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ライムスター宇多丸「スピルバーグ監督自身の『未知との遭遇』から『E.T.』への成長」
2014.02.10 (Mon)
2014年02月06日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題の日曜サンデー』(毎週日 13:00 - 17:00)にて、映画評論家としても知られるヒップホップグループ・RHYMESTERの宇多丸が出演し、スティーブン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』、『E.T.』について語っていた。
太田光(以下、太田):自分の中のベスト1って訊かれると困る?
ライムスター宇多丸(以下、宇多丸):そうなんですよ。でも、その質問のための回答を幾つか用意してて。『ヤング・ゼネレーション』ですよ、とか。
ヤング・ゼネレーション
![ヤング・ゼネレーション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51Kmz3hHyYL._SL160_.jpg)
ヒッチコックの『めまい』ですよ、とか言ってるんですけど。
めまい
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田中裕二(以下、田中):あぁ。
太田:名作というか、ヒッチコックあたりになっていくの?
宇多丸:『めまい』は世間的に名作とされているし、『ヤング・ゼネレーション』は個人的に好きな青春作品なんですよ。自転車に乗った青年の作品なんですけど。
太田:『E.T.』乗せて?(笑)
田中:"宇宙人"乗せて、にしてもらわないとツッコめないから(笑)
宇多丸:スピルバーグ監督だったら、『未知との遭遇』が凄い好きなんです。
未知との遭遇
![未知との遭遇 ファイナル・カット版 (1枚組) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51SwCXD9KPL._SL160_.jpg)
太田:分かる!『E.T.』は駄作だよね。
宇多丸:駄作じゃないですよ。『未知との遭遇』との比較で言うと、『E.T.』の方が作り手として大人になってるんですよね、スピルバーグ監督は。
田中:へぇ。
宇多丸:『未知との遭遇』は、変わった映画じゃないですか。最後の最後で、すべてが変わる。そこまでは政治サスペンスみたいな感じで、政府の陰謀、UFOを見たが故に社会からドロップアウトしていってしまう主人公。つまり、これって大人の映画なんですね。
太田:うん。
宇多丸:社会があって、主人公がいてそれに翻弄されて。社会の中で個人は無力であるっていう、大人の世界観ですね。
田中:奇人扱いされちゃうってことだよね。
宇多丸:ところが最後に、UFOに会いました、そのUFOに会うところもアメリカ政府のお膳立てで、そこまで大人の世界なんです。でも、最後の最後で、宇宙人が迎えにきたのは、「あなたなんです」って主人公のところにやってくるんです。「世間では子供っぽい人間としてドロップアウトしたかもしれないけど、そうじゃない」と。宇宙人の顔も、子供っぽい。それが対比されて、子供みたいな人だからあなたを選んだんです、と。
田中:うん。
宇多丸:それで宇宙人に連れて行かれる。つまり、ずっと大人の話できて、そこで一気にいわゆる「セカイ系」の話になる。僕=セカイという、子供の世界観になって、めでたしめでたし、となる。大の大人が、全く問題ない世界でちやほやされて終わるっていう。大人の映画が、一気に子供の映画になって、逆転する。そのカタルシスがあるんです。
太田:あぁ。
宇多丸:「世界は俺のためにあるんだ」って。
太田:うん。
宇多丸:『E.T.』では、少年は「ここではないどこかへ行こうよ」って言われて、「いや、僕はここに残る」って言うんです。
E.T.
![E.T.コレクターズ・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41EJH6DYZZL._SL160_.jpg)
太田:あぁ!
宇多丸:少年は、大人になる選択をちゃんとするんです。
太田:うわ!この見方はしたことなかったね。
宇多丸:スピルバーグ論としては有名な話なんですけど、スピルバーグ自身も子供が出来て、大人になってるんです。
太田:保守的になったのかね。
宇多丸:たしかに、そうかもしれないですね。「『未知との遭遇』の結末は、今となっては、とんでもない結末だ」って自分で言ってるんです。家族も何もかも捨ててって。
太田:だから魅かれたんだよね。訳の分からないものにみんなが行くっていうね。
宇多丸:アレは、大人がちょっと心疲れたときに、「宇宙人が救ってくれないかな」って思って観ると良いんですよね。
太田:逃げたいときか。
田中:中学生の当時、UFOの夢ばっかり見てたもん。
太田:お前はそんな深いところで観てないだろ(笑)
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太田光(以下、太田):自分の中のベスト1って訊かれると困る?
ライムスター宇多丸(以下、宇多丸):そうなんですよ。でも、その質問のための回答を幾つか用意してて。『ヤング・ゼネレーション』ですよ、とか。
ヤング・ゼネレーション
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ヒッチコックの『めまい』ですよ、とか言ってるんですけど。
めまい
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田中裕二(以下、田中):あぁ。
太田:名作というか、ヒッチコックあたりになっていくの?
宇多丸:『めまい』は世間的に名作とされているし、『ヤング・ゼネレーション』は個人的に好きな青春作品なんですよ。自転車に乗った青年の作品なんですけど。
太田:『E.T.』乗せて?(笑)
田中:"宇宙人"乗せて、にしてもらわないとツッコめないから(笑)
宇多丸:スピルバーグ監督だったら、『未知との遭遇』が凄い好きなんです。
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太田:分かる!『E.T.』は駄作だよね。
宇多丸:駄作じゃないですよ。『未知との遭遇』との比較で言うと、『E.T.』の方が作り手として大人になってるんですよね、スピルバーグ監督は。
田中:へぇ。
宇多丸:『未知との遭遇』は、変わった映画じゃないですか。最後の最後で、すべてが変わる。そこまでは政治サスペンスみたいな感じで、政府の陰謀、UFOを見たが故に社会からドロップアウトしていってしまう主人公。つまり、これって大人の映画なんですね。
太田:うん。
宇多丸:社会があって、主人公がいてそれに翻弄されて。社会の中で個人は無力であるっていう、大人の世界観ですね。
田中:奇人扱いされちゃうってことだよね。
宇多丸:ところが最後に、UFOに会いました、そのUFOに会うところもアメリカ政府のお膳立てで、そこまで大人の世界なんです。でも、最後の最後で、宇宙人が迎えにきたのは、「あなたなんです」って主人公のところにやってくるんです。「世間では子供っぽい人間としてドロップアウトしたかもしれないけど、そうじゃない」と。宇宙人の顔も、子供っぽい。それが対比されて、子供みたいな人だからあなたを選んだんです、と。
田中:うん。
宇多丸:それで宇宙人に連れて行かれる。つまり、ずっと大人の話できて、そこで一気にいわゆる「セカイ系」の話になる。僕=セカイという、子供の世界観になって、めでたしめでたし、となる。大の大人が、全く問題ない世界でちやほやされて終わるっていう。大人の映画が、一気に子供の映画になって、逆転する。そのカタルシスがあるんです。
太田:あぁ。
宇多丸:「世界は俺のためにあるんだ」って。
太田:うん。
宇多丸:『E.T.』では、少年は「ここではないどこかへ行こうよ」って言われて、「いや、僕はここに残る」って言うんです。
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太田:あぁ!
宇多丸:少年は、大人になる選択をちゃんとするんです。
太田:うわ!この見方はしたことなかったね。
宇多丸:スピルバーグ論としては有名な話なんですけど、スピルバーグ自身も子供が出来て、大人になってるんです。
太田:保守的になったのかね。
宇多丸:たしかに、そうかもしれないですね。「『未知との遭遇』の結末は、今となっては、とんでもない結末だ」って自分で言ってるんです。家族も何もかも捨ててって。
太田:だから魅かれたんだよね。訳の分からないものにみんなが行くっていうね。
宇多丸:アレは、大人がちょっと心疲れたときに、「宇宙人が救ってくれないかな」って思って観ると良いんですよね。
太田:逃げたいときか。
田中:中学生の当時、UFOの夢ばっかり見てたもん。
太田:お前はそんな深いところで観てないだろ(笑)
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