TOP ≫ 鈴木敏夫のジブリ汗まみれ ≫ ドワンゴ会長・川上量生「コンテンツ所有者が報われないネット社会」
ドワンゴ会長・川上量生「コンテンツ所有者が報われないネット社会」
2013.12.23 (Mon)
2013年12月22日放送の『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』(毎週日 23:00 - 23:30)にて、株式会社ドワンゴ代表取締役会長・川上量生がゲスト出演していた。そこで、コンテンツの所有者が、口コミ自体も取り込んだビジネスモデルを考えていく必要がある、と語っていた。
ルールを変える思考法

鈴木敏夫:株式会社スタジオジブリ代表取締役
塚越隆行:ウォルト・ディズニー・ジャパン ジェネラルマネージャー
川上量生:株式会社ドワンゴ代表取締役会長
川上量生:(映画作品などに)特典を付けたりするのって、それなりにコストも掛かる話じゃないですか。それに、費用対効果もある。
塚越隆行:うん
川上量生:どうせやるなら、そういう形で特典をつけていくのは正しいと思うんですけど、将来的に、そこに付けていかなければならないのは、口コミの方だと思うんです。
鈴木敏夫:口コミ?
塚越隆行:そうですね。SNSとか。残念ながら、それがディズニーは出来ないんですよ。これが次の僕らのチャレンジになると思うんですけども。
川上量生:ネットって、無料モデルが中心じゃないですか。広告を出すといったことで採算をとろうとする。その広告モデルで考えていく場合、コンテンツを持ってるって人は、実は損で。コンテンツを出したところにくるPVよりも、そのコンテンツの噂をしている人、「面白かった」とか、どうだったって言ってる人のブログとかのPVの方が、はるかに多いんです。
塚越隆行:うん。
川上量生:PVによって広告料金をもらえるわけで、それというのは、ネタを提供したコンテンツ会社には、一切、広告料金が入ってこないんですよ。
塚越隆行:うん、なるほどね。
川上量生:だから、広告モデルで考えると、コンテンツ業者っていうのは、インターネットの仕組みでは、搾取されている状態なんです。
塚越隆行:持ってかれてしまっている(笑)
川上量生:今はそれが当然のこととされてますけど、そういうのも、いずれはコンテンツホルダーが、そこをコントロールできるようになるべきだっていうか、ならないとやってられないと思うんですよね(笑)
塚越隆行:僕もそう思う。今はできないんだけれども、近い将来にそういうこともできるって思ってます。
川上量生:僕もそういう方向になると思うんですよね。
ウォルト・ディズニー・ジャパンが今後展開していくMovieNEXは、ムービーを観る「シアター」と、キャンペーンなどを行う「スーベニア」という大きく分けて2つのセクションに分かれているという。
今後、「スーベニア」などで口コミなどを利用するキャンペーンなどを展開していく予定であるという。たとえば、ピクサーで働くアート・ディレクターである堤大介のコンセプトアートなどを掲載し、大きな反響を得たそうだ。
川上量生:こういうのは、ネットにおける情報の波動をコンテンツホルダーが持とうとする動きだと思うんですよね。
塚越隆行:うん。
川上量生:ただ、これは既存のコンテンツを置いていくヤツではないですか。たとえば、ネットに対応したクリエイターたちがどのようなことをやっているかというのを考えると、ネットのクリエイターはツイッターのアカウントとかを持っているわけですよ。もしくは、ブログやHPなどのアカウントを、クリエイター自身が持っている。
塚越隆行:うん。
川上量生:ファンっていうのは、そこのツイッターをフォローしているし、クリエイターの発言を常に見ている。そういう人たちは、クリエイターが何かをつぶやいたら、それに乗っかっていくって流れができているんです。
塚越隆行:うん。
川上量生:だけど、そういったネット対応ができていないコンテンツっていうのは、どこを見たら良いっていうのがよく分からない。だから、他に(PVが)流出してしまうんです。
塚越隆行:うん。コンテンツホルダーがそういうのを持つっていうのは、良いことなんでしょ?
川上量生:良いことですし、それをやることで色々な面白いことが起きてます。たとえば、今後、広告費っていうのはコンテンツに対して掛けるのは難しい、みたいな状況になってますよね。そうすると、ネットの新しいクリエイターがどうしているかっていうと、「○月○日に、このお店でチラシを無料配布します」とかってつぶやくんです。
塚越隆行:うん。
川上量生:そうすると、ファンが何千人単位で集まる。配っているのはチラシなんですよ。だから、チラシ配布がもはやイベントになるんです(笑)
塚越隆行:ふふ(笑)
川上量生:でも、それは情報の流れをコンテンツホルダーが握っているからできることで、今まではそういうのを無闇にチラシとかを撒いていたわけですよね。あちこちに。そうじゃなくて、ネット時代というのは、必要な人に、情報を届けられるようにするのが大きなポイントのような気がしますね。
塚越隆行:今までの僕らの仕事っていうのは、アメリカで出来た映画を、右から左に動かしていくことでビジネスが成り立っていたんだけども、僕らがどういう情報を渡していくかのように、考えられるようになったというのが、大きな変化だと思いますね。その第一歩の試みが、スタートできたと思います。
【関連記事】
ジブリ・鈴木敏夫P「宮崎駿作品が莫大な制作費を要するワケ」
世界的デザイナー・佐藤オオキ「より良い仕事を行うための3つの心構え」
伊集院光「Perfume×ライゾマティクスの技術の凄さ」
ルールを変える思考法

対談登場人物
鈴木敏夫:株式会社スタジオジブリ代表取締役
塚越隆行:ウォルト・ディズニー・ジャパン ジェネラルマネージャー
川上量生:株式会社ドワンゴ代表取締役会長
SNSなどの口コミが産み出す広告収入
川上量生:(映画作品などに)特典を付けたりするのって、それなりにコストも掛かる話じゃないですか。それに、費用対効果もある。
塚越隆行:うん
川上量生:どうせやるなら、そういう形で特典をつけていくのは正しいと思うんですけど、将来的に、そこに付けていかなければならないのは、口コミの方だと思うんです。
鈴木敏夫:口コミ?
塚越隆行:そうですね。SNSとか。残念ながら、それがディズニーは出来ないんですよ。これが次の僕らのチャレンジになると思うんですけども。
川上量生:ネットって、無料モデルが中心じゃないですか。広告を出すといったことで採算をとろうとする。その広告モデルで考えていく場合、コンテンツを持ってるって人は、実は損で。コンテンツを出したところにくるPVよりも、そのコンテンツの噂をしている人、「面白かった」とか、どうだったって言ってる人のブログとかのPVの方が、はるかに多いんです。
塚越隆行:うん。
蚊帳の外におかれるコンテンツホルダー
川上量生:PVによって広告料金をもらえるわけで、それというのは、ネタを提供したコンテンツ会社には、一切、広告料金が入ってこないんですよ。
塚越隆行:うん、なるほどね。
川上量生:だから、広告モデルで考えると、コンテンツ業者っていうのは、インターネットの仕組みでは、搾取されている状態なんです。
塚越隆行:持ってかれてしまっている(笑)
川上量生:今はそれが当然のこととされてますけど、そういうのも、いずれはコンテンツホルダーが、そこをコントロールできるようになるべきだっていうか、ならないとやってられないと思うんですよね(笑)
塚越隆行:僕もそう思う。今はできないんだけれども、近い将来にそういうこともできるって思ってます。
川上量生:僕もそういう方向になると思うんですよね。
上手くネット利用しているクリエイターの方法
ウォルト・ディズニー・ジャパンが今後展開していくMovieNEXは、ムービーを観る「シアター」と、キャンペーンなどを行う「スーベニア」という大きく分けて2つのセクションに分かれているという。
今後、「スーベニア」などで口コミなどを利用するキャンペーンなどを展開していく予定であるという。たとえば、ピクサーで働くアート・ディレクターである堤大介のコンセプトアートなどを掲載し、大きな反響を得たそうだ。
川上量生:こういうのは、ネットにおける情報の波動をコンテンツホルダーが持とうとする動きだと思うんですよね。
塚越隆行:うん。
川上量生:ただ、これは既存のコンテンツを置いていくヤツではないですか。たとえば、ネットに対応したクリエイターたちがどのようなことをやっているかというのを考えると、ネットのクリエイターはツイッターのアカウントとかを持っているわけですよ。もしくは、ブログやHPなどのアカウントを、クリエイター自身が持っている。
塚越隆行:うん。
川上量生:ファンっていうのは、そこのツイッターをフォローしているし、クリエイターの発言を常に見ている。そういう人たちは、クリエイターが何かをつぶやいたら、それに乗っかっていくって流れができているんです。
塚越隆行:うん。
川上量生:だけど、そういったネット対応ができていないコンテンツっていうのは、どこを見たら良いっていうのがよく分からない。だから、他に(PVが)流出してしまうんです。
塚越隆行:うん。コンテンツホルダーがそういうのを持つっていうのは、良いことなんでしょ?
川上量生:良いことですし、それをやることで色々な面白いことが起きてます。たとえば、今後、広告費っていうのはコンテンツに対して掛けるのは難しい、みたいな状況になってますよね。そうすると、ネットの新しいクリエイターがどうしているかっていうと、「○月○日に、このお店でチラシを無料配布します」とかってつぶやくんです。
塚越隆行:うん。
川上量生:そうすると、ファンが何千人単位で集まる。配っているのはチラシなんですよ。だから、チラシ配布がもはやイベントになるんです(笑)
塚越隆行:ふふ(笑)
川上量生:でも、それは情報の流れをコンテンツホルダーが握っているからできることで、今まではそういうのを無闇にチラシとかを撒いていたわけですよね。あちこちに。そうじゃなくて、ネット時代というのは、必要な人に、情報を届けられるようにするのが大きなポイントのような気がしますね。
塚越隆行:今までの僕らの仕事っていうのは、アメリカで出来た映画を、右から左に動かしていくことでビジネスが成り立っていたんだけども、僕らがどういう情報を渡していくかのように、考えられるようになったというのが、大きな変化だと思いますね。その第一歩の試みが、スタートできたと思います。
【関連記事】
ジブリ・鈴木敏夫P「宮崎駿作品が莫大な制作費を要するワケ」
世界的デザイナー・佐藤オオキ「より良い仕事を行うための3つの心構え」
伊集院光「Perfume×ライゾマティクスの技術の凄さ」
同番組の過去記事
| トップページへ |