ビートたけしが語る「漫才におけるツッコミの役割」
2013.02.14 (Thu)
ビートたけしの著書「間抜けの構造」にて、ビートたけしが芸人になり、そしてどのようにして漫才のスタイルが確立されたのか、漫才におけるツッコミの役割について記載されていた。
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フランス座でエレベーターボーイとして働いていた時代、2年先輩である兼子二郎(ビートきよし)から誘われてコンビを結成することになる。その当時、兼子は先輩であったことや、自身からコンビを組むことを誘っている経緯もあり、「俺がお前に漫才を教えてやるから」と語っていたようだ。
その当時のことを著書の中で
ツービートとしてコンビを組んだが、当初はすぐに売れることもなかった。
全くもってウケることのないきよしのネタに対し、ビートたけしはツッコミ始めるようになる。
相方のネタ振りに対し、きよしはたけしの望むツッコミを入れない。そこで、たけしはきよしに対し逆にツッコミを入れ、結局のところたけしは、ボケとツッコミの両方を行なっていく。いわば、たけしがボケとツッコミを行い、きよしが「うなずき」「相槌」を行うというのが定番のスタイルになっていった。
当初はボケであったというビートたけしが、ツッコミも行うようになった。このようなスタイルの変化、そして漫才ブームもあり、ツービートは人気を博していくことになる。
ツッコミに関して、ビートたけしは次のようにその役割について語っている。
このたとえとして、次のような例を挙げている。
さらに、ツッコミの役割として
と記している。客が漫才のスピードについてこれていない、もしくは間延びしている様子を感じているようであった場合、ツッコミはそれを察知し、その緩急を調節する役割もあるという。
最近の漫才と、ビートたけし、B&B、紳助竜介らの時代の漫才の大きな違いとしては、「コンビ二人ともスピードが速くなった」ということのようだ。片方が喋り倒して、相方がうなずく、相槌を入れるといったスタイルから、ツッコミ自体も速く掛け合いに参加している、とのことだった。
この変化については、
さらに、漫才のツッコミのセンスとしては、「スピード」「間の取り方」に加えて、「お見立て」があるという。この「お見立て」とは、たとえツッコミのことのようだ。
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相方・ビートきよしとの関係性
フランス座でエレベーターボーイとして働いていた時代、2年先輩である兼子二郎(ビートきよし)から誘われてコンビを結成することになる。その当時、兼子は先輩であったことや、自身からコンビを組むことを誘っている経緯もあり、「俺がお前に漫才を教えてやるから」と語っていたようだ。
その当時のことを著書の中で
随分、漫才のことをきよしさんに教えてもらった。"間"の取り方をはじめ、漫才のイロハをね、といっても誰も信じないか。今考えるとわらっちゃうよね。でも最初はきよしさん、本当に「お前"間"が悪いよ」とか言ってたんだから。と記していた。
ツービートの漫才スタイルの発端
ツービートとしてコンビを組んだが、当初はすぐに売れることもなかった。
「ツービート」は最初きよしさんがボケで、おいらがツッコミだった。
それでやってみたけど、これが"間"をどうこう言う以前の問題。きよしさんは"間"が悪い以前にネタがない。何を勘違いしたのか、舞台の上で世間話を始めちゃう。もちろん、客はクスリともしない。
全くもってウケることのないきよしのネタに対し、ビートたけしはツッコミ始めるようになる。
しょうがないから、おいらが「お金払って、お前の世間話とつまんねえギャグを聞いてどうするんだ!」って、どんどん突っ込んでいったら、客がドッと笑ったんだ。
それでお客が笑ったから、「これだ!」と思って、もうジャンジャン「こいつバカですから」と言いながら、きよしさんの出身地である山形の悪口をさんざん言った。そうしたら今度は、きよしさんがそのツッコミに対して、「そんなことはないよ」とか「よしなさい」って言うようになった。そうやってボケとツッコミが逆になったのが、みなさんの知ってる「ツービート」のスタイルになったわけ。
相方のネタ振りに対し、きよしはたけしの望むツッコミを入れない。そこで、たけしはきよしに対し逆にツッコミを入れ、結局のところたけしは、ボケとツッコミの両方を行なっていく。いわば、たけしがボケとツッコミを行い、きよしが「うなずき」「相槌」を行うというのが定番のスタイルになっていった。
漫才におけるツッコミの役割
当初はボケであったというビートたけしが、ツッコミも行うようになった。このようなスタイルの変化、そして漫才ブームもあり、ツービートは人気を博していくことになる。
ツッコミに関して、ビートたけしは次のようにその役割について語っている。
ツッコミというのは、想像以上におもしろい役割なんだよ。漫才における"間"というのも、実はツッコミが操作する。そのときの客の傾向や反応、演者の登場順とか、すべての状況をツッコミは頭に入れている。その上で、自分たちの漫才のテンポやリズムを操作するわけ。漫才の最中でも、今日の客はどんなやつなのか、年寄りが多いのか、若いやつが多いか、常に頭をフル回転させているからね。
このたとえとして、次のような例を挙げている。
ツッコミというのは、ボケが何か言ったときにフォローしたり、より多くの笑いを撮るために話しを膨らませたりするだけでなくて、ときには、ボケが話を落とす前に、わざとネタバレさせて突っ込んでしまうこともある。「あ、このネタは今日の客にはバレバレだな」と思ったときに、ボケが落とす前に突っ込んじゃう。とのことだった。この空気を読むことを「会話の運動神経」と呼んでおり、それにはある程度の経験が必要であるとのことだった。
もちろん、「この話は落ちれば客がドカンと来るな」と思ったら、そんなことは言わない。「あ、これはマズイな」なんてピンときたとき、客に読まれているなと思った時には、その前に突っ込んで止める。
さらに、ツッコミの役割として
ツッコミというのは、漫才における司令塔といえる。漫才における"間"に敏感なのは、ボケよりもツッコミかもしれない。逆にボケが"間"を意識しすぎてしまうと、その漫才は面白くなくなるから、そこは不思議なところなんだけど。
と記している。客が漫才のスピードについてこれていない、もしくは間延びしている様子を感じているようであった場合、ツッコミはそれを察知し、その緩急を調節する役割もあるという。
最近の漫才の高速化と、たとえツッコミ
最近の漫才と、ビートたけし、B&B、紳助竜介らの時代の漫才の大きな違いとしては、「コンビ二人ともスピードが速くなった」ということのようだ。片方が喋り倒して、相方がうなずく、相槌を入れるといったスタイルから、ツッコミ自体も速く掛け合いに参加している、とのことだった。
この変化については、
それまでツッコミというのは、あくまで「合いの手」というか、ボケのアシスタント的そんないだったのが、それでは物足りなくなったのか、ツッコミはツッコミで笑いを取ろうと工夫し始めた。ボケをいなしたり、展開させたりするだけじゃなくて、「ツッコミ」そのもので笑いをとる。だから当然、掛け合いのスピードもボリュームも増すし、その結果、笑いの送料も多くなっているのかもしれない。と語っていた。
さらに、漫才のツッコミのセンスとしては、「スピード」「間の取り方」に加えて、「お見立て」があるという。この「お見立て」とは、たとえツッコミのことのようだ。
タカ&トシの「欧米か!」というツッコミが「お見立て」の典型。と語っていた。
このお見立て自体を笑えるものにすれば、ツッコミでも笑いを取れることになるから、漫才全体の笑いの量も増えてくる。だから今は、みんな「お見立て」をジャンジャン工夫しているんじゃないかな。
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