爆笑問題が語る「立川談志に出会った時の思い出」
2011.11.30 (Wed)
2011年11月29日放送の「爆笑問題カーボーイ」にて、亡くなった立川談志と初めて出会った時のことについて語っていた。

田中「最初に会った時…飲まされて。飲まされることは何となく、あることだろうとは思ってた。初めて会った日だったね。あの日、銀座のMIYAっていう薄暗いバーがあるわけですよ。談志師匠行きつけの。喪黒福造が居そうな、古い」
太田「…」
田中「怪しげな人たちがいっぱい居て、中にはミッキーカーチスさんが居たりして、色んな人たちが居る中で、初めて会った俺らに『おう、ちょっとここ座れ』って言って、目の前に座らされて」
太田「うん」
田中「周りでは大人たちが話をしてる。俺らは、当然、黙ってるんですよ」
太田「ワケ分かんないですから」
田中「言ってることの内容も、半分も理解できないような状態ですよ。それで、もちろん、恐縮しちゃって、黙ってて。そしたら、『つまんねぇのか?』って始まったんだよね」
太田「『話すことが無くて居るようだったら、帰る方が良いな』って言われて。だって、話せねぇじゃんって思ってて、『うわぁ、どうしよう』って思ってて」
田中「これ、怖ぇって思ったね(笑)」
太田「あん時は参ったな」
田中「あれは怖かったね」
太田「快楽亭ブラックさんがいて、『気にすることないよ』って」
田中「あの人があんだけ頼りがいがあったの、初めてだったね(笑)」
太田「優しいなぁって思ったな」
田中「こっちにずっと居てって思ったね」
太田「そりゃそうだよね」
田中「それで飲まされてな」
太田「ハイボール3杯ね」
田中「そう。人生であんだけゲロ吐いたのあのときだからね」
太田「あっという間に吐いたね」
田中「だって、銀座で吐いて、新井薬師でまだ吐いてたからね」
太田「師匠が帰っちゃったんだから、それでね」
田中「『ホントに飲めねぇんだな、悪かったな』って言って、帰っちゃって」
太田「ドン引きだよ」
田中「そう。『見送れ』って言われて。気持ち悪い中、階段登って『早く帰ってくれ…』って思いながらね」
太田「ふふっ(笑)」
田中「その後、タクシーを見送って。…太田さんは感動的な日だしね、『天下獲っちゃえ』って言われた日ね」
太田「我々が干されてた時期で」
田中「ちょっと出だしたところでね」
太田「もう一回仕事が出来るっていうところで、師匠がいち早く認めてくれたというか、『お前ら、面白い』って言ってくれたところですよね」
田中「うん」
太田「あれは、自分の人生の中でも、3本指に入るような日ですよ」
さらに、以下のように語っていた。
田中「あのとき、坂田とかも居て。ウチの事務所、立ち上げたばっかりのようなところですよ。それで、坂田が新井薬師の近くに住んでて。それで、新井薬師のカラオケボックスに行って。『スゴイことがあったんだよ』って言ってな」
太田「そのタクシー、降りるなりゲーゲー吐いてたな」
田中「もう止まらないくらいよ。今はハイボールって流行ってるけど、あの当時は『なんだよ、この古いの』って思って、もう、俺の中では毒ですよ」
太田「俺は3杯あけたからね」
田中「よく飲んだね」
太田「しかも、その後に漫才させられたからね。ボロボロだよ。しかも、MIYAでだよ?参ったな」
田中「あれはホントに…良いことと悪いことが一度にあった日なんだよね。ホントにあのとき、死ぬかもしれないって思ったからね」
太田「思ったね」
田中「だって、俺はボジョレーヌーボー解禁だって言って、紙コップに2 cmくらいのワインを飲んで、全身痺れてタクシー降りて、道端で40分寝てたんだから。そんなヤツが、ハイボールを1杯飲んだからね。ついにこういう時が来たかって思ったからね」
太田「ついに(笑)」
田中「意外に来ないと思ってたんだよ。『俺の酒が飲めないのか』的なヤツ。もう、いつかあるだろうって思ってたけどね。『ウッチャンナンチャンも、意外とそういうことしねぇんんだ』って思ってたからね。入ったばっかりの頃ね。笑いの殿堂で、打ち上げとかで。浅草キッドも嫌なこと言うなって思ってたけど、意外にそういうこと言わないなって思ってきて(笑)談志だ…って思って」
太田「ふふっ(笑)」
田中「『今日、この後、なんかあんのかい?』って楽屋で言われて、初めて会ったその日に。当然、『いえ、いえ…』って言ってな。『ちょっと行くか』って言われて。いやぁ、怖いな。談志師匠は飲まされそうだなって思って。最初は烏龍茶だったんだけど」
太田「うん」
田中「黙って当然ですよ、みたいな感じで烏龍茶飲んでて。談志師匠は、横の人とかと喋ってて。それでパッと気付いて、『なに黙ってんだい』って言われて」
太田「それで、『何、飲んでんだい』って言われて」
田中「『烏龍茶です』って言ったら、『飲めねぇのか』って言われて。あぁ、良かった、って思ったら、『よし、じゃあ今日は飲め』って言われて。『ハイボール3杯ずつもってこい』って言われて」
太田「『一気にあけろ』っていわれて。怖かったな(笑)」
田中「もう、俺はしみじみ思ったね」
太田「もう、飲むしかないね」
田中「だから、もうお前が『小僧、死ぬな』って思ってたろうなって思って」
太田「『でも、飲めよ』って思ってたからね」
田中「俺は、『これは無理です』って言えないの分かってたから、命を懸けて飲んでた」
太田「それ以来だよね。それから一切、酒を勧めなくなったの」
田中「ホントに、その後、高田先生と飲んで。その時、高田先生が『お前ら、師匠の前で飲まなきゃダメだよ』って言ったら、師匠が『いんだ、いんだ。こいつは飲めないんだよ』って。そこからは、一切、勧められたことはないんですよね」
太田「よっぽど引いたんでしょ。田中くんのあの有様に」
田中「『こいつはダメだな』っておもったんだろうね」
太田「はっはっは(笑)」
田中「ホントに、真っ青だからね。トイレに行って、吐いて。何度も」
太田「胃液を吐いてたね。もう、出す物無いんだから。タクシーを降りるなり這いつくばってたから」
田中「まだ、社長がお釣りもらってる時だったからね」
太田「うん」
田中「ひどかったね、アレは。今となっては良い思い出ですけどね」
太田「良い思い出ですね」
田中「MIYAでドリアン食ってたね」
太田「ドリアンを食いだして。キープしてあるんですよ。ドリアンキープして(笑)『あるだろ?ドリアン。俺のドリアン』って言い出して」
田中「ラップかなにかで」
太田「それを顔中で食うんですよ。食うってよりも、顔中に塗ってる状況ですよ。なんなんだ、このジィさんはって(笑)店中クサくって」
田中「あのとき、映画のスピードが来たときで。『面白ぇのが来た』って言ってて。スゲェ言ってた記憶があるんだよ。ハリウッド映画とかも観る人なんだって思って。全部新鮮じゃない?立川談志っていうのは、こういう人なんだって」
太田「うん」
田中「芸能大全集って番組を一緒にやれたのは大きかったね」
太田「歌謡曲の記憶力、凄かったな」
田中「映画から俳優、名前ね」
太田「それから浪曲、講談。全部できるんだから」
田中「その容量はスゴイよね。今までみた人間の中で、ダントツ一番でしょ」
太田「天才ね。駅名全部言えるような天才少年みたいに」
田中「映画から音楽、落語、講談…すべてにおいて、全部のオタク。それがスゴイよね」
太田「うん」
田中「たまに、自分の好きなガンダムのことなら言える、とかならあるけど」
太田「あの人は、嫌いなものまで言えるんですよ。全部やって、悪口言うんだもんね」
田中「あの下手くそな落語家が…とかって言って」
太田「あと、漫才ね。漫才も夢路いとし・喜味こいし師匠さんから何から。千田万吉とか」
田中「俺らに『とにかく千田万吉を聞け』っていうんだけど」
太田「無ぇよ、素材がって話なんだけどな」
田中「全く分からない」
太田「東武蔵とかね」
田中「それもね、全部やるんですよ」
太田「関西弁は関西弁でやるからね」
田中「全部覚えてる、そういう人間はいないよね」
太田「スッと出てくるんだよね」
田中「自分たちの10年前のネタってできないじゃないですか。それを、他人の50年前のネタをスラスラ言うんだよ。そんな天才、いないでしょ。しかも、記憶だけじゃなくて演技もできるわけじゃないですか」
太田「もとよりヘタすりゃ上手いですから」
田中「芝居も天才、記憶の天才、発想の天才…全部の天才を集めちゃってるからね。とてもじゃないけど…」
太田「あの人が死んじゃったっていうのは、相当の損失だよね」
田中「バックアップをとりたいよ。アインシュタインの脳を保存してる、とかあるじゃない…そういった意味じゃ、すごいコンピュータですよ」
太田「贅沢ですね。ホントにお客さんには申し訳ないですけど、隣で聞いてるときの良さったら無いですからね」
田中「凄かったもんね」
太田「劇場も良いんですけど、スッと芝居に入るタイミングとかがね。まぁ格好いい。ゾクゾクってきますからね。口上みたいなのとか、ちょっとした歌の一節とか、ああいうの堪らないですね」
田中「『会いたい』のゲストで…誰だったか。歌い合ってね。ゲスト忘れちゃうからね(笑)」
太田「長さん、いかりや長介さんも来てね。勘三郎さん」
田中「権堂監督も来て。野球の話で、現役でサード守ってたとき、『この後、飲みに行くぞ!』とかってヤジってたって話をしてて」
太田「長さんに、『あんな小僧どもを連れて、面白いのか?』って、あの時点で言ってたからね。よくよく考えてみると、『何なんだ、この人』って思うよね」
田中「はっはっは(笑)」
太田「小僧どもって、ドリフのことですよ?まだドリフターズのメンバー集まってない時点ですよ。その時に『あんな小僧どもを連れて、面白いのか?』って。カトケンですよ(笑)大御所だっていうの。それなのに、あの人たちのことを」
田中「ねぇ」
太田「いかりや長介さんは、談志師匠の大ファンだったみたいですからね」
田中「あの二人のツーショットは、テレビでは全く観ることがないですからね」
太田「『ちょうべい!』って言ってね」
田中「植木さんの話とかもね」
太田「植木さんのことが、また大好きで。談志師匠は」
田中「ねぇ。あの辺の話って、もう言う人がいないわけですよね。クレイジーキャッツも、谷さんも植木さんも、いかりやさんも亡くなっちゃって。志ん朝、円楽、談志、みんな亡くなっちゃいましたからね。それこそ、加藤茶さん、マチャアキさんとか、あの辺がね」
太田「加藤茶さんの奥さんが受け継いで」
田中「23歳くらいですけど(笑)そうなると、そうすると100年くらい受け継いでいけますかね」と語っていた。
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太田「…」
田中「怪しげな人たちがいっぱい居て、中にはミッキーカーチスさんが居たりして、色んな人たちが居る中で、初めて会った俺らに『おう、ちょっとここ座れ』って言って、目の前に座らされて」
太田「うん」
田中「周りでは大人たちが話をしてる。俺らは、当然、黙ってるんですよ」
太田「ワケ分かんないですから」
田中「言ってることの内容も、半分も理解できないような状態ですよ。それで、もちろん、恐縮しちゃって、黙ってて。そしたら、『つまんねぇのか?』って始まったんだよね」
太田「『話すことが無くて居るようだったら、帰る方が良いな』って言われて。だって、話せねぇじゃんって思ってて、『うわぁ、どうしよう』って思ってて」
田中「これ、怖ぇって思ったね(笑)」
太田「あん時は参ったな」
田中「あれは怖かったね」
太田「快楽亭ブラックさんがいて、『気にすることないよ』って」
田中「あの人があんだけ頼りがいがあったの、初めてだったね(笑)」
太田「優しいなぁって思ったな」
田中「こっちにずっと居てって思ったね」
太田「そりゃそうだよね」
田中「それで飲まされてな」
太田「ハイボール3杯ね」
田中「そう。人生であんだけゲロ吐いたのあのときだからね」
太田「あっという間に吐いたね」
田中「だって、銀座で吐いて、新井薬師でまだ吐いてたからね」
太田「師匠が帰っちゃったんだから、それでね」
田中「『ホントに飲めねぇんだな、悪かったな』って言って、帰っちゃって」
太田「ドン引きだよ」
田中「そう。『見送れ』って言われて。気持ち悪い中、階段登って『早く帰ってくれ…』って思いながらね」
太田「ふふっ(笑)」
田中「その後、タクシーを見送って。…太田さんは感動的な日だしね、『天下獲っちゃえ』って言われた日ね」
太田「我々が干されてた時期で」
田中「ちょっと出だしたところでね」
太田「もう一回仕事が出来るっていうところで、師匠がいち早く認めてくれたというか、『お前ら、面白い』って言ってくれたところですよね」
田中「うん」
太田「あれは、自分の人生の中でも、3本指に入るような日ですよ」
さらに、以下のように語っていた。
田中「あのとき、坂田とかも居て。ウチの事務所、立ち上げたばっかりのようなところですよ。それで、坂田が新井薬師の近くに住んでて。それで、新井薬師のカラオケボックスに行って。『スゴイことがあったんだよ』って言ってな」
太田「そのタクシー、降りるなりゲーゲー吐いてたな」
田中「もう止まらないくらいよ。今はハイボールって流行ってるけど、あの当時は『なんだよ、この古いの』って思って、もう、俺の中では毒ですよ」
太田「俺は3杯あけたからね」
田中「よく飲んだね」
太田「しかも、その後に漫才させられたからね。ボロボロだよ。しかも、MIYAでだよ?参ったな」
田中「あれはホントに…良いことと悪いことが一度にあった日なんだよね。ホントにあのとき、死ぬかもしれないって思ったからね」
太田「思ったね」
田中「だって、俺はボジョレーヌーボー解禁だって言って、紙コップに2 cmくらいのワインを飲んで、全身痺れてタクシー降りて、道端で40分寝てたんだから。そんなヤツが、ハイボールを1杯飲んだからね。ついにこういう時が来たかって思ったからね」
太田「ついに(笑)」
田中「意外に来ないと思ってたんだよ。『俺の酒が飲めないのか』的なヤツ。もう、いつかあるだろうって思ってたけどね。『ウッチャンナンチャンも、意外とそういうことしねぇんんだ』って思ってたからね。入ったばっかりの頃ね。笑いの殿堂で、打ち上げとかで。浅草キッドも嫌なこと言うなって思ってたけど、意外にそういうこと言わないなって思ってきて(笑)談志だ…って思って」
太田「ふふっ(笑)」
田中「『今日、この後、なんかあんのかい?』って楽屋で言われて、初めて会ったその日に。当然、『いえ、いえ…』って言ってな。『ちょっと行くか』って言われて。いやぁ、怖いな。談志師匠は飲まされそうだなって思って。最初は烏龍茶だったんだけど」
太田「うん」
田中「黙って当然ですよ、みたいな感じで烏龍茶飲んでて。談志師匠は、横の人とかと喋ってて。それでパッと気付いて、『なに黙ってんだい』って言われて」
太田「それで、『何、飲んでんだい』って言われて」
田中「『烏龍茶です』って言ったら、『飲めねぇのか』って言われて。あぁ、良かった、って思ったら、『よし、じゃあ今日は飲め』って言われて。『ハイボール3杯ずつもってこい』って言われて」
太田「『一気にあけろ』っていわれて。怖かったな(笑)」
田中「もう、俺はしみじみ思ったね」
太田「もう、飲むしかないね」
田中「だから、もうお前が『小僧、死ぬな』って思ってたろうなって思って」
太田「『でも、飲めよ』って思ってたからね」
田中「俺は、『これは無理です』って言えないの分かってたから、命を懸けて飲んでた」
太田「それ以来だよね。それから一切、酒を勧めなくなったの」
田中「ホントに、その後、高田先生と飲んで。その時、高田先生が『お前ら、師匠の前で飲まなきゃダメだよ』って言ったら、師匠が『いんだ、いんだ。こいつは飲めないんだよ』って。そこからは、一切、勧められたことはないんですよね」
太田「よっぽど引いたんでしょ。田中くんのあの有様に」
田中「『こいつはダメだな』っておもったんだろうね」
太田「はっはっは(笑)」
田中「ホントに、真っ青だからね。トイレに行って、吐いて。何度も」
太田「胃液を吐いてたね。もう、出す物無いんだから。タクシーを降りるなり這いつくばってたから」
田中「まだ、社長がお釣りもらってる時だったからね」
太田「うん」
田中「ひどかったね、アレは。今となっては良い思い出ですけどね」
太田「良い思い出ですね」
田中「MIYAでドリアン食ってたね」
太田「ドリアンを食いだして。キープしてあるんですよ。ドリアンキープして(笑)『あるだろ?ドリアン。俺のドリアン』って言い出して」
田中「ラップかなにかで」
太田「それを顔中で食うんですよ。食うってよりも、顔中に塗ってる状況ですよ。なんなんだ、このジィさんはって(笑)店中クサくって」
田中「あのとき、映画のスピードが来たときで。『面白ぇのが来た』って言ってて。スゲェ言ってた記憶があるんだよ。ハリウッド映画とかも観る人なんだって思って。全部新鮮じゃない?立川談志っていうのは、こういう人なんだって」
太田「うん」
田中「芸能大全集って番組を一緒にやれたのは大きかったね」
太田「歌謡曲の記憶力、凄かったな」
田中「映画から俳優、名前ね」
太田「それから浪曲、講談。全部できるんだから」
田中「その容量はスゴイよね。今までみた人間の中で、ダントツ一番でしょ」
太田「天才ね。駅名全部言えるような天才少年みたいに」
田中「映画から音楽、落語、講談…すべてにおいて、全部のオタク。それがスゴイよね」
太田「うん」
田中「たまに、自分の好きなガンダムのことなら言える、とかならあるけど」
太田「あの人は、嫌いなものまで言えるんですよ。全部やって、悪口言うんだもんね」
田中「あの下手くそな落語家が…とかって言って」
太田「あと、漫才ね。漫才も夢路いとし・喜味こいし師匠さんから何から。千田万吉とか」
田中「俺らに『とにかく千田万吉を聞け』っていうんだけど」
太田「無ぇよ、素材がって話なんだけどな」
田中「全く分からない」
太田「東武蔵とかね」
田中「それもね、全部やるんですよ」
太田「関西弁は関西弁でやるからね」
田中「全部覚えてる、そういう人間はいないよね」
太田「スッと出てくるんだよね」
田中「自分たちの10年前のネタってできないじゃないですか。それを、他人の50年前のネタをスラスラ言うんだよ。そんな天才、いないでしょ。しかも、記憶だけじゃなくて演技もできるわけじゃないですか」
太田「もとよりヘタすりゃ上手いですから」
田中「芝居も天才、記憶の天才、発想の天才…全部の天才を集めちゃってるからね。とてもじゃないけど…」
太田「あの人が死んじゃったっていうのは、相当の損失だよね」
田中「バックアップをとりたいよ。アインシュタインの脳を保存してる、とかあるじゃない…そういった意味じゃ、すごいコンピュータですよ」
太田「贅沢ですね。ホントにお客さんには申し訳ないですけど、隣で聞いてるときの良さったら無いですからね」
田中「凄かったもんね」
太田「劇場も良いんですけど、スッと芝居に入るタイミングとかがね。まぁ格好いい。ゾクゾクってきますからね。口上みたいなのとか、ちょっとした歌の一節とか、ああいうの堪らないですね」
田中「『会いたい』のゲストで…誰だったか。歌い合ってね。ゲスト忘れちゃうからね(笑)」
太田「長さん、いかりや長介さんも来てね。勘三郎さん」
田中「権堂監督も来て。野球の話で、現役でサード守ってたとき、『この後、飲みに行くぞ!』とかってヤジってたって話をしてて」
太田「長さんに、『あんな小僧どもを連れて、面白いのか?』って、あの時点で言ってたからね。よくよく考えてみると、『何なんだ、この人』って思うよね」
田中「はっはっは(笑)」
太田「小僧どもって、ドリフのことですよ?まだドリフターズのメンバー集まってない時点ですよ。その時に『あんな小僧どもを連れて、面白いのか?』って。カトケンですよ(笑)大御所だっていうの。それなのに、あの人たちのことを」
田中「ねぇ」
太田「いかりや長介さんは、談志師匠の大ファンだったみたいですからね」
田中「あの二人のツーショットは、テレビでは全く観ることがないですからね」
太田「『ちょうべい!』って言ってね」
田中「植木さんの話とかもね」
太田「植木さんのことが、また大好きで。談志師匠は」
田中「ねぇ。あの辺の話って、もう言う人がいないわけですよね。クレイジーキャッツも、谷さんも植木さんも、いかりやさんも亡くなっちゃって。志ん朝、円楽、談志、みんな亡くなっちゃいましたからね。それこそ、加藤茶さん、マチャアキさんとか、あの辺がね」
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