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伊集院光、中村勘九郎出演の歌舞伎『女殺油地獄』に感動したと絶賛「面白いことは、面白いことだけで独立してない」

2016.04.19 (Tue)
2016年4月18日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光深夜の馬鹿力』(毎週月 25:00-27:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、歌舞伎『女殺油地獄』を観に行き、感動したと語っていた。

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伊集院光:歌舞伎。どれくらいぶりだろ。落語家時代に、「勉強になるから、見ておかなきゃいけない」ぐらいの感じで。

恐らく、月の給料が4万8千円くらいの時に、6千円くらい出して観に行った気がするんだよね。それで、「絶対に元とらなきゃ」ていう強迫観念で、なんか分かったような分からないような…だったのが、俺の歌舞伎の原体験で。

今回、朝の番組(『伊集院光とらじおと』)に中村勘九郎さんが来てくださって。何も知らないままっていうのもどうかと思うから、『女殺し油の地獄』を。明治座の4月花形歌舞伎っていう中の、『女殺油地獄』を観に行ったんだけど。

まぁ凄くてさ。この『女殺油地獄』自体はぼんやりしてたんだけど、見方変わっちゃったなって思うのは、元々、享保何年みたいな時に起きた、本当に起きた殺人事件で。油問屋の女将さんが、殺される事件なのね。

油問屋の女将さんが、凄惨な殺され方をされるっていう。子供の目の前で、抵抗して油の瓶に手をついたり倒したりしてるから、部屋中油まみれの中で惨殺されるっていう事件が起きて。それがいわゆるかわら版とかで配られ、それを近松門左衛門がある意味、ドキュメンタリーの作品にしたヤツを、さらに歌舞伎にした、みたいな話で。

なんかさ…ドキュメンタリーだって見方をあんまり考えたことがなくて。ドキュメンタリーだから、あんまり関係ないヤツも出てくるの。最初、油問屋の次男の放蕩息子みたいなのがいて。コイツはえらい不良で、調子に乗ってるヤツなの。ヘタレだし、バカだし。

コイツがテメェの入れあげてる、今で言うホステスみたいなヤツと一緒に、野崎参りっていう。今で言うと、「ベイブリッジまでドライブに行こうか」みたいなことを言うわけ。「今、流行ってるから、野崎参り。一緒に行こうぜ」って。

そしたら、「都合悪いから行かない」って言ってたのに、他の客と行ったっていうことが分かって。「田舎者の客と行った」っていうのを知って、「先回りして嫌がらせしてやろう」みたいなことが始まる。

そしたら、嫌がらせをしようと思ったけど、取っ組み合いになって。その泥がたまたま歩いてきたお役人にかかって。揉め事になるが、お役人のSPみたいな人が知り合いで。打首にされてもしょうがないのに、なかったことにしたんだけど、そのせいでSPはクビになりました、と。

それで、すげぇギャンブルとかでいっぱい借金してて。その借金を返さなきゃいけない日に家を勘当されて…この今言った前段のこととか、どうでも良いの。話のストーリーとして、「お役人に泥がかかりました」とか、「馴染みな芸者に横槍が入れられました」とか、あんまり関係ないの。

だけど、ドキュメンタリーだから。本当にそういうことがあった日に、そういうことをしてたヤツが最終的に人を殺したヤツだからっていう、その余談みたいなのが超面白くて。

それで、最後の一番良いところは、油まみれのところで、油問屋のカミさんを殺そうとして追いかけ回すシーンなんだけど、これがビックリするくらい、人殺しとドリフが行ったり来たりすんの。

「コイツ、子供の前で女将さんを殺しちゃう」って。それで、頭がもう飛んじゃってる状態だから。殺しちゃいそうになるんだけど、そこはヌルヌル相撲だから(笑)考えられる?ドキュメンタリーの最後のクライマックスの追い詰められたどうしようもない男が、世話になってるその油問屋の女将さんを、刃物を持って、子供の前で惨殺しますってシーンと、ヌルヌル相撲を両方同時に見せるってことが、俺の中で感動しちゃって。

それで、笑っちゃうの。絶対に笑っちゃうの。追い掛け回して、殺すって寸前に、本当にスッテーンっていくの。ちゃんと油も撒いてるから、舞台に。

それで、俺の体の中には、ヌルヌルで滑ってスッテーンってなっちゃったら。しかも、絶対に笑わせようとしてんの。奥さんと同時にスッテンになったりするから(笑)

反射的に笑っちゃうんだけど、笑った瞬間に、ちょっと後ろめたいの。だって、子供の前で、母親が殺されるシーンで「俺、笑っちゃった」って思うから、つい。

それで、「ヤベェ、笑っちゃった」って思って、「なんか後ろめたい」って空気になって、また刃物を持って追いかけ回す。それで今度、帯が解ける、みたいな。帯が解けるところで、これも女形だから、女将さんも。中村七之助さんで。女形で、女にしか見えないから、ちょっとエ口いって気持ち出るの。

それで、「ヤベェ、エ口イ」って思ったら、またスッテンって行くところが面白いのよ。面白いと思った瞬間、また殺そうとするから怖いっていう。それが一瞬で入れ替わるのが、「これじゃん」って。

面白いことは、面白いことだけで独立してないじゃんって思う。だけど、分かりやすいものを作ろうと思うと、「ここは面白いシーン」「ここは悲しいシーン」ってするけど、もうどうかしてんだよ。延々とどうかしてて。

リアルなのが、結局、殺しちゃって、そこから逃げ帰る時に、油まみれのところを通って行くから、また転ぶじゃん。また転ばないように、さっき剥ぎ取った帯の上を平均台みたいにして歩けば滑らない、みたいなことをするんだけど。

「それも要る?」って思うんだけど、本当にそうだから、みたいな迫力が延々とあり続けて。なんかスゲェもん見たなって。



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タグ : 伊集院光,中村勘九郎,

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