と。
鈴木:当たりまえですね。こちらから催促しなければいけないんですね(笑)
倉本聰:それはもう、くれるようになってますけど。何の反応もないっていうのは辛いですよ。
鈴木:僕の本当の最初の仕事は、宮﨑駿、高畑勲に対して、自分の意見を言うってことですよね。
倉本聰:うん。
鈴木:それはなんでかっていえば、最初の観客ですからね。しかもたいがい、全部出来てるわけではなく、冒頭で「こんな感じでどうかな?」って言われて、それに対して、自分は雑誌編集っていう仕事をやってましたんでね、「これはちょっと…」とか(笑)
倉本聰:あぁ。
鈴木:『風立ちぬ』もやったんですけどね。これは1つの例ですけどね。宮﨑が、A案とB案って考えてきたんです。A案は、男の友情。主人公の堀越二郎って男と、カプローニって男、この男たちの友情物語なんですよ。
倉本聰:うん。
鈴木:B案は、二郎と菜穂子のラブストーリーなんです。「どっちが良い?」って言われて。そうすると、プロデューサー、編集者っていうのはそういうことがすぐに言えるんですけど、「これ、一緒になった方が良いですよ」って。
倉本聰:なるほど(笑)
鈴木:「それぞれやったらつまらないですよ。なんとか一緒に出来ないですか?」って。そういう無茶が言えるのが、僕の仕事かな、と。
倉本聰:テレビの場合も、僕はまず本を書くと、まずプロデューサー、ディレクターに目の前で読んでもらうんですよ。
鈴木:あぁ。
倉本聰:見てて、「泣いたな」「笑ったな」とか、その反応を見ていて、何も笑いも泣きもしないと、「あ、ダメだね」って、目の前で破くんです。
鈴木:はい。
倉本聰:だいたい、1時間モノで150枚くらいペラであるんですよ。
鈴木:はい。
倉本聰:これを破くのがね、ちょっと練習しましたけども(笑)電話帳で。
鈴木:ふふ(笑)
倉本聰:目の前で破くと、テレビ局の奴らは、怯えるわけですよ。最初はギョッとして、「ちょっと…」って。クズかごに放り捨てるんです。
鈴木:あぁ。
倉本聰:だいたい、良いシーンは覚えてるんです。その中で残そうというケチな心を残すと、やっぱり次にいけないんですよ。
鈴木:はい。
倉本聰:「面白くない顔をしてたから、破いたんだ」っていうと、向こうも緊張しますよね。
鈴木:宮﨑も高畑も、必ず目の前で読むことを要求するんです。だから、ゆっくりなんか読めないですよ。読む時が勝負なんです。
倉本聰:えぇ、そうでしょうね。書く側は、それが勝負ですよ。
鈴木:宮さんも、高畑さんも目の前で。それは色んな局面でね。目の前で読むと、なんか決まりますよね。
倉本聰:そうですね。分かりますよ。僕らは目の前で読ませてて、誰かが話をしているのに気を取られたりすると、途中でとってビリって。
鈴木:ふふ(笑)
倉本聰:150枚の紙を破くのは、なかなか破れなくて(笑)最初、電話帳で稽古したんですね。一気に破くことを(笑)
鈴木:鮮やかにね(笑)
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