伊集院光、天皇陛下のお気持ち表明に込められた思いに言及「象徴でありつつ、人間であることのバランスの難しさ」
2016.08.10 (Wed)
2016年8月9日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光とらじおと』(毎週月-木 8:30-11:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、8日に天皇陛下が「お気持ち」表明をなさったことを受け、そこに込められた思いに「象徴でありつつ、人間であることのバランスの難しさを感じた」と語っていた。
伊集院光:何と言っても、天皇陛下のええ、お気持ちのビデオメッセージなんですけども。
内山研二:うん。
伊集院光:やっぱり、お立場として「政治に関与してはいけません」ということがあるので、いろいろとても気遣った、気遣いつつも踏み込んだ内容だったと思ったんですけど。
内山研二:はい。
伊集院光:まぁ、でも本当に難しいお立場であられると思うのは、「人間としては当たり前の歳をとって、かなり辛いこともあります」っていう。「体力的に辛いこともあります。そういう時に、自分の今感じていることは、こういうことですよ」ということをおっしゃっているんですけど。
内山研二:うん。
伊集院光:でも、それを言ったことで、色んな大きなルールを変えなきゃならなくなるから。そこが、なかなか言い切れないみたいなね。
内山研二:そうですね。ですから、ご高齢になられて、自分ではなかなか公務が尽くせないんだ、と。
伊集院光:うん。
内山研二:陛下自身は、自分が象徴天皇、「象徴ということはどういうことなんだろう」ということを、即位した時からずっと考えてらした。
伊集院光:はい。
内山研二:それが公務、国事行為というのは、その国が指定すると言いますかね、政府が規制するというものがありますけど。それ以外の公務、被災地に行かれる、あるいは戦場の地に行かれる。それで、いろいろな方達の思いに寄り添っていこう、というのが陛下の考えられる公務であり、象徴としての役割だと。
伊集院光:うん。
内山研二:「それができないのであれば…」というニュアンスですよね。
伊集院光:なるほど。
内山研二:だから、「摂政を置く」なんて、物凄く踏み込んだところまでおっしゃってます。
伊集院光:ビックリしましたね、はい。
内山研二:それからあと、「段々と公務を減らしていけば良いんじゃないか」ということも、違うんだとおっしゃってますね。
伊集院光:だから摂政に関しては、僕はそれこそ摂政なんていう話は、中学校の歴史の授業以来。「ああ、そう言えば習ったな」みたいな気がしたんですけども。それこそ、こういうことに学者の人から言わせると、「別に摂政は、ありえることだから。そうすれば解決するんじゃないの?」みたいな話を、この天皇陛下がお気持ちを表す前は、言っている方が多かったじゃないですか。
内山研二:はい。
伊集院光:でも、それはどうも、違うんじゃないかっていう話までおっしゃってますよね。
内山研二:おっしゃっていますよね。ですけども、さっき伊集院さんがおしゃった通り、あまり踏み込んでしまいますと、政治的な発言になってしまう。
伊集院光:うん。
内山研二:恐らく、これを受けて何ができるというと、たとえば皇室典範を変えるですとかね。
伊集院光:うん。
内山研二:あるいは、特別法。その場限り、今回限りの法律を作るということになりますが、陛下の言葉がそれにすぐに結びついてしまえば、法改正をする動き、きっかけになってしまう。
伊集院光:ああ。
内山研二:ですから、これは政治的発言になってしまうので、政府は安倍総理もコメントでおっしゃっていましたけど、あまりはっきりしたことは言いませんでしたよね。
伊集院光:これ、それこそ「陛下がこうおっしゃったから、いますぐ変えましょう」って、連鎖しちゃうと…
内山研二:これは、政治的発言と捉えてしまえますよね。
伊集院光:なるほど、なるほど。「あの発言があって、この改正になりました」というのは、あまりよろしくない、と。
内山研二:ですから、陛下も最後にお言葉の中で、「国民の理解を得られることを切に願っています」と締められたのは、国民に向けたメッセージであって、政府を動かす、あるいは法改正をするために私は言っているのではないんだ、と。まず、国民に対するメッセージなんだというところを、強調させれ、凄く意識されて、言葉を作られていましたね。
伊集院光:うん。でも今、内山さんが言った通り、「ある程度ゆっくり手順を踏んで変えましょう」ということになると、今回だけ特別に、今上天皇という言い方で良いのかな、天皇陛下が早期に退位なさりますという、今回だけのルールを作るのか、それこそ皇室典範みたいなものの、これ以外のことも含めて、「じゃあ、一気に変えましょう」となるのか。
内山研二:ただね、生前退位をすると、いくつか問題があります。
伊集院光:はい。
内山研二:まず、天皇陛下の上に1つ、退位されたと言っても存在します。それを「上皇」という言い方をするのかわかりませんけども、天皇よりも、さらに地位、力というのは、あるかないか別にしても、存在として、一人出てきますので。要するに、そういう構造を日本国憲法が想定していないわけですよね。
伊集院光:なるほど。
内山研二:という問題が出てきます。それから、これも今の時代にあるのかなぁと思いますけどね、たとえば、天皇陛下の意思に基づかない強制的な退位という可能性もできる。
伊集院光:そうか、前例として退位ができるという決まりにしてしまうと…
内山研二:政治利用が、逆にできてしまうという可能性を作っちゃわないかという心配。それからもう1つ、これは今回の陛下の意図と、真っ向とぶつかってしまうんですが、「天皇陛下の思いで退位をするということは、本当に象徴として良いのだろうか?」と。
伊集院光:ああ。
内山研二:そういう考え方もあるんですね。ですから、仕組みとしてその皇室典範を変える、あるいは特別法という動きになっていくのかもしれませんが、その前提として、まだまだこういう問題もあるんですね。
伊集院光:「象徴でありつつ、人間である」ということの、凄くバランスの難しさみたいなものは、凄く感じましたね。
上田まりえ:はい。
伊集院光:そういう、大きな問題の中では、また細かいことになってくるのかもしれないですけども、じゃあ退位なさった後に新しい天皇陛下が生まれた時に、年号って、そこで変わるんですか?
内山研二:現行法では、「皇位の継承があった場合に限り改める」というふうになっていますので、皇位継承されれば、元号は変わります。
伊集院光:何かいろいろ、これから決めなきゃいけないこと。でも、あまり急げないし、という。これから決めないといけないことも、たくさんあるということですよね。
上田まりえ:考えていかなきゃいけないですね。
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伊集院光:何と言っても、天皇陛下のええ、お気持ちのビデオメッセージなんですけども。
内山研二:うん。
伊集院光:やっぱり、お立場として「政治に関与してはいけません」ということがあるので、いろいろとても気遣った、気遣いつつも踏み込んだ内容だったと思ったんですけど。
内山研二:はい。
伊集院光:まぁ、でも本当に難しいお立場であられると思うのは、「人間としては当たり前の歳をとって、かなり辛いこともあります」っていう。「体力的に辛いこともあります。そういう時に、自分の今感じていることは、こういうことですよ」ということをおっしゃっているんですけど。
内山研二:うん。
伊集院光:でも、それを言ったことで、色んな大きなルールを変えなきゃならなくなるから。そこが、なかなか言い切れないみたいなね。
内山研二:そうですね。ですから、ご高齢になられて、自分ではなかなか公務が尽くせないんだ、と。
伊集院光:うん。
内山研二:陛下自身は、自分が象徴天皇、「象徴ということはどういうことなんだろう」ということを、即位した時からずっと考えてらした。
伊集院光:はい。
内山研二:それが公務、国事行為というのは、その国が指定すると言いますかね、政府が規制するというものがありますけど。それ以外の公務、被災地に行かれる、あるいは戦場の地に行かれる。それで、いろいろな方達の思いに寄り添っていこう、というのが陛下の考えられる公務であり、象徴としての役割だと。
伊集院光:うん。
内山研二:「それができないのであれば…」というニュアンスですよね。
伊集院光:なるほど。
内山研二:だから、「摂政を置く」なんて、物凄く踏み込んだところまでおっしゃってます。
伊集院光:ビックリしましたね、はい。
内山研二:それからあと、「段々と公務を減らしていけば良いんじゃないか」ということも、違うんだとおっしゃってますね。
伊集院光:だから摂政に関しては、僕はそれこそ摂政なんていう話は、中学校の歴史の授業以来。「ああ、そう言えば習ったな」みたいな気がしたんですけども。それこそ、こういうことに学者の人から言わせると、「別に摂政は、ありえることだから。そうすれば解決するんじゃないの?」みたいな話を、この天皇陛下がお気持ちを表す前は、言っている方が多かったじゃないですか。
内山研二:はい。
伊集院光:でも、それはどうも、違うんじゃないかっていう話までおっしゃってますよね。
内山研二:おっしゃっていますよね。ですけども、さっき伊集院さんがおしゃった通り、あまり踏み込んでしまいますと、政治的な発言になってしまう。
伊集院光:うん。
内山研二:恐らく、これを受けて何ができるというと、たとえば皇室典範を変えるですとかね。
伊集院光:うん。
内山研二:あるいは、特別法。その場限り、今回限りの法律を作るということになりますが、陛下の言葉がそれにすぐに結びついてしまえば、法改正をする動き、きっかけになってしまう。
伊集院光:ああ。
内山研二:ですから、これは政治的発言になってしまうので、政府は安倍総理もコメントでおっしゃっていましたけど、あまりはっきりしたことは言いませんでしたよね。
伊集院光:これ、それこそ「陛下がこうおっしゃったから、いますぐ変えましょう」って、連鎖しちゃうと…
内山研二:これは、政治的発言と捉えてしまえますよね。
伊集院光:なるほど、なるほど。「あの発言があって、この改正になりました」というのは、あまりよろしくない、と。
内山研二:ですから、陛下も最後にお言葉の中で、「国民の理解を得られることを切に願っています」と締められたのは、国民に向けたメッセージであって、政府を動かす、あるいは法改正をするために私は言っているのではないんだ、と。まず、国民に対するメッセージなんだというところを、強調させれ、凄く意識されて、言葉を作られていましたね。
伊集院光:うん。でも今、内山さんが言った通り、「ある程度ゆっくり手順を踏んで変えましょう」ということになると、今回だけ特別に、今上天皇という言い方で良いのかな、天皇陛下が早期に退位なさりますという、今回だけのルールを作るのか、それこそ皇室典範みたいなものの、これ以外のことも含めて、「じゃあ、一気に変えましょう」となるのか。
内山研二:ただね、生前退位をすると、いくつか問題があります。
伊集院光:はい。
内山研二:まず、天皇陛下の上に1つ、退位されたと言っても存在します。それを「上皇」という言い方をするのかわかりませんけども、天皇よりも、さらに地位、力というのは、あるかないか別にしても、存在として、一人出てきますので。要するに、そういう構造を日本国憲法が想定していないわけですよね。
伊集院光:なるほど。
内山研二:という問題が出てきます。それから、これも今の時代にあるのかなぁと思いますけどね、たとえば、天皇陛下の意思に基づかない強制的な退位という可能性もできる。
伊集院光:そうか、前例として退位ができるという決まりにしてしまうと…
内山研二:政治利用が、逆にできてしまうという可能性を作っちゃわないかという心配。それからもう1つ、これは今回の陛下の意図と、真っ向とぶつかってしまうんですが、「天皇陛下の思いで退位をするということは、本当に象徴として良いのだろうか?」と。
伊集院光:ああ。
内山研二:そういう考え方もあるんですね。ですから、仕組みとしてその皇室典範を変える、あるいは特別法という動きになっていくのかもしれませんが、その前提として、まだまだこういう問題もあるんですね。
伊集院光:「象徴でありつつ、人間である」ということの、凄くバランスの難しさみたいなものは、凄く感じましたね。
上田まりえ:はい。
伊集院光:そういう、大きな問題の中では、また細かいことになってくるのかもしれないですけども、じゃあ退位なさった後に新しい天皇陛下が生まれた時に、年号って、そこで変わるんですか?
内山研二:現行法では、「皇位の継承があった場合に限り改める」というふうになっていますので、皇位継承されれば、元号は変わります。
伊集院光:何かいろいろ、これから決めなきゃいけないこと。でも、あまり急げないし、という。これから決めないといけないことも、たくさんあるということですよね。
上田まりえ:考えていかなきゃいけないですね。
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