世界は数字で出来ている

1996年7月13日放送のよみうりテレビの番組『たかじんnoばぁ～』最終回にて、お笑い芸人・ビートたけしがゲスト出演し、ダウンタウンの悪口を期待していた記者の取材について語っていた。



加納典明：たけちゃんって、ダウンタウンどう思ってるの？

ビートたけし：俺はね…なんて言うんだろ。

加納典明：お笑いでも、人間でもいいしさ。

ビートたけし：一時、とんねるずとかダウンタウンとかね、色んな若いののね、インタビュー来るんだよ。

加納典明：うん。

ビートたけし：「たけしさん、どう思いますか？」って。それ、認めてるっていうの、間違いなわけ。

加納典明：うん。

ビートたけし：要するに、絶対に取材の人たちはね、悪口を期待するんだよなぁ。

加納典明：ああ。
ビートたけし：「その手には乗らんよ、お前」ってなるんだよ。「ダウンタウンにどう思いますか？」って言うと、「ダウンタウンは芸がねぇ」とか、「漫才がヘタだ」とか絶対に言って欲しいんだよね。

トミーズ雅：うん。

ビートたけし：バカなこと言ってんな。当たってるもんはいいんだって、それだけ。違う理由であるんだからって。

加納典明：うん。

ビートたけし：逆に言えば、いいところ見つけてあげなよって。それをなんで下ろそうとするんだって。当たったものは、当たったものでいいの。で、同じ世界にいる奴が、仲間の悪口を言って、自分のがポジションが上だろって言う奴は、一番セコいと思うんだよなぁ。

やしきたかじん：最低やぞ。

トミーズ雅：最低。

加納典明：この2人、しょっちゅう言ってますよ(笑)

トミーズ雅：俺は言うたかな…

やしきたかじん：俺はジャンルが違うからね。

ビートたけし：やす・きよさんの件でも、横山やすしさんが死んだ時に、「天才やすし」って言うけど、漫才って2人でやるもんじゃねぇかよ。やす・きよが凄かったんであって、やすしさんが1人で凄かったら、きよしさんの立場ないじゃない。

加納典明：うん。

ビートたけし：そうじゃない、やす・きよってのはたしかに凄いの。それは近代漫才の完成品だと思ってるし。俺はやす・きよさんも好きだし。実際、ライブでかち当たって、負けたって思ったのは、Wヤングさんなの。

やしきたかじん：ああ。

ビートたけし：横浜スカイ寄席で当たったんだけど。俺の前に出られたんだけど、これはもう、ショックっていうか。10分ぐらいのステージなんだけど、ワーワーやられた時に、俺ら戻せないんだよな。

やしきたかじん：ああ。

ビートたけし：3分やっても客が戻ってこない。あのペースにバッチリハマってしまって。まぁ汗出ちゃって、止まらなくなった。自信あったんだけどね。

やしきたかじん：うん。

ビートたけし：それと同じように、やす・きよさんにも潰されたし。だけど、漫才ってのは2人でやるもんで、片方が天才もクソもないんだよね。商品だから。

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