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爆笑問題・太田「『明日、ママがいない』は作品としてつまらなく、物足りない」

2014.02.05 (Wed)
2014年02月05日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題カーボーイ』(毎週火 25:00 - 27:00)にて、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が、日本テレビ系のドラマ『明日、ママがいない』についての感想や批判について語っていた。

ずっとずっとトモダチ
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『明日、ママがいない』への批判

太田光(以下、太田):『明日、ママがいない』(毎週水 22:00 - 23:00)が話題になってますけども、私としては違和感あるんですよ。

田中裕二(以下、田中):うん。

太田:世間が感じてる違和感と、俺の違和感は違うんですよね。僕は3話とも観たんですけどね。養護施設を舞台として、問題となっているのは、芦田愛菜ちゃんのあだ名が『ポスト』という。赤ちゃんポストからきてるんですけども。

田中:うん。

太田:もうちょっと年が上の子が、コインロッカーで捨てられていたっていう設定で、『ロッカー』というあだ名。

田中:はい。

太田:他にも、いわゆる逆説的・自虐的、ネガティブなあだ名が付いてるんですよ。観ていると全部、逆説なんですよね。

田中:うん。

太田:『ポスト』って呼ぶことが、すなわち芦田愛菜が気に入っているあだ名であって、自らそれで良い、と。ヒロイズムの象徴的な名前としてあって。

田中:うん。

太田:さらに、そこに三上博史がいて、「お前らはペットと一緒だ。犬猫と一緒だ」って言うんですよ。それも見え見えの逆説なんですよね。「この人は、本当は心優しい人で、そのうち、人の痛みを知る。この先、回が進んでいけば善人になる」って、明らかに分かるんですよ。俺が観てて不満なのは、そこなんですよ。

田中:うん。

ドラマとしての陳腐さ

太田:古いな、と。そのパターン。

田中:『愛と青春の旅だち』とかね(笑)

太田:分かりやす過ぎるんだよね。『赤毛のアン』にしろ、『トムソーヤ』にしろ、『アルプスの少女ハイジ』もそうですけど、孤児の文学っていうのはあるわけですね。その王道通り、というかむしろそれらより陳腐ですよね。

田中:うん。

太田:キャラクターも紋切り型で。俺が観てて違和感を感じるのは、「施設にいる子たちだけが、クールで人間の本当の優しさ、大切さを知っていて、彼女たちだけが心が澄んでいる」って描かれてるんだよ。

田中:うん。

太田:普通の学校に行くわけですけど、そこのPTAは極端に悪いヤツなんです。

田中:悪者なんだね。

太田:そうすると、俺がクレームを入れるとすれば、そこなんですよね。「普通の人たちだって、ちゃんとしてるよ」ってことを言いたくなるような感じに描かれてるんですよ。

田中:うん。

太田:唯一、普通のボンボンの子が、大金持ちなんですよ。しかも絵に描いたような大金持ち(笑)

田中:ふふ(笑)

太田:あえて漫画チックにしてるんだろうけどね。

田中:大映テレビ的なね。

太田:大金持ちの子の誕生日会で、施設の子が、手編みのマフラーを持って行って。普通の意地悪な子は、カシミアのセーターかなんかを持って行って。「何これ(笑)」って言うわけですよ。さらに、「あなたはピアノなんか弾けないわよね」なんて言うんですよ。

田中:50年くらい前ですね(笑)

太田:そしたら、施設の子が凄い名演奏をするんですよ。「今どきそんな描写するかね」って感じなんですけど。

田中:うん。

太田:文句がついてる部分っていうのは、施設を悪く描いてるってことですよね。「施設は、そんなに悪いところじゃない」ってわけですけど、観ている限りは、施設ばかりを良く描いている。逆説的なことはいっぱいあるけどね。施設ばかりを善として描いているってところが、逆に物足りないし、新しくないなって思うんですよ。

田中:うん。

太田:個人的な意見としては、作品としてつまらない。

田中:うん。

施設側の声高な意見について

太田:施設の人たちの訴えを見ると、表層的な『ポスト』っていう言葉や、「お前たちはペットだ」っていうシーンが、トラウマとしてなっている子たちは、それで傷があるんだ、と。

田中:うん。

太田:その言い分は分かるんですよ。

田中:幼いと分からないしね。

太田:うん。自分たちと似た境遇の子たちもいるかもしれないし、ましてや芦田愛菜ちゃんが大好きだから観たい、と。そこは読解力の問題だなって思う部分もあるけども、施設側の人たちは、それを危惧する気持ちもわかるし。

田中:うん。

太田:「フラッシュバックが起きてます」とアンケートをとっている。ドラマが近づくと、恐怖で泣き叫ぶ子供たちが出てきた。それを言うわけですよ。でも、そこでもう1つ思うことは、「それを声高に言うことによって、さらにその被害が生まれませんか?」っていうのは、疑問としてあるんだけどね。

田中:うん。

太田:総じて思うのは、作り手のメッセージと、世間が感じることというものの裏腹さ。逆説的な表現というのが、非常に世の中通じにくいなって思うんです。

田中:うん。

太田:「逆説的な表現が、世の中って通じにくい」と思ったときに思い出したことがあってね…(つづく:爆笑問題・太田「若手時代に放送した今では考えられないブラックなネタ番組」)。

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