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小島秀夫、『GTA3』で体感したオープンワールドに衝撃を受け「やりたい」と思い続けてついに『MGS V』で実現したと明かす
2017.07.26 (Wed)
2017年7月22日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(毎週土 22:00-24:00)にて、ゲームクリエイター・小島秀夫が出演し、『グランド・セフト・オート3』で体感したオープンワールドに衝撃を受け、「やりたい」と思い続けてついに『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』で実現したと明かしていた。
ゲームデザイナー小島秀夫の視点

宇多丸:3(METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER)から先のゲーム。また、そのゲームシステム的に、世界のゲームが変わっていくタイミングに、色々試行錯誤されている感じも、スリリングでした。
小島秀夫:はい。
宇多丸:そして、『ファントムペイン』で、ちょっと完成形だなという感じがしました。
METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN

小島秀夫:オープンワールドね。
宇多丸:オープンワールド。
小島秀夫:オープンワールドは、やっぱりやりたかったんですよね、ずっと。
宇多丸:これやっぱ、オープンワールド、例えば『グランド・セフト・オート』とか、ああいうのが出てきた時は、やっぱり衝撃はありました?
小島秀夫:あの2(METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE)が、2001年に出たんですけど、その年に『グランド・セフト・オート』が、3Dになったやつが出たんです。
宇多丸:はい。『グランド・セフト・オート3』ですね。
Grand Theft Auto III

小島秀夫:その時に、あのゲームをやってビックリしたんですよね。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:ゲームデザイナーって、やっぱりテクノロジーを扱うんですけど、プログラマーではないので、今あるテクノロジーでできることを考えるんですけど。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:それをやってても、新しいものは絶対に作れないですよね。人ができないことをするから、評価されるので。それで本当はテクノロジー上げたら良いんですけど、そこが自分ではできないから、アイデアで逃げるんですよ。
宇多丸:もちろんでもね、枯れた技術の水平思考で行くしかないですよね。
小島秀夫:走り高跳びで越えられない時は、横から行っても良い。下をくぐっても良い。それがアイデアで。
宇多丸:まさに、ステルスアクション、そこから生まれた。
小島秀夫:ハシゴを上げる、とかもありますけど、本当は下を、テクノロジーで地面を上げてくれたら、あるいはテクノロジーのはしごを僕が使わせてもらったら、軽く越えるんですけど。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:それができないから、ステルスが生まれて。この車乗れる、乗れないという時に色を変えたりとか。扉が開いていない車を作るんですけど。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:『グランド・セフト・オート』は、そんなんじゃなくて、プログラマー主体なんですよ。
宇多丸:ああ、そうなんだ。
小島秀夫:要は、走ってる車はどれでも乗れる。これはゲームの夢ですけど、実現は普通できないんですよ。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:メモリーとか、処理とかもあって。
宇多丸:そうでしょうね。
小島秀夫:どこまでも、ロードし続けるんですよ。
宇多丸:ああ、だからそうか。常にロードしてる。
小島秀夫:普通はそれまで、四畳半とか六畳半の部屋を、一気にロードして。『バイオハザード』なんか、扉を開ける時にゆっくり。あれで、裏読みしてるんです。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:ユーザーは、読んでるの分かるんですよ。「ローディング」って出る。ローディングが出るのを、ゲームのタイミングにするっていうか。
宇多丸:はい。
小島秀夫:ゲームデザイナーが、タイミングするように作っていたんですね。ちょっとずつ大きな部屋を移っていってっていう。
宇多丸:はい、しかも、あれが開くのがサスペンス演出になってる。
小島秀夫:それが当たり前で。それを使って、僕らが何かできるかということを考えた時に、彼らは道路を走りながら、見えていない円形の裏で書いてるんですよ。先読みして。
宇多丸:ああ、ずっと。
小島秀夫:どこまでも行ける、と。どこまでも行けるし、その辺の車、どれでも停めて乗れる、と。「そんなバカな」と。
宇多丸:ああ、やっぱりそうだったんですね。
小島秀夫:それを見て、うちのプログラマーとかに言うと、「それはね…」って言われて、全然相手にしてくれない。
宇多丸:ふふ(笑)
小島秀夫:それで、3もそうですし。でも、それをやりたい、それを使ってやりたかったんですよ。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:それをやるには、エンジンを作らないといけないし、それでやっぱり海外の優秀なテクノロジーを持った人を連れてこないといけないので。
宇多丸:ええ。
小島秀夫:それまでは、まぁ3を作ったり、4を作ったりしてましたけど。その間に、まぁ、海外から天才的なプログラマーだったらやっぱり違うんですよ。
宇多丸:ああ。
小島秀夫:講演とかしたら、「小島さん、僕達なら小島さんをアイディアではなくて、地面ごと上げてみせます」と。
宇多丸:ああ。
小島秀夫:「もっと高みまで上げて、そこから上に行くか、下に行くかのアイディアは、小島さんに委ねます」と。
宇多丸:はい、はい。
小島秀夫:「ああ、そんな考え方があんねや」と思って。「凄いなぁ」と思って。
宇多丸:それでそのFOXエンジンというのが。
小島秀夫:そうですね。時間はかかりましたけど、面白かったですよ。
宇多丸:いや、遜色ないし。それこそロードして、読み込んでいる時の、その間もちゃんと楽しませてくれる感じが。間もちゃんとできるだけ短くしているのが分かりましたし、最高でございました。
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ゲームデザイナー小島秀夫の視点

宇多丸:3(METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER)から先のゲーム。また、そのゲームシステム的に、世界のゲームが変わっていくタイミングに、色々試行錯誤されている感じも、スリリングでした。
小島秀夫:はい。
宇多丸:そして、『ファントムペイン』で、ちょっと完成形だなという感じがしました。
METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN

小島秀夫:オープンワールドね。
宇多丸:オープンワールド。
小島秀夫:オープンワールドは、やっぱりやりたかったんですよね、ずっと。
宇多丸:これやっぱ、オープンワールド、例えば『グランド・セフト・オート』とか、ああいうのが出てきた時は、やっぱり衝撃はありました?
小島秀夫:あの2(METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE)が、2001年に出たんですけど、その年に『グランド・セフト・オート』が、3Dになったやつが出たんです。
宇多丸:はい。『グランド・セフト・オート3』ですね。
Grand Theft Auto III

小島秀夫:その時に、あのゲームをやってビックリしたんですよね。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:ゲームデザイナーって、やっぱりテクノロジーを扱うんですけど、プログラマーではないので、今あるテクノロジーでできることを考えるんですけど。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:それをやってても、新しいものは絶対に作れないですよね。人ができないことをするから、評価されるので。それで本当はテクノロジー上げたら良いんですけど、そこが自分ではできないから、アイデアで逃げるんですよ。
宇多丸:もちろんでもね、枯れた技術の水平思考で行くしかないですよね。
小島秀夫:走り高跳びで越えられない時は、横から行っても良い。下をくぐっても良い。それがアイデアで。
宇多丸:まさに、ステルスアクション、そこから生まれた。
小島秀夫:ハシゴを上げる、とかもありますけど、本当は下を、テクノロジーで地面を上げてくれたら、あるいはテクノロジーのはしごを僕が使わせてもらったら、軽く越えるんですけど。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:それができないから、ステルスが生まれて。この車乗れる、乗れないという時に色を変えたりとか。扉が開いていない車を作るんですけど。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:『グランド・セフト・オート』は、そんなんじゃなくて、プログラマー主体なんですよ。
宇多丸:ああ、そうなんだ。
小島秀夫:要は、走ってる車はどれでも乗れる。これはゲームの夢ですけど、実現は普通できないんですよ。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:メモリーとか、処理とかもあって。
宇多丸:そうでしょうね。
小島秀夫:どこまでも、ロードし続けるんですよ。
宇多丸:ああ、だからそうか。常にロードしてる。
小島秀夫:普通はそれまで、四畳半とか六畳半の部屋を、一気にロードして。『バイオハザード』なんか、扉を開ける時にゆっくり。あれで、裏読みしてるんです。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:ユーザーは、読んでるの分かるんですよ。「ローディング」って出る。ローディングが出るのを、ゲームのタイミングにするっていうか。
宇多丸:はい。
小島秀夫:ゲームデザイナーが、タイミングするように作っていたんですね。ちょっとずつ大きな部屋を移っていってっていう。
宇多丸:はい、しかも、あれが開くのがサスペンス演出になってる。
小島秀夫:それが当たり前で。それを使って、僕らが何かできるかということを考えた時に、彼らは道路を走りながら、見えていない円形の裏で書いてるんですよ。先読みして。
宇多丸:ああ、ずっと。
小島秀夫:どこまでも行ける、と。どこまでも行けるし、その辺の車、どれでも停めて乗れる、と。「そんなバカな」と。
宇多丸:ああ、やっぱりそうだったんですね。
小島秀夫:それを見て、うちのプログラマーとかに言うと、「それはね…」って言われて、全然相手にしてくれない。
宇多丸:ふふ(笑)
小島秀夫:それで、3もそうですし。でも、それをやりたい、それを使ってやりたかったんですよ。
宇多丸:うん、うん。
小島秀夫:それをやるには、エンジンを作らないといけないし、それでやっぱり海外の優秀なテクノロジーを持った人を連れてこないといけないので。
宇多丸:ええ。
小島秀夫:それまでは、まぁ3を作ったり、4を作ったりしてましたけど。その間に、まぁ、海外から天才的なプログラマーだったらやっぱり違うんですよ。
宇多丸:ああ。
小島秀夫:講演とかしたら、「小島さん、僕達なら小島さんをアイディアではなくて、地面ごと上げてみせます」と。
宇多丸:ああ。
小島秀夫:「もっと高みまで上げて、そこから上に行くか、下に行くかのアイディアは、小島さんに委ねます」と。
宇多丸:はい、はい。
小島秀夫:「ああ、そんな考え方があんねや」と思って。「凄いなぁ」と思って。
宇多丸:それでそのFOXエンジンというのが。
小島秀夫:そうですね。時間はかかりましたけど、面白かったですよ。
宇多丸:いや、遜色ないし。それこそロードして、読み込んでいる時の、その間もちゃんと楽しませてくれる感じが。間もちゃんとできるだけ短くしているのが分かりましたし、最高でございました。
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