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吉田豪に学ぶ「プロインタビュアーのインタビュー術」
2013.04.14 (Sun)
2013年04月14日放送の「ブラマヨとゆかいな仲間たち アツアツっ!」にて、吉田豪がゲスト出演していた。そこで、プロインタビュアーとしての極意について語っていた。
ブラマヨ・小杉「プロインタビュアーの吉田豪さんなんですが」
ブラマヨ・吉田「知っている人は、メチャクチャ知っているという方ですけどね」
ブラマヨ・小杉「今まで、インタビューされた方々が錚々たるメンバーですけども。ジャンルはいろいろ、バラバラですね」
吉田豪「ジャンルは関係ないですね」
ブラマヨ・小杉「土屋アンナさんから、ビートきよしさんまで…普通のインタビュアーとプロインタビュアーの違いってあるんですか?」
吉田豪「別に無いですけども」
ブラマヨ・小杉「無いんかい!」
吉田豪「インタビュアー長年やってきて、それこそプロといわれるくらいの人っていると思うんですけど、原稿をまとめるまでやらなくなっちゃうんですよ。僕は、全部やってるってことで、それを含めてのプロだ、と」
ブラマヨ・小杉「なるほど」
吉田豪「麻生久美子さんが、自伝を一冊出してて。その冒頭の部分に、興味のあるエピソードがあったんですよ」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「『子供の頃、スゴイ貧乏でザリガニ釣りとかをしてたときに、みんなはスルメとかで釣ってるんですけど、貧乏だからパンの耳とかで釣ってて、釣ったザリガニは食べてました』って書かれてて」
ブラマヨ・小杉「そんな話するタイプちゃいますやん。綺麗な」
吉田豪「そうですよね。それが気になって会いに行ったら、貧乏話だけで1時間いきましたね(笑)」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「それ言っていいんですかって話しかしなくて(笑)」
ブラマヨ・小杉「ザリガニ食べるって、なかなかの貧乏ですよ」
吉田豪「かなりハード・コアな貧乏で、服が無いからハードなイジメを受けてたりとかしてて。石を投げられて、とか」
ブラマヨ・小杉「そんなことあったんですか!」
吉田豪「そう。次々とそんな話が出てきてて」
ブラマヨ・吉田「そんな苦労人なんですか」
吉田豪「苦労してて。でも、それを苦労と感じさせない話術もあって」
ブラマヨ・小杉「明るい感じで」
吉田豪「明るく、いろいろと話をしてくれて。マネージャーさんがやっぱり止める感じだったんですよ。『そこまで話さなくて良い!』って2回くらい止めるレベルだったんですよ」
ブラマヨ・小杉「スタイリッシュな生い立ちで、スタイリッシュな生活でみたいなイメージでしたけどね」
吉田豪「全て話した上に、原稿チェックを出したんですが、さらに詳しくディテールを加えてきたんですよ、貧乏話の(笑)」
ブラマヨ・吉田「もっとあるよ、と」
吉田豪「削るんじゃなくて、より切なくなるような話を加えたりして(笑)…その取材が、なぜ上手くいったかっていう裏があるんですけど。後に結婚する旦那さんが伊賀大介っていうスタイリストの人なんですけど、その人と僕、仲良くてっていうか、何度かイベントやってて」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「僕の本、全部集めてて。取材のオファーがきた時点で、全部読ませたらしいんです」
ブラマヨ・吉田「あぁ」
吉田豪「『あの人は、今まで絶対訊いてこないようなキツイことを訊いてくるけど、全部答えろ』って、説得してくれてたんですよ」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「だから現場でそんなに話をしてくれてて、チェックで削るどころか、加えてくれたんです」
吉田豪「矢沢永吉さんって、部屋に入った瞬間から矢沢永吉なんですよね。ガッと入ってきた瞬間から永ちゃんで。そのときの取材が宝島社のファッション誌だったんですよ」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「『あぁ、宝島懐かしいね』って。『矢沢、昔、キャロルの時にね。何でも書いていいっていうから、日本の芸能界がいかに汚くて、裏で大手事務所が金掴ませて女抱かせて、ヒデェことやってるかって書いたらね、それ全部載っっちゃったから矢沢"知~らない"って言ったんだよね。ヨロシク!』って」
ブラマヨ・小杉「矢沢永吉さんは、矢沢永吉さんのままやったんですね(笑)」
吉田豪「矢沢っぷりが凄くて。オーケストラと共演したDVD(Rock Opera Eikichi Yazawa)の発売のプロモーションだったんですけどね」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「それをたっぷり話した後で、『そういえば、今回のDVD観てくれました?』って言って、『もちろん観ました』って言ったら、『観てくれましたか!』って言うんですよ。スゴイ驚いて言うんです」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「『サラウンドで観ましたか?』ってきて、『残念ながら普通ので…』って言うと、『ダメですよ!サラウンドじゃないと』って。何故このテンションで出来るんだろうかって(笑)天才的で」
吉田豪「内田裕也さんを取材したときに、いろいろ生い立ちというか、その辺から聞いてたら、『カッタるいな、その話』って言い出して」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「『今の話がしてぇんだ』っていうから、『分かりました』って言って、裕也さんがノビノビと話をしながら、要所要所で過去に戻るような話をしてたら『面白ぇな。飲むか?』ってなって、お酒を奢ってもらったりしながら」
ブラマヨ・小杉「へぇ~内田裕也さんと分かり合って、気に入ってもらえるってなかなかスゴイですね(笑)」
ブラマヨ・吉田「一旦、今の話をしてもらったほうがエェわっていう判断ですか?」
吉田豪「そうですね。相手がやりたいようにしてもらった方が良いですね」
ブラマヨ・吉田「でも、どっかで過去の話を聞いたろうっていうのは最初から考えてるんですよね?」
吉田豪「そうですね。要するにテンポを落としながらも、付き合いますっていう。完全に付き合いきりはしませんけども」
ブラマヨ・吉田「そこに裕也さんは、まんまとノリノリになって、最後は飲みに行こうぜ、みたいになったんですか?」
さらに、以下のように語っていた。
吉田豪「最後、裕也さんが昔出した本(俺はロッキンローラー)があって、俺はそれが大好きで持ってったんですけど。『久しぶりに見たよ、これ!』って言い出して」
ブラマヨ・小杉「思いっきり過去を振り返ってるやん!(笑)」
吉田豪「飲みながら朗読が始まって、『良いこと言ってんなぁ、俺』って(笑)」
ブラマヨ・小杉「過去をたっぷり噛み締めてるやん!(笑)」
吉田豪「グッズを持っていくっていうのは、一番、良いテクニックですね」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
ブラマヨ・小杉「過去を振り返るトドメとして、昔の本を出すっていう」
吉田豪「昔の話をしづらい人も、入りやすいじゃないですか」
ブラマヨ・吉田「あぁ。それに『この人、僕のことを見ててくれたんや』って」
吉田豪「とりあえず、ファンではあるなっていうのは分かってもらえるんです」
ブラマヨ・吉田「自分の用意してた聞きたい話を言ってくれないなって時の方法ってあるんですか?」
吉田豪「無理やり(その話に)持っていきますよ。話をしながら、次の質問を考えてるのってバレるじゃないですか」
ブラマヨ・吉田「はいはい」
吉田豪「なるべくしないし、面白い話の時はものすごい食いついて聞きますけど、明らかにそんなに面白くないなって話になった瞬間、次の質問とか考えだすんです。そうすると、段々きづくじゃないですか。『あれ?これあんまりノってないな』って」
ブラマヨ・吉田「残酷やな!愛想笑いで引き出す、とかじゃないんですね」
吉田豪「ですね」
ブラマヨ・小杉「知らず知らずに引き出されるんじゃなく、『あれ?これハマってないな』って(笑)」
吉田豪「誘導できそうなときはしますけど、そうじゃないときには、『それじゃないですよ』ってオーラ出します」
ブラマヨ・吉田「『今、オモロないこと言ってますよ』っていう」
吉田豪「小学3年生で連載の話が来て。1回目のゲストが乙武洋匡くんだっていうのが決まってて」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「『よろこんでやりますよ。でも、僕が乙武くんに話を聞くんだったら、あの話になりますよ』って」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「笑っていいともに出てたときの話がスゴイ好きだったんですけど。『バーゲンに買いに行ったときに、雪の日だったんで、車椅子が雪にハマって立ち往生しちゃったんですよ。あぁ、僕の場合は"座り往生"か』って言って、客席がシーンって引いた時に、タモリさんが爆笑して、『その時は、スパイクタイヤとか付けるの?』ってイジってて」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「それを観た時に、やっぱりこういうのは引いたら負けで、いかに拾うかだし、そういう視点で五体不満足を読むと、そういうギャグばっかり入ってるんですよ」
ブラマヨ・吉田「うん」
吉田豪「ひたすらそういう話を聞きにいって、その結果、小学3年生の連載が半年で終わって、編集長と担当編集が飛んだっていう(笑)」
ブラマヨ・小杉「どないなってんねん。その話」
ブラマヨ・吉田「小学3年生じゃなく、大学3年生くらいの」
ブラマヨ・小杉「それくらい濃い目の話ですよ」
吉田豪「乙武くんは、『僕の本当の姿を出してくれたのは、吉田さんだ』って言ってくれたんですよ」
ブラマヨ・小杉「その時のリアクションを、皆がしてへんかったことを、吉田さんが率先したから、乙武さんもしたかった話とかボケをどんどんしてったってことですね」
吉田豪「はい」
ブラマヨ・小杉「ただ、そのフィールドがなぜか小学3年生やったってだけで」
吉田豪「そういうことです(笑)」
ブラマヨ・小杉「どこで出してんねん、そのタマをっていう」
吉田豪「羽海野チカさんにインタビューしたときの話なんですけどね。ハチミツとクローバーって、美大を舞台にした、大学生が楽しくやってるような話だけど、こじらせてる側(鬱屈とした生活を送っている人々)から叩かれたりするんですよ」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「『そんなリア充(いけすかない)』みたいな。でも、彼女自身は全然違って、友達もいなくて生きてきたから、自分の中の妄想というか、『こういうのだったらいいな』って生活を描いてて」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「昔、同人誌をやってたんだけど。『同人誌をやれば友達ができる』って思ってたんだけど、1人で泣きながら販売して、販誌のときにどんどん人がいなくなっちゃって、終電になっちゃって地下鉄の駅に閉じ込められそうになったって話をしてたときに、僕は笑いながら聞いてたんですよ」
ブラマヨ・吉田「あぁ」
吉田豪「『今までは、そういう話を引かれるって思ってて、できなかった話を、初めてこういう話ができて、なおかつ喜んでもらえた』と」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「それがカウンセリングになったっていうんですよ。その後も2~3回取材をしたんですけど、段々、変わってきて、社交性が出てきて、友だちができて、とか。『私は、吉田豪さんの取材がカウンセリングになって変わった』って言ってくれて」
ブラマヨ・吉田「『これは、笑って聞けば、絶対、もっと喋ってくれる』っていう読みがあったんですか?」
吉田豪「『絶対に世間に出した方がいいですよ』って説得はしょっちゅうします」
ブラマヨ・吉田「向こうは、笑わす気で喋ってないじゃないですか。そこは、笑うっていうのはテクニックですか?それとも、ただただオモロイって思ったからですか?」
吉田豪「なんだろうな…どんな話でも、さっきの乙武くんの話でも、引いたら負けっていうのがあるんですよ」
ブラマヨ・吉田「あぁ」
吉田豪「かなり、やんちゃな人との取材もするんですけど、物騒な人が、物騒な話をしたときに、そこも引いたら負けなんですよ」
ブラマヨ・吉田「そこは引きましょうや」
吉田豪「いや(笑)笑ったりツッコんだりすると、ギャグになって原稿に使えたりするんですよ」
ブラマヨ・吉田「たとえば?」
吉田豪「バイオレントなヤバイ話をしてるときも、『ダメですよ』みたいに言うことで、それがイキになるというか」
ブラマヨ・吉田「笑いになるんですか?」
吉田豪「笑いに持っていく。笑ったり、ツッコんだりして、ダメですよっていう一言が入るかどうかで違うんです」
ブラマヨ・吉田「(お互いの面倒臭いところはどこですか?という質問に対して)これはどういう意図があるんですか?」
吉田豪「僕がよくやるのが…ホント中学生のアイドルとか取材することも多くて。そっちで(アイドルグループで)話ができるような質問をするんですよ。相手同士が話をできるような。『この中で一番、大人なのは誰ですか?』でも良いんですけど」
ブラマヨ・小杉「はい」
吉田豪「それでキャッキャ盛り上がってくれる中に、僕がちょっとずつ会話に入る、みたいな。僕があんまりズバズバ入らないようにするっていう」
ブラマヨ・吉田「俺ね、豪さんと1対1のトークイベントをやった時に…あの時も、結構、俺に喋らせる方向にしてました?」
吉田豪「そうです」
ブラマヨ・吉田「やっぱり」
ブラマヨ・小杉「それを感じてたの?」
ブラマヨ・吉田「俺はね、プロインタビュアーの吉田豪さんとトークイベントをやるっていうから、質問がスゴイあるんやなって思って」
吉田豪「えぇ」
ブラマヨ・吉田「ところが、意外に(質問が)ないんですよ」
吉田豪「ええ」
ブラマヨ・吉田「あれは多分、吉田豪さんの作戦やと思うんですけど、何も入ってないチクワがそこにあるような感じなんです。『さぁ、僕の穴に何を入れます?』みたいな」
ブラマヨ・小杉「あぁ」
ブラマヨ・吉田「ウィンナー入れますか?チーズ入れますか?と。勝手に俺が色んなものを入れてるんです」
吉田豪「あぁ」
ブラマヨ・吉田「『ウィンナー…喜んでる!じゃあ、次はチーズ…あぁ、なんか他に入れなアカン!きゅうり…あぁ、全然違う』みたいな」
吉田豪「そうですね。僕からガンガン喋るわけじゃないんですよ」
ブラマヨ・吉田「あれも1つの作戦ですか」
吉田豪「話をしてくれたものを重ねながら、どっかに持っていくみたいな感じで。邪魔しない感じで」
ブラマヨ・吉田「そういうことか。俺はもう、楽な仕事やと思って行ったんでね。豪さんとのトークが。いろいろ、入れていって…帰る時に、『何がプロインタビュアーやねん!』って」
吉田豪「はっはっはっ(笑)」
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プロインタビュアーとは

ブラマヨ・吉田「知っている人は、メチャクチャ知っているという方ですけどね」
ブラマヨ・小杉「今まで、インタビューされた方々が錚々たるメンバーですけども。ジャンルはいろいろ、バラバラですね」
吉田豪「ジャンルは関係ないですね」
ブラマヨ・小杉「土屋アンナさんから、ビートきよしさんまで…普通のインタビュアーとプロインタビュアーの違いってあるんですか?」
吉田豪「別に無いですけども」
ブラマヨ・小杉「無いんかい!」
吉田豪「インタビュアー長年やってきて、それこそプロといわれるくらいの人っていると思うんですけど、原稿をまとめるまでやらなくなっちゃうんですよ。僕は、全部やってるってことで、それを含めてのプロだ、と」
ブラマヨ・小杉「なるほど」
1) 自分の中で興味があることを中心に訊く
吉田豪「麻生久美子さんが、自伝を一冊出してて。その冒頭の部分に、興味のあるエピソードがあったんですよ」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「『子供の頃、スゴイ貧乏でザリガニ釣りとかをしてたときに、みんなはスルメとかで釣ってるんですけど、貧乏だからパンの耳とかで釣ってて、釣ったザリガニは食べてました』って書かれてて」
ブラマヨ・小杉「そんな話するタイプちゃいますやん。綺麗な」
吉田豪「そうですよね。それが気になって会いに行ったら、貧乏話だけで1時間いきましたね(笑)」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「それ言っていいんですかって話しかしなくて(笑)」
ブラマヨ・小杉「ザリガニ食べるって、なかなかの貧乏ですよ」
吉田豪「かなりハード・コアな貧乏で、服が無いからハードなイジメを受けてたりとかしてて。石を投げられて、とか」
ブラマヨ・小杉「そんなことあったんですか!」
吉田豪「そう。次々とそんな話が出てきてて」
ブラマヨ・吉田「そんな苦労人なんですか」
吉田豪「苦労してて。でも、それを苦労と感じさせない話術もあって」
ブラマヨ・小杉「明るい感じで」
吉田豪「明るく、いろいろと話をしてくれて。マネージャーさんがやっぱり止める感じだったんですよ。『そこまで話さなくて良い!』って2回くらい止めるレベルだったんですよ」
ブラマヨ・小杉「スタイリッシュな生い立ちで、スタイリッシュな生活でみたいなイメージでしたけどね」
吉田豪「全て話した上に、原稿チェックを出したんですが、さらに詳しくディテールを加えてきたんですよ、貧乏話の(笑)」
ブラマヨ・吉田「もっとあるよ、と」
吉田豪「削るんじゃなくて、より切なくなるような話を加えたりして(笑)…その取材が、なぜ上手くいったかっていう裏があるんですけど。後に結婚する旦那さんが伊賀大介っていうスタイリストの人なんですけど、その人と僕、仲良くてっていうか、何度かイベントやってて」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「僕の本、全部集めてて。取材のオファーがきた時点で、全部読ませたらしいんです」
ブラマヨ・吉田「あぁ」
吉田豪「『あの人は、今まで絶対訊いてこないようなキツイことを訊いてくるけど、全部答えろ』って、説得してくれてたんですよ」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「だから現場でそんなに話をしてくれてて、チェックで削るどころか、加えてくれたんです」
2) 取材相手の最新の情報はチェックしておく
吉田豪「矢沢永吉さんって、部屋に入った瞬間から矢沢永吉なんですよね。ガッと入ってきた瞬間から永ちゃんで。そのときの取材が宝島社のファッション誌だったんですよ」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「『あぁ、宝島懐かしいね』って。『矢沢、昔、キャロルの時にね。何でも書いていいっていうから、日本の芸能界がいかに汚くて、裏で大手事務所が金掴ませて女抱かせて、ヒデェことやってるかって書いたらね、それ全部載っっちゃったから矢沢"知~らない"って言ったんだよね。ヨロシク!』って」
ブラマヨ・小杉「矢沢永吉さんは、矢沢永吉さんのままやったんですね(笑)」
吉田豪「矢沢っぷりが凄くて。オーケストラと共演したDVD(Rock Opera Eikichi Yazawa)の発売のプロモーションだったんですけどね」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「それをたっぷり話した後で、『そういえば、今回のDVD観てくれました?』って言って、『もちろん観ました』って言ったら、『観てくれましたか!』って言うんですよ。スゴイ驚いて言うんです」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「『サラウンドで観ましたか?』ってきて、『残念ながら普通ので…』って言うと、『ダメですよ!サラウンドじゃないと』って。何故このテンションで出来るんだろうかって(笑)天才的で」
3) 相手の話たいよう話させつつ、自分の訊きたい方向へ戻していく
吉田豪「内田裕也さんを取材したときに、いろいろ生い立ちというか、その辺から聞いてたら、『カッタるいな、その話』って言い出して」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「『今の話がしてぇんだ』っていうから、『分かりました』って言って、裕也さんがノビノビと話をしながら、要所要所で過去に戻るような話をしてたら『面白ぇな。飲むか?』ってなって、お酒を奢ってもらったりしながら」
ブラマヨ・小杉「へぇ~内田裕也さんと分かり合って、気に入ってもらえるってなかなかスゴイですね(笑)」
ブラマヨ・吉田「一旦、今の話をしてもらったほうがエェわっていう判断ですか?」
吉田豪「そうですね。相手がやりたいようにしてもらった方が良いですね」
ブラマヨ・吉田「でも、どっかで過去の話を聞いたろうっていうのは最初から考えてるんですよね?」
吉田豪「そうですね。要するにテンポを落としながらも、付き合いますっていう。完全に付き合いきりはしませんけども」
ブラマヨ・吉田「そこに裕也さんは、まんまとノリノリになって、最後は飲みに行こうぜ、みたいになったんですか?」
さらに、以下のように語っていた。
4) 取材相手の作品、出演作をチェックし、自分の私物を取材に持っていく
吉田豪「最後、裕也さんが昔出した本(俺はロッキンローラー)があって、俺はそれが大好きで持ってったんですけど。『久しぶりに見たよ、これ!』って言い出して」
ブラマヨ・小杉「思いっきり過去を振り返ってるやん!(笑)」
吉田豪「飲みながら朗読が始まって、『良いこと言ってんなぁ、俺』って(笑)」
ブラマヨ・小杉「過去をたっぷり噛み締めてるやん!(笑)」
吉田豪「グッズを持っていくっていうのは、一番、良いテクニックですね」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
ブラマヨ・小杉「過去を振り返るトドメとして、昔の本を出すっていう」
吉田豪「昔の話をしづらい人も、入りやすいじゃないですか」
ブラマヨ・吉田「あぁ。それに『この人、僕のことを見ててくれたんや』って」
吉田豪「とりあえず、ファンではあるなっていうのは分かってもらえるんです」
5) 興味のある/無しをさりげなくアピールする
ブラマヨ・吉田「自分の用意してた聞きたい話を言ってくれないなって時の方法ってあるんですか?」
吉田豪「無理やり(その話に)持っていきますよ。話をしながら、次の質問を考えてるのってバレるじゃないですか」
ブラマヨ・吉田「はいはい」
吉田豪「なるべくしないし、面白い話の時はものすごい食いついて聞きますけど、明らかにそんなに面白くないなって話になった瞬間、次の質問とか考えだすんです。そうすると、段々きづくじゃないですか。『あれ?これあんまりノってないな』って」
ブラマヨ・吉田「残酷やな!愛想笑いで引き出す、とかじゃないんですね」
吉田豪「ですね」
ブラマヨ・小杉「知らず知らずに引き出されるんじゃなく、『あれ?これハマってないな』って(笑)」
吉田豪「誘導できそうなときはしますけど、そうじゃないときには、『それじゃないですよ』ってオーラ出します」
ブラマヨ・吉田「『今、オモロないこと言ってますよ』っていう」
6) 世間的に引くような話でも、相手が話に乗ってくれれば掘り下げる
吉田豪「小学3年生で連載の話が来て。1回目のゲストが乙武洋匡くんだっていうのが決まってて」
ブラマヨ・吉田「はい」
吉田豪「『よろこんでやりますよ。でも、僕が乙武くんに話を聞くんだったら、あの話になりますよ』って」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「笑っていいともに出てたときの話がスゴイ好きだったんですけど。『バーゲンに買いに行ったときに、雪の日だったんで、車椅子が雪にハマって立ち往生しちゃったんですよ。あぁ、僕の場合は"座り往生"か』って言って、客席がシーンって引いた時に、タモリさんが爆笑して、『その時は、スパイクタイヤとか付けるの?』ってイジってて」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「それを観た時に、やっぱりこういうのは引いたら負けで、いかに拾うかだし、そういう視点で五体不満足を読むと、そういうギャグばっかり入ってるんですよ」
ブラマヨ・吉田「うん」
吉田豪「ひたすらそういう話を聞きにいって、その結果、小学3年生の連載が半年で終わって、編集長と担当編集が飛んだっていう(笑)」
ブラマヨ・小杉「どないなってんねん。その話」
ブラマヨ・吉田「小学3年生じゃなく、大学3年生くらいの」
ブラマヨ・小杉「それくらい濃い目の話ですよ」
吉田豪「乙武くんは、『僕の本当の姿を出してくれたのは、吉田さんだ』って言ってくれたんですよ」
ブラマヨ・小杉「その時のリアクションを、皆がしてへんかったことを、吉田さんが率先したから、乙武さんもしたかった話とかボケをどんどんしてったってことですね」
吉田豪「はい」
ブラマヨ・小杉「ただ、そのフィールドがなぜか小学3年生やったってだけで」
吉田豪「そういうことです(笑)」
ブラマヨ・小杉「どこで出してんねん、そのタマをっていう」
7) 本人がマイナスと思っていることも、説得することで話を引き出す
吉田豪「羽海野チカさんにインタビューしたときの話なんですけどね。ハチミツとクローバーって、美大を舞台にした、大学生が楽しくやってるような話だけど、こじらせてる側(鬱屈とした生活を送っている人々)から叩かれたりするんですよ」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「『そんなリア充(いけすかない)』みたいな。でも、彼女自身は全然違って、友達もいなくて生きてきたから、自分の中の妄想というか、『こういうのだったらいいな』って生活を描いてて」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「昔、同人誌をやってたんだけど。『同人誌をやれば友達ができる』って思ってたんだけど、1人で泣きながら販売して、販誌のときにどんどん人がいなくなっちゃって、終電になっちゃって地下鉄の駅に閉じ込められそうになったって話をしてたときに、僕は笑いながら聞いてたんですよ」
ブラマヨ・吉田「あぁ」
吉田豪「『今までは、そういう話を引かれるって思ってて、できなかった話を、初めてこういう話ができて、なおかつ喜んでもらえた』と」
ブラマヨ・吉田「ほぅ」
吉田豪「それがカウンセリングになったっていうんですよ。その後も2~3回取材をしたんですけど、段々、変わってきて、社交性が出てきて、友だちができて、とか。『私は、吉田豪さんの取材がカウンセリングになって変わった』って言ってくれて」
ブラマヨ・吉田「『これは、笑って聞けば、絶対、もっと喋ってくれる』っていう読みがあったんですか?」
吉田豪「『絶対に世間に出した方がいいですよ』って説得はしょっちゅうします」
ブラマヨ・吉田「向こうは、笑わす気で喋ってないじゃないですか。そこは、笑うっていうのはテクニックですか?それとも、ただただオモロイって思ったからですか?」
吉田豪「なんだろうな…どんな話でも、さっきの乙武くんの話でも、引いたら負けっていうのがあるんですよ」
ブラマヨ・吉田「あぁ」
吉田豪「かなり、やんちゃな人との取材もするんですけど、物騒な人が、物騒な話をしたときに、そこも引いたら負けなんですよ」
ブラマヨ・吉田「そこは引きましょうや」
吉田豪「いや(笑)笑ったりツッコんだりすると、ギャグになって原稿に使えたりするんですよ」
ブラマヨ・吉田「たとえば?」
吉田豪「バイオレントなヤバイ話をしてるときも、『ダメですよ』みたいに言うことで、それがイキになるというか」
ブラマヨ・吉田「笑いになるんですか?」
吉田豪「笑いに持っていく。笑ったり、ツッコんだりして、ダメですよっていう一言が入るかどうかで違うんです」
8) 取材相手が複数の場合、互いに会話が成立する質問を投げかける
ブラマヨ・吉田「(お互いの面倒臭いところはどこですか?という質問に対して)これはどういう意図があるんですか?」
吉田豪「僕がよくやるのが…ホント中学生のアイドルとか取材することも多くて。そっちで(アイドルグループで)話ができるような質問をするんですよ。相手同士が話をできるような。『この中で一番、大人なのは誰ですか?』でも良いんですけど」
ブラマヨ・小杉「はい」
吉田豪「それでキャッキャ盛り上がってくれる中に、僕がちょっとずつ会話に入る、みたいな。僕があんまりズバズバ入らないようにするっていう」
9) 相手に話をさせて、自分の聞きたい方向に誘導する
ブラマヨ・吉田「俺ね、豪さんと1対1のトークイベントをやった時に…あの時も、結構、俺に喋らせる方向にしてました?」
吉田豪「そうです」
ブラマヨ・吉田「やっぱり」
ブラマヨ・小杉「それを感じてたの?」
ブラマヨ・吉田「俺はね、プロインタビュアーの吉田豪さんとトークイベントをやるっていうから、質問がスゴイあるんやなって思って」
吉田豪「えぇ」
ブラマヨ・吉田「ところが、意外に(質問が)ないんですよ」
吉田豪「ええ」
ブラマヨ・吉田「あれは多分、吉田豪さんの作戦やと思うんですけど、何も入ってないチクワがそこにあるような感じなんです。『さぁ、僕の穴に何を入れます?』みたいな」
ブラマヨ・小杉「あぁ」
ブラマヨ・吉田「ウィンナー入れますか?チーズ入れますか?と。勝手に俺が色んなものを入れてるんです」
吉田豪「あぁ」
ブラマヨ・吉田「『ウィンナー…喜んでる!じゃあ、次はチーズ…あぁ、なんか他に入れなアカン!きゅうり…あぁ、全然違う』みたいな」
吉田豪「そうですね。僕からガンガン喋るわけじゃないんですよ」
ブラマヨ・吉田「あれも1つの作戦ですか」
吉田豪「話をしてくれたものを重ねながら、どっかに持っていくみたいな感じで。邪魔しない感じで」
ブラマヨ・吉田「そういうことか。俺はもう、楽な仕事やと思って行ったんでね。豪さんとのトークが。いろいろ、入れていって…帰る時に、『何がプロインタビュアーやねん!』って」
吉田豪「はっはっはっ(笑)」
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