映画評論家・町山智浩「過酷なアメリカ社会でヒットしている映画の特徴」
2013.10.22 (Tue)
2013年10月22日放送の「たまむすび」にて、トム・ハンクス主演「キャプテン・フィリップス」について語られていた。
この映画は、ソマリア海賊人質事件の実録映画であり、トム・ハンクス演じるリチャード・フィリップス船長が、乗組員を救うべく身代わりとなり、海賊の人質になるという勇気ある決断をするという内容だった。
キャプテン・フィリップス

赤江珠緒「最近、アメリカでは、『キャプテン・フィリップス』や、『ゼロ・グラビティ』のような、苦しい感じの映画がヒットしてるんですね」
『ゼロ・グラビティ』は、2人の宇宙船飛行士、ライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)、マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)が、宇宙空間に取り残されてしまう、という映画である。
ゼロ・グラビティ

町山「あのね、『ゼロ・グラビティ』が、アメリカで今、3週間連続でナンバー1を独走している状態なんですよ」
山里亮太「へぇ」
町山「2位に『キャプテン・フィリップス』がつけていて。でも、1位も2位も、主人公がたった1人で、海とか宇宙に放り出されて、孤立無援の状態で苦しむ。そこでいかに生き残るかっていう、ほとんど同じ映画なんですよ(笑)」
山里亮太「うん、うん」
町山「今週の末から、『All Is Lost』という映画が公開なるんですが、これはヨットに乗って遊んでいた金持ちのロバート・レッドフォードがですね、流れてきたコンテナにヨットがぶつかって、ヨットに穴が空いてしまって、沈んでいってしまう」
ALL IS LOST

山里亮太「はい」
町山「無線機とかも壊れてしまって、太平洋のど真ん中でずっとサバイバルするという、2時間、全くセリフがないような映画なんです」
赤江珠緒「へぇ」
町山「頭の方でヨットに穴が空いてしまって、それからずっと生き残るための苦労話なんです(笑)」
山里亮太「へぇ」
町山「これが1ヶ月の間に、3本も連続で公開されているって異常な状況なんです」
赤江珠緒「しんどい映画ばかりですね」
町山「もう、しんどいんですよ(笑)ただ、ものすごく緻密に描いてて、いかに生き残るかってことを、あらゆる手段で見せていくんですけども」
山里亮太「はい」
町山「なんで、しんどい映画ばかりなのかっていうと、アメリカは生活していくのが厳しいからなのかなって思ったんです」
赤江珠緒「今のアメリカが」
町山「えぇ。『キャプテン・フィリップス』の頭で、トム・ハンクスが『今のアメリカは、本当に厳しい』って言うんですね。終身雇用もないし、いきなりクビといわれても、何も文句が言えないんです。アメリカって」
山里亮太「はい」
町山「アメリカって、日本と違って、全く理由もなく会社員をクビにすることができるんです」
山里亮太「え?問題にならないんですか?」
町山「問題にならないんです。就職するときに、そういった契約書にサインをするんです」
山里亮太「あぁ」
町山「会社側の理由において、解雇されても訴えないって契約書にサインをしないと、就職できないんです」
赤江珠緒「終身雇用って考えは無いんですね」
町山「ないです。窓際族みたいな人もいなくて。そういう『厳しい社会で、サバイバルなんだ』ってことを、トム・ハンクス扮するフィリップス船長は言うんですね」
赤江珠緒「えぇ」
町山「だから、そういう気分でアメリカ人は観ているのかなって」
山里亮太「自分の状況と照らし合わせてるんですかね」
町山「そういう気もするんです」
【関連記事】
映画評論家・町山智浩「映画音楽がクラシックに似ているワケ」
映画評論家・町山智浩「映画で学ぶことができる恋愛」
映画評論家・町山智浩「報われない人が元気になれる小説『縮みゆく男』」
この映画は、ソマリア海賊人質事件の実録映画であり、トム・ハンクス演じるリチャード・フィリップス船長が、乗組員を救うべく身代わりとなり、海賊の人質になるという勇気ある決断をするという内容だった。
キャプテン・フィリップス

赤江珠緒「最近、アメリカでは、『キャプテン・フィリップス』や、『ゼロ・グラビティ』のような、苦しい感じの映画がヒットしてるんですね」
『ゼロ・グラビティ』は、2人の宇宙船飛行士、ライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)、マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)が、宇宙空間に取り残されてしまう、という映画である。
ゼロ・グラビティ

町山「あのね、『ゼロ・グラビティ』が、アメリカで今、3週間連続でナンバー1を独走している状態なんですよ」
山里亮太「へぇ」
町山「2位に『キャプテン・フィリップス』がつけていて。でも、1位も2位も、主人公がたった1人で、海とか宇宙に放り出されて、孤立無援の状態で苦しむ。そこでいかに生き残るかっていう、ほとんど同じ映画なんですよ(笑)」
山里亮太「うん、うん」
町山「今週の末から、『All Is Lost』という映画が公開なるんですが、これはヨットに乗って遊んでいた金持ちのロバート・レッドフォードがですね、流れてきたコンテナにヨットがぶつかって、ヨットに穴が空いてしまって、沈んでいってしまう」
ALL IS LOST

山里亮太「はい」
町山「無線機とかも壊れてしまって、太平洋のど真ん中でずっとサバイバルするという、2時間、全くセリフがないような映画なんです」
赤江珠緒「へぇ」
町山「頭の方でヨットに穴が空いてしまって、それからずっと生き残るための苦労話なんです(笑)」
山里亮太「へぇ」
町山「これが1ヶ月の間に、3本も連続で公開されているって異常な状況なんです」
赤江珠緒「しんどい映画ばかりですね」
町山「もう、しんどいんですよ(笑)ただ、ものすごく緻密に描いてて、いかに生き残るかってことを、あらゆる手段で見せていくんですけども」
山里亮太「はい」
町山「なんで、しんどい映画ばかりなのかっていうと、アメリカは生活していくのが厳しいからなのかなって思ったんです」
赤江珠緒「今のアメリカが」
町山「えぇ。『キャプテン・フィリップス』の頭で、トム・ハンクスが『今のアメリカは、本当に厳しい』って言うんですね。終身雇用もないし、いきなりクビといわれても、何も文句が言えないんです。アメリカって」
山里亮太「はい」
町山「アメリカって、日本と違って、全く理由もなく会社員をクビにすることができるんです」
山里亮太「え?問題にならないんですか?」
町山「問題にならないんです。就職するときに、そういった契約書にサインをするんです」
山里亮太「あぁ」
町山「会社側の理由において、解雇されても訴えないって契約書にサインをしないと、就職できないんです」
赤江珠緒「終身雇用って考えは無いんですね」
町山「ないです。窓際族みたいな人もいなくて。そういう『厳しい社会で、サバイバルなんだ』ってことを、トム・ハンクス扮するフィリップス船長は言うんですね」
赤江珠緒「えぇ」
町山「だから、そういう気分でアメリカ人は観ているのかなって」
山里亮太「自分の状況と照らし合わせてるんですかね」
町山「そういう気もするんです」
【関連記事】
映画評論家・町山智浩「映画音楽がクラシックに似ているワケ」
映画評論家・町山智浩「映画で学ぶことができる恋愛」
映画評論家・町山智浩「報われない人が元気になれる小説『縮みゆく男』」
同番組の過去記事
| トップページへ |