爆笑問題・太田「若手時代に放送した今では考えられないブラックなネタ番組」
2014.02.05 (Wed)
2014年02月05日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題カーボーイ』(毎週火 25:00 - 27:00)にて、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が、日本テレビ系のドラマ『明日、ママがいない』についての批判に関連して、自分たちが行っていたテレビでのコント番組について語っていた。
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太田光(以下、太田):世の中に逆説的なことって通じにくいんだなって思った時に思い出したことがあってね。…日本テレビで『ライブ・ショー・ミー』って、5週勝ち抜きのコンテスト番組がありまして。その勝利品が、若手に深夜に「60分間放し飼い」って枠があって、その番組枠をくれたんですよ。
田中裕二(以下、田中):うん。1時間、何をやっても良いですよっていうね。
太田:我々が勝って、「黒い電波」ってコント番組をやりましてね。今だったら考えられないような番組ですけど、60分間、全部私が書いたコントをやったんですよ。
田中:うん。
太田:コントをやったんですよ。
田中:うん。
太田:テーマがあって、テレビの攻撃性みたいなものを取り上げたんですよ。悪趣味なテレビってテーマで、ブラックなコントをやり続けて。
田中:はい。
太田:その中で、印象的だった出来事があって。1つは、ドッキリのコントなんですよ。田中くんが幼い子供を亡くした父親なんですよ。仏壇の前にいて。事故で亡くなってしまったんです。
田中:うん。
太田:そこに電話が掛かってきて、「○○病院ですが、お子さんが亡くなったのは間違いで、別のお子さんでした。お宅のお子さんは、負傷されましたが、生きております。手違いで申し訳ございません」って知らせが入るんです。
田中:うん。
太田:田中くんは、喜んで病院に行く。そこにベッドがあって、看護婦さんがいて。「たかし!良かった、助かって…」って、布団をめくると、そこにダッチワイフがあって(笑)
田中:うん(笑)
太田:「えっ…」って田中くんが絶句していると、俺が後ろからドッキリの看板を持って、ヘルメット被って野呂圭介風に出てきて(笑)「お父さん、これ見て、これ。ドッキリ!生きてるわけないでしょ!」って言うんです。
田中:ふふ(笑)まぁヒドイコントだよね。
太田:これがテレビの悪趣味として考えたわけですよね。そのコントがあって。
田中:うん。
太田:別のコントもあって。今度は、田中くんが少年で、中学生で引きこもってる子で。カレンダーに丸印がしてあるんですね。「決行日」って書いて、赤い丸印で。
田中:うん。
太田:金属バットを持って、親を…って話なんですよ。刻々とその日が近づいてくるって描写があって、いざその日になる、金属バットを持って部屋を出て、母親を…って思うと、台所にいない。「え?」って思うと、ゴホンゴホンって奥の部屋から咳の音がする。
田中:うん。
太田:扉を開けると、母親が熱を出して寝ているんです。「裕二ごめんね。私、今日、調子悪くて…」っていうと、金属バットを置いて、結局、少年がおかゆを作ってしまうっていう、この2つのコントを作ったんです。
田中:うん。
太田:その間に、つなぎでブラックなコントがいっぱいあるんですけど。俺は、金属バットの方はボツになるのかなぁって思ったんです。というのは、残酷過ぎてボツにされるかなって思ったんです。
田中:うん。
太田:ドッキリの方は、良いネタだなって思って。会議に掛けたら、まぁドッキリの方が問題になるわけですよ。金属バットの方が、「太田くん、実は優しいところあるんだね」って評価だったんです。これ、凄く意外で。テレビで初めて企画を考えて、コントを作った時に、俺の意向・メッセージとしては、ドッキリの方は、「テレビはヘタすればこんな悪質なこともやりかねないって皮肉」なんですよ。テレビに対する批判なんです。
田中:うん。
太田:テレビ側が、倫理観を持たないとこうなるよ、っていう茶化しなんですよ。
田中:うん。
太田:俺にとっては正義なんですね。悪趣味なテレビ側を茶化してるわけだから。
田中:うん。
太田:片や金属バットの方は、「殺そうとしてたやつが、お母さんが病気になったら、おかゆ作っちゃってやんの。おい、殺せよ」ってツッコミなんですよ。これは、倫理的にどうかなって思ったわけですよ。
田中:コントのストーリー、ツッコミどころとしてはそこなのね。
太田:ツッコミどころは、「おい看病してんじゃねぇよ。殺せよ」って意味合いなんです。そっちが倫理的にダメかなって思ってた。
田中:うん。
太田:ドッキリは、テレビ側とすれば自己批判だから良いだろうって思うんです。でも、逆なんだよね。受け止め方が。まぁ、どっちも放送したんですけど、「世間、大衆っていうのはこういう受け止め方なんだ」って思ったんですよ。それを思い出したのが、今回の『明日、ママがいない』への批判だったんです。
田中:なるほどね。
太田:逆説が逆説として、そう捉えられないんだなって思って。最初にテレビで感じた「逆説が通じない」っていうのがずっと思ってますけどね。
田中:うん。
太田:村上春樹がベストセラーになるような世の中で漫才師をやってるのは難しいんですけど。
田中:何を言いたいか分からないよ(笑)「毒蝮三太夫さんのコント」もあったね。俺がマムシさんで、『ミュージックプレゼント』で商店街に行くわけですよ。
太田:うん。
田中:俺がおばあちゃんに「なんだこのクソババア」ってやってると、スタジオ側に抗議のファックスが殺到するってコント。
太田:あぁ。
田中:マムシさんが「困っちゃったよ」ってスタジオ側に振る、と。だけどスタジオのMCは「今のはないんじゃないかな。高齢の方に、『クソババア』っていうのは」って説教してシュンとなっちゃうってコントなんですよ。
太田:あったね。
田中:それもそうじゃん(笑)
太田:それはまっとうに、シャレが通じなくなるってことでね。それが通るのは当たり前かなって思ったけどね。それはストレートな表現の部分で批判を受けるってことで、俺が違和感を感じたのは"逆"ってことなんだよ。逆説が通じないっていう。
田中:うん。それはたしかに難しいよね(つづく:爆笑問題・太田「『明日、ママがいない』批判の原因は、野島伸司の技術不足だ」)。
前記事:爆笑問題・太田「『明日、ママがいない』は作品としてつまらなく、物足りない」
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太田光(以下、太田):世の中に逆説的なことって通じにくいんだなって思った時に思い出したことがあってね。…日本テレビで『ライブ・ショー・ミー』って、5週勝ち抜きのコンテスト番組がありまして。その勝利品が、若手に深夜に「60分間放し飼い」って枠があって、その番組枠をくれたんですよ。
田中裕二(以下、田中):うん。1時間、何をやっても良いですよっていうね。
太田:我々が勝って、「黒い電波」ってコント番組をやりましてね。今だったら考えられないような番組ですけど、60分間、全部私が書いたコントをやったんですよ。
田中:うん。
太田:コントをやったんですよ。
田中:うん。
太田:テーマがあって、テレビの攻撃性みたいなものを取り上げたんですよ。悪趣味なテレビってテーマで、ブラックなコントをやり続けて。
田中:はい。
太田:その中で、印象的だった出来事があって。1つは、ドッキリのコントなんですよ。田中くんが幼い子供を亡くした父親なんですよ。仏壇の前にいて。事故で亡くなってしまったんです。
田中:うん。
太田:そこに電話が掛かってきて、「○○病院ですが、お子さんが亡くなったのは間違いで、別のお子さんでした。お宅のお子さんは、負傷されましたが、生きております。手違いで申し訳ございません」って知らせが入るんです。
田中:うん。
太田:田中くんは、喜んで病院に行く。そこにベッドがあって、看護婦さんがいて。「たかし!良かった、助かって…」って、布団をめくると、そこにダッチワイフがあって(笑)
田中:うん(笑)
太田:「えっ…」って田中くんが絶句していると、俺が後ろからドッキリの看板を持って、ヘルメット被って野呂圭介風に出てきて(笑)「お父さん、これ見て、これ。ドッキリ!生きてるわけないでしょ!」って言うんです。
田中:ふふ(笑)まぁヒドイコントだよね。
太田:これがテレビの悪趣味として考えたわけですよね。そのコントがあって。
田中:うん。
太田:別のコントもあって。今度は、田中くんが少年で、中学生で引きこもってる子で。カレンダーに丸印がしてあるんですね。「決行日」って書いて、赤い丸印で。
田中:うん。
太田:金属バットを持って、親を…って話なんですよ。刻々とその日が近づいてくるって描写があって、いざその日になる、金属バットを持って部屋を出て、母親を…って思うと、台所にいない。「え?」って思うと、ゴホンゴホンって奥の部屋から咳の音がする。
田中:うん。
太田:扉を開けると、母親が熱を出して寝ているんです。「裕二ごめんね。私、今日、調子悪くて…」っていうと、金属バットを置いて、結局、少年がおかゆを作ってしまうっていう、この2つのコントを作ったんです。
田中:うん。
太田:その間に、つなぎでブラックなコントがいっぱいあるんですけど。俺は、金属バットの方はボツになるのかなぁって思ったんです。というのは、残酷過ぎてボツにされるかなって思ったんです。
田中:うん。
太田:ドッキリの方は、良いネタだなって思って。会議に掛けたら、まぁドッキリの方が問題になるわけですよ。金属バットの方が、「太田くん、実は優しいところあるんだね」って評価だったんです。これ、凄く意外で。テレビで初めて企画を考えて、コントを作った時に、俺の意向・メッセージとしては、ドッキリの方は、「テレビはヘタすればこんな悪質なこともやりかねないって皮肉」なんですよ。テレビに対する批判なんです。
田中:うん。
太田:テレビ側が、倫理観を持たないとこうなるよ、っていう茶化しなんですよ。
田中:うん。
太田:俺にとっては正義なんですね。悪趣味なテレビ側を茶化してるわけだから。
田中:うん。
太田:片や金属バットの方は、「殺そうとしてたやつが、お母さんが病気になったら、おかゆ作っちゃってやんの。おい、殺せよ」ってツッコミなんですよ。これは、倫理的にどうかなって思ったわけですよ。
田中:コントのストーリー、ツッコミどころとしてはそこなのね。
太田:ツッコミどころは、「おい看病してんじゃねぇよ。殺せよ」って意味合いなんです。そっちが倫理的にダメかなって思ってた。
田中:うん。
太田:ドッキリは、テレビ側とすれば自己批判だから良いだろうって思うんです。でも、逆なんだよね。受け止め方が。まぁ、どっちも放送したんですけど、「世間、大衆っていうのはこういう受け止め方なんだ」って思ったんですよ。それを思い出したのが、今回の『明日、ママがいない』への批判だったんです。
田中:なるほどね。
太田:逆説が逆説として、そう捉えられないんだなって思って。最初にテレビで感じた「逆説が通じない」っていうのがずっと思ってますけどね。
田中:うん。
太田:村上春樹がベストセラーになるような世の中で漫才師をやってるのは難しいんですけど。
田中:何を言いたいか分からないよ(笑)「毒蝮三太夫さんのコント」もあったね。俺がマムシさんで、『ミュージックプレゼント』で商店街に行くわけですよ。
太田:うん。
田中:俺がおばあちゃんに「なんだこのクソババア」ってやってると、スタジオ側に抗議のファックスが殺到するってコント。
太田:あぁ。
田中:マムシさんが「困っちゃったよ」ってスタジオ側に振る、と。だけどスタジオのMCは「今のはないんじゃないかな。高齢の方に、『クソババア』っていうのは」って説教してシュンとなっちゃうってコントなんですよ。
太田:あったね。
田中:それもそうじゃん(笑)
太田:それはまっとうに、シャレが通じなくなるってことでね。それが通るのは当たり前かなって思ったけどね。それはストレートな表現の部分で批判を受けるってことで、俺が違和感を感じたのは"逆"ってことなんだよ。逆説が通じないっていう。
田中:うん。それはたしかに難しいよね(つづく:爆笑問題・太田「『明日、ママがいない』批判の原因は、野島伸司の技術不足だ」)。
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