TOP ≫ 先輩ROCK YOU ≫ 佐藤浩市「無駄に過ごす時間はあっても、無駄な経験はない」
佐藤浩市「無駄に過ごす時間はあっても、無駄な経験はない」
2013.09.09 (Mon)
2013年09月07日放送の「心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU」にて、佐藤浩市がゲスト出演していた。そこで、経験の積み方について語っていた。
佐藤浩市「『けたぐり』をよく若い頃してたんですよ」
木南晴夏「けたぐり?」
佐藤浩市「要は、本番でタイミングを変えたりして」
木南晴夏「お芝居の?」
佐藤浩市「うん。やったことない動きをしたりとか」
大東駿介「いきなりやるんですか?」
佐藤浩市「そういう"かまし"も随分しましたね」
加藤浩次「それが『けたぐり』ってことですか?」
佐藤浩市「相撲でいえば、がっぷり四ツではなく、かましてやろうか、みたいな」
大東駿介「…20代の頃、記憶に残っている作品は何ですか?」
佐藤浩市「やっぱり…『魚影の群れ』だね。相米慎二監督っていうのが、何も言わないんだ」
![魚影の群れ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/21H1GY1YEML._SL160_.jpg)
大東駿介「相米監督って大変だって聞きますね」
佐藤浩市「大変だったよ。当時、22歳で。初日に俺と夏目雅子さんで話をするってオープニングのシーンから始まったんだけど、半日やって、『今日は(カメラ)回さねぇ』って言い出して」
木南晴夏「リハーサルを半日ってことですか?」
佐藤浩市「そう。『ダメだな、今日はやんねぇ』って言い出して」
木南晴夏「じゃあ、もう一回やるときは、『もう一回』しか言わないんですか?」
佐藤浩市「そう」
大東駿介「理由は言わないんですか?」
佐藤浩市「言わない」
大東駿介「『理由は何なんですか?』ってならないんですか?」
佐藤浩市「そういうことを言わせる雰囲気じゃないの。なんでなの?って聞いたとしても、鼻で笑って終わりなの」
大東駿介「へぇ~」
佐藤浩市「後々考えてみると、結局、言葉を紡いで出来た肉体的な表現なんか求めてなかったんだね。言葉で指導するんなら、犬に棒拾ってこいって教えるのと同じなので」
大東駿介「うん」
佐藤浩市「そうじゃなくて、役者が自分で『どう表現すべきなのか』ってことを、自分自身で考えて導き出したものじゃなければ、撮るに値しないってことだと思うんだよね」
木南晴夏「へぇ~」
佐藤浩市「『じゃあ、そろそろ本番。回し始めるか』って回すと、だいたいテイク20とか」
加藤浩次「えぇ~!」
佐藤浩市「長回しだから、相米慎二監督って」
加藤浩次「それって、ゴールが見えてないから、どれが正解かも分からないから、やっててしんどいですね」
佐藤浩市「毎回、毎回、ちょっとずつ芝居変えたりとかして、そういうことの方が良いのかなって思って、そういう風になっていったの。でも、それは大きな意味合いで言えば凄く間違った考え方なのね」
木南晴夏「え?」
佐藤浩市「凄く遠回りして戻ってきたときに、『そういうもの(試行錯誤すれば良いという考え方)でもないんだな』って分かるんだ」
木南晴夏「変えれば良いということでもない」
佐藤浩市「そう。その役の人物が、メンタルがどのような状態で、どのような形で吐露するのか、というのをどのような形で見せるのがベストなのかということが重要だから。そのことが分かったから、遠回りしたことが、僕にとっては凄くプラスになった」
大東駿介「先ほどの話の『けたぐり』もそうでしたけど、『監督に俺という人間を印象づけてやろう』っていうのはないんですか?」
佐藤浩市「それはない」
大東駿介「ないんですか?」
加藤浩次「大東はあるの?」
大東駿介「僕はちょっとあります(笑)がむしゃらさは、出てるなって思います。本質とは違うがむしゃらさが俺、今出てるよねって」
佐藤浩市「俺、最近言うんだけど、『無駄に過ごす時間あっても、無駄になる経験ってない』んだよ」
加藤浩次「はい」
佐藤浩市「傍から見れば『空回りしてるな』って思われても良いんだよ。あとで自分で『空回りしたな』って思っても」
加藤浩次「はい」
佐藤浩市「今度はそうじゃない形で、自分の思いをどう伝えたら良いのかっていうのを考えたらいいから」
【関連記事】
映画評論家・町山智浩「報われない人が元気になれる小説『縮みゆく男』」
小島慶子「コミュニケーション能力は、マニュアルでは培えない」
オードリー・若林「挫折した構成作家・ツチヤタカユキに掛けた言葉」
試行錯誤の中で学ぶ経験
佐藤浩市「『けたぐり』をよく若い頃してたんですよ」
木南晴夏「けたぐり?」
佐藤浩市「要は、本番でタイミングを変えたりして」
木南晴夏「お芝居の?」
佐藤浩市「うん。やったことない動きをしたりとか」
大東駿介「いきなりやるんですか?」
佐藤浩市「そういう"かまし"も随分しましたね」
加藤浩次「それが『けたぐり』ってことですか?」
佐藤浩市「相撲でいえば、がっぷり四ツではなく、かましてやろうか、みたいな」
大東駿介「…20代の頃、記憶に残っている作品は何ですか?」
佐藤浩市「やっぱり…『魚影の群れ』だね。相米慎二監督っていうのが、何も言わないんだ」
![魚影の群れ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/21H1GY1YEML._SL160_.jpg)
大東駿介「相米監督って大変だって聞きますね」
佐藤浩市「大変だったよ。当時、22歳で。初日に俺と夏目雅子さんで話をするってオープニングのシーンから始まったんだけど、半日やって、『今日は(カメラ)回さねぇ』って言い出して」
木南晴夏「リハーサルを半日ってことですか?」
佐藤浩市「そう。『ダメだな、今日はやんねぇ』って言い出して」
木南晴夏「じゃあ、もう一回やるときは、『もう一回』しか言わないんですか?」
佐藤浩市「そう」
大東駿介「理由は言わないんですか?」
佐藤浩市「言わない」
大東駿介「『理由は何なんですか?』ってならないんですか?」
佐藤浩市「そういうことを言わせる雰囲気じゃないの。なんでなの?って聞いたとしても、鼻で笑って終わりなの」
大東駿介「へぇ~」
佐藤浩市「後々考えてみると、結局、言葉を紡いで出来た肉体的な表現なんか求めてなかったんだね。言葉で指導するんなら、犬に棒拾ってこいって教えるのと同じなので」
大東駿介「うん」
佐藤浩市「そうじゃなくて、役者が自分で『どう表現すべきなのか』ってことを、自分自身で考えて導き出したものじゃなければ、撮るに値しないってことだと思うんだよね」
木南晴夏「へぇ~」
試行錯誤するだけでなく、考えることの重要性
佐藤浩市「『じゃあ、そろそろ本番。回し始めるか』って回すと、だいたいテイク20とか」
加藤浩次「えぇ~!」
佐藤浩市「長回しだから、相米慎二監督って」
加藤浩次「それって、ゴールが見えてないから、どれが正解かも分からないから、やっててしんどいですね」
佐藤浩市「毎回、毎回、ちょっとずつ芝居変えたりとかして、そういうことの方が良いのかなって思って、そういう風になっていったの。でも、それは大きな意味合いで言えば凄く間違った考え方なのね」
木南晴夏「え?」
佐藤浩市「凄く遠回りして戻ってきたときに、『そういうもの(試行錯誤すれば良いという考え方)でもないんだな』って分かるんだ」
木南晴夏「変えれば良いということでもない」
佐藤浩市「そう。その役の人物が、メンタルがどのような状態で、どのような形で吐露するのか、というのをどのような形で見せるのがベストなのかということが重要だから。そのことが分かったから、遠回りしたことが、僕にとっては凄くプラスになった」
無駄な経験はない
大東駿介「先ほどの話の『けたぐり』もそうでしたけど、『監督に俺という人間を印象づけてやろう』っていうのはないんですか?」
佐藤浩市「それはない」
大東駿介「ないんですか?」
加藤浩次「大東はあるの?」
大東駿介「僕はちょっとあります(笑)がむしゃらさは、出てるなって思います。本質とは違うがむしゃらさが俺、今出てるよねって」
佐藤浩市「俺、最近言うんだけど、『無駄に過ごす時間あっても、無駄になる経験ってない』んだよ」
加藤浩次「はい」
佐藤浩市「傍から見れば『空回りしてるな』って思われても良いんだよ。あとで自分で『空回りしたな』って思っても」
加藤浩次「はい」
佐藤浩市「今度はそうじゃない形で、自分の思いをどう伝えたら良いのかっていうのを考えたらいいから」
【関連記事】
映画評論家・町山智浩「報われない人が元気になれる小説『縮みゆく男』」
小島慶子「コミュニケーション能力は、マニュアルでは培えない」
オードリー・若林「挫折した構成作家・ツチヤタカユキに掛けた言葉」
同番組の過去記事
-
- 佐藤浩市「無駄に過ごす時間はあっても、無駄な経験はない」
- 鉄拳「パラパラ漫画が繋ぎ止めた芸人人生」
- シシド・カフカが語る「グルーヴとは何か」
| トップページへ |