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伊集院光が語る「カフカ『変身』と不登校児の気持ち」
2012.04.18 (Wed)
2012年04月16日放送の「伊集院光 深夜の馬鹿力」にて、『100分de名著』の番組で、フランツ・カフカの『変身』を取り上げたことについて語っていた。

伊集院光「最初が源氏物語で、全部で4回収録したんです。1回目より2回目、2回目より3回目って、俺的には『源氏物語って面白いな』って思ったんだけどね。それで2作目が、カフカの『変身』だったの。カフカの『変身』は、何となくストーリーは知ってる」
「『朝起きたら、俺、虫になってたよ』って。それ以外は知らない(笑)朝起きたら、虫になってたんだなって。あと、漫画になってたのとか、カフカのことを取り上げた映画、みたいなのがあってそれを観たことがあって、ちょっと良いなって思ってたんですよね」
「NHKからしてみたら、物知りっていうよりは、気の良い兄ちゃん、みたいなことで僕を呼んでるから、『源氏物語知らなくてもいいから、読んでない目線で、視聴者にも共感を得られるトークをして欲しい』みたいなことだと思うんだよね」
「それで、カフカの『変身』の話は、大雑把に言うと、グレゴール・ザムザ、主人公なんだけどさ、グレゴールのお家はさ、グレゴール1人が頑張らなきゃいけないような状況になってるわけ。父ちゃんと母ちゃんは働かないし、妹は音楽大学を出させてやらなきゃいけないし、っていうんで、セールスマンで1人頑張ってるんだよね」
「それでもう、すげぇプレッシャーを受けてるんだけど、ある日気がついたら、虫になっちゃってるわけ。不条理文学の始祖みたいなやつだから、『虫になっちゃった』っていって。感覚的には、『ビックリして耳大きくなっちゃった』的な感じで、虫になっちゃった、みたいになってるわけ」
「それで、虫になっちゃった後で、みんなの反応が…みたいな話なんだけどさ。要は、イヤになっちゃったんだよね。ギブアップ出来ない人が、『もう無理です。コレ以上、無理です』って言えずに、どんどん重圧が掛かっていくと、最終的に、体に何か症状が現れるんだなって解釈だなって思ったんですよ」
「ただ、NHKの皆様は、僕のことを朗らかなお兄さんだと思ってるんで、全然他人ごととして、横にいる女性アナウンサーの島津アナが、『今、引きこもりとかニートとか、不登校なんて問題がある家庭もありますからね。それでは…』って、いこうとするんだけど、それにはワタクシ、一言も二言もあるんです(笑)」
「その瞬間の、『実は僕、不登校児でして…』って言い出した時の周りの『えっ?お前の役回り、それじゃなくない?』っていう反応(笑)『今、俺、それを告白して何の特も無い』っていうことを、まぁ止まらないね(笑)」
「『ニッポン放送に、本当に行きたくない時期があったんです』と。そうすると、行かないっていう選択肢は生放送だから許されないですけど、それが体に現れていくんです。それで、ふと気づいて、友達の話とかにしていったんですけど(笑)俺の中で、そこで知らんぷりするのもなんだね、っていうのがあるんで」
「ディレクター始め、スタッフ陣は編集のテクニックもかなりあるところなんで、1回目の源氏物語で、そのウスラトンカチが、キョトンってしてるところなんかも、上手に使ってくれたりするけど、結果、『変身』がどうなるのか分からないけどね」
さらに、以下のように語っていた。
「『グレゴール・ザムザが、突然、朝起きたら虫になってました』ってスタートだわな。虫になる前はこうでしたよ、虫になった後はこうでしたよ、って話なんだけど。虫になったザムザは、虫になったことに凄いビビるわけ。凄いビビるんだけど、それは『ヤバイ、会社にいけない』ってことなんだ。そのあたりは、俺はヘルニアになって歩けなくなるんだよね。ニッポン放送のラスト」
「『生放送に間に合わない、生放送にいけない』っていうことは、相当考えてさ、その『立てない』って状況がヤバイってことよりも、『生放送にいけない』ってことで頭がいっぱいになるわけ。なんとかして生放送に行って、翌日から、心に決めるのは、『事務所がどんなに行けって言っても、俺は家から出ない』って決めるの。それで行かないと、『なんで来ないんだ』って話になって、『実は、僕は昨日も言ったとおり、歩けません』って話になって、そこで事務所が頑張ってくれて、休暇に入るんだけど」
「そのグレゴール・ザムザ、虫になっちゃった奴も、『ヤバイ、会社に行けない、どうしよう』みたいになるの。それで数日すると、凄い好きだった食べ物とかが美味くなくなって、『残飯美味い、残飯美味い』ってなってくるの。それで、暗い部屋の天井をカサカサって動くと、『すげぇカサカサ(笑)メッチャ面白い、メッチャ面白い(笑)』ってなってくるわけ」
「でも、たまに外を見ると、『自分は人間だったんだよな』ってくるっていうのを、専門家の先生もいらっしゃるから、『この描写は…』って解説してくれるんだけど、もう喋りたくてしょうがないの。登校拒否を始めて、1日目から3日目までの楽しさね。学校に行かなくて良い楽しさと、『このまま俺、どうなるんだろう』って不安と、窓から見える同級生の誘いに来た川野くんの姿みたいなことが重なって、『カフカの野郎、俺の姿を見てやがったな』って思うのよ(笑)」
「でも、そのことが出たときの、みんなのドン引き感(笑)見た時の『アンタ、その役じゃないよ。朗らかに喋れよ』ってことなんだけど、もはや途中から『先生、それ分かってない』と。『先生は、不登校をやってないし、なんだかんだご迷惑を掛けた結果、週3日しか働かない俺というものを、先生はご存じないから』っていう、トーンになってて(笑)逆に言うと、NHKのスタッフには、編集を頑張ってもらわないと(笑)相当頑張ってもらわないとイカンな、みたくなってて」
「短編なんで、収録後に読んでみて、『こんなもんだったっけ』って思ったりするんだけどね。源氏物語は、凄いモテる人の話じゃん。モテる人の話だから、それほどは入ってこないけど、段々、『なるほど勧善懲悪みたいな単純で幼稚な話じゃなくて、いろんな人の事情みたいなのを書いてるんだね』みたいなのが面白くなってきたんだけど、変身はハマり過ぎて、むしろもう一度撮り直して欲しい(笑)『僕、ちっちゃい頃からカブトムシが好きで』って話をしてる、元々の僕のタレントイメージにして欲しいですね。どこにイメージを置いてるのか知らないですけど(笑)」と語っていた。
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伊集院光「最初が源氏物語で、全部で4回収録したんです。1回目より2回目、2回目より3回目って、俺的には『源氏物語って面白いな』って思ったんだけどね。それで2作目が、カフカの『変身』だったの。カフカの『変身』は、何となくストーリーは知ってる」
「『朝起きたら、俺、虫になってたよ』って。それ以外は知らない(笑)朝起きたら、虫になってたんだなって。あと、漫画になってたのとか、カフカのことを取り上げた映画、みたいなのがあってそれを観たことがあって、ちょっと良いなって思ってたんですよね」
「NHKからしてみたら、物知りっていうよりは、気の良い兄ちゃん、みたいなことで僕を呼んでるから、『源氏物語知らなくてもいいから、読んでない目線で、視聴者にも共感を得られるトークをして欲しい』みたいなことだと思うんだよね」
「それで、カフカの『変身』の話は、大雑把に言うと、グレゴール・ザムザ、主人公なんだけどさ、グレゴールのお家はさ、グレゴール1人が頑張らなきゃいけないような状況になってるわけ。父ちゃんと母ちゃんは働かないし、妹は音楽大学を出させてやらなきゃいけないし、っていうんで、セールスマンで1人頑張ってるんだよね」
「それでもう、すげぇプレッシャーを受けてるんだけど、ある日気がついたら、虫になっちゃってるわけ。不条理文学の始祖みたいなやつだから、『虫になっちゃった』っていって。感覚的には、『ビックリして耳大きくなっちゃった』的な感じで、虫になっちゃった、みたいになってるわけ」
「それで、虫になっちゃった後で、みんなの反応が…みたいな話なんだけどさ。要は、イヤになっちゃったんだよね。ギブアップ出来ない人が、『もう無理です。コレ以上、無理です』って言えずに、どんどん重圧が掛かっていくと、最終的に、体に何か症状が現れるんだなって解釈だなって思ったんですよ」
「ただ、NHKの皆様は、僕のことを朗らかなお兄さんだと思ってるんで、全然他人ごととして、横にいる女性アナウンサーの島津アナが、『今、引きこもりとかニートとか、不登校なんて問題がある家庭もありますからね。それでは…』って、いこうとするんだけど、それにはワタクシ、一言も二言もあるんです(笑)」
「その瞬間の、『実は僕、不登校児でして…』って言い出した時の周りの『えっ?お前の役回り、それじゃなくない?』っていう反応(笑)『今、俺、それを告白して何の特も無い』っていうことを、まぁ止まらないね(笑)」
「『ニッポン放送に、本当に行きたくない時期があったんです』と。そうすると、行かないっていう選択肢は生放送だから許されないですけど、それが体に現れていくんです。それで、ふと気づいて、友達の話とかにしていったんですけど(笑)俺の中で、そこで知らんぷりするのもなんだね、っていうのがあるんで」
「ディレクター始め、スタッフ陣は編集のテクニックもかなりあるところなんで、1回目の源氏物語で、そのウスラトンカチが、キョトンってしてるところなんかも、上手に使ってくれたりするけど、結果、『変身』がどうなるのか分からないけどね」
さらに、以下のように語っていた。
「『グレゴール・ザムザが、突然、朝起きたら虫になってました』ってスタートだわな。虫になる前はこうでしたよ、虫になった後はこうでしたよ、って話なんだけど。虫になったザムザは、虫になったことに凄いビビるわけ。凄いビビるんだけど、それは『ヤバイ、会社にいけない』ってことなんだ。そのあたりは、俺はヘルニアになって歩けなくなるんだよね。ニッポン放送のラスト」
「『生放送に間に合わない、生放送にいけない』っていうことは、相当考えてさ、その『立てない』って状況がヤバイってことよりも、『生放送にいけない』ってことで頭がいっぱいになるわけ。なんとかして生放送に行って、翌日から、心に決めるのは、『事務所がどんなに行けって言っても、俺は家から出ない』って決めるの。それで行かないと、『なんで来ないんだ』って話になって、『実は、僕は昨日も言ったとおり、歩けません』って話になって、そこで事務所が頑張ってくれて、休暇に入るんだけど」
「そのグレゴール・ザムザ、虫になっちゃった奴も、『ヤバイ、会社に行けない、どうしよう』みたいになるの。それで数日すると、凄い好きだった食べ物とかが美味くなくなって、『残飯美味い、残飯美味い』ってなってくるの。それで、暗い部屋の天井をカサカサって動くと、『すげぇカサカサ(笑)メッチャ面白い、メッチャ面白い(笑)』ってなってくるわけ」
「でも、たまに外を見ると、『自分は人間だったんだよな』ってくるっていうのを、専門家の先生もいらっしゃるから、『この描写は…』って解説してくれるんだけど、もう喋りたくてしょうがないの。登校拒否を始めて、1日目から3日目までの楽しさね。学校に行かなくて良い楽しさと、『このまま俺、どうなるんだろう』って不安と、窓から見える同級生の誘いに来た川野くんの姿みたいなことが重なって、『カフカの野郎、俺の姿を見てやがったな』って思うのよ(笑)」
「でも、そのことが出たときの、みんなのドン引き感(笑)見た時の『アンタ、その役じゃないよ。朗らかに喋れよ』ってことなんだけど、もはや途中から『先生、それ分かってない』と。『先生は、不登校をやってないし、なんだかんだご迷惑を掛けた結果、週3日しか働かない俺というものを、先生はご存じないから』っていう、トーンになってて(笑)逆に言うと、NHKのスタッフには、編集を頑張ってもらわないと(笑)相当頑張ってもらわないとイカンな、みたくなってて」
「短編なんで、収録後に読んでみて、『こんなもんだったっけ』って思ったりするんだけどね。源氏物語は、凄いモテる人の話じゃん。モテる人の話だから、それほどは入ってこないけど、段々、『なるほど勧善懲悪みたいな単純で幼稚な話じゃなくて、いろんな人の事情みたいなのを書いてるんだね』みたいなのが面白くなってきたんだけど、変身はハマり過ぎて、むしろもう一度撮り直して欲しい(笑)『僕、ちっちゃい頃からカブトムシが好きで』って話をしてる、元々の僕のタレントイメージにして欲しいですね。どこにイメージを置いてるのか知らないですけど(笑)」と語っていた。
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