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小田嶋隆、つまようじ男事件と桑田佳祐の謝罪にある共通点「応えるべきでない要求に応えている」

2015.01.22 (Thu)
2015年1月19日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『たまむすび』(毎週月-金 13:00 - 15:30)にて、コラムニスト・小田嶋隆が、店内のスナック菓子につまようじを刺すなどの動画をネット上にアップした19歳少年や、コンサート中の演出を巡って抗議を受け、謝罪したサザンオールスターズ・桑田佳祐の一件に共通点がある、と指摘していた。

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その共通点とは、つまようじ男の件では、劇場型犯罪の犯罪者に、マスコミが報道することで、「目立ちたい」という欲求を満たしてしまい、桑田佳祐の件では、クレーマーに「あの桑田佳祐に謝罪させた」という誤った満足感を持たせてしまうという、「応えるべきでない要求に応えてしまっている」ということではないか、と語っていた。

大々的に報じるべきでなかった「つまようじ男」事件

赤江珠緒:スナック菓子の容器に、つまようじを突き刺すなどの動画がネット上に投稿された事件で、指名手配されていた19歳の少年が、滋賀県内で逮捕されたわけですけども、このニュースに関してはどう思われましたか?

小田嶋隆:初めから思ってたんですけど、高々、子供のイタズラですよね。

カンニング竹山:そう!そうですよ。本当にそう。

小田嶋隆:そんなに大きく扱うような事件ではないですよ。

赤江珠緒:たしかにね。

カンニング竹山:この子自体は、病気を抱えてる子供だったのかもしれませんけど、本当にマスコミが面白がり過ぎ。ダメですよ。

小田嶋隆:こういう犯罪について、「劇場型犯罪」って言い方があるじゃないですか。昔からよく、目立ちたい犯人が、マスコミの行動を意識しながら、やる犯行っていうのがあって、これなんか典型だと思うんですけど。

カンニング竹山:うん。

小田嶋隆:劇場型犯罪っていうのも、上手いネーミングではあるんだけど、ちょっと他人事過ぎる。

カンニング竹山:うん。

小田嶋隆:というか、メディアの側も責任を意識しなさ過ぎている、と思うんです。だって、メディア主導型って言っちゃいけないでしょうけど、「メディア共犯型犯罪」とか。メディアは共犯こそないものの、事後従犯(証拠隠滅など、犯行後に犯人の利益を図る行為)くらいではある。

カンニング竹山:はい。

小田嶋隆:「こんなの、ニュースバリューないよ」って言って、見識のある新聞記者なり、テレビのディレクターが、「この事件、ネグレクトしましょうよ」って言って、扱わなければ、そもそも事件にすらならない。

カンニング竹山:はい。

小田嶋隆:新聞で言えば、三行記事ですよ。ベタ記事ですよね。それも、(ニュースに)何故なっちゃうのかって言えば、圧倒的に面白いからですよね(笑)

カンニング竹山:絵的にね。映像もあるし。

小田嶋隆:取材もやりやすいし。数字も取れそうだしってことで、扱ってしまう事件で。だからって、これは非常に大きな害悪があるのかどうかで言えば、模倣犯…似たような目立ちたがりの子が、似たような動画をYouTubeにアップするために、事件を起こすかもしれないってことで、若干の問題がありますけど。

カンニング竹山:うん。

テロリストの要求に応えてしまう害悪

小田嶋隆:もっと話を大きくすれば、メディアが犯人の要求に応えてしまう、目立ちたいって願望を実現してしまうということで。たとえば、テロ犯が身代金や仲間の釈放を要求したりするじゃないですか。

カンニング竹山:はい。

小田嶋隆:あの要求に応えてしまっていた時代がありまして。1977年 ダッカ日航機ハイジャック事件っていうのがありまして。

カンニング竹山:はい。

小田嶋隆:福田赳夫さんが首相だった頃。赤軍派が、仲間の犯人の釈放と600万ドルを要求して、丸呑みして収監中だった9人を釈放して、600万ドル支払って。そこだけだと、1人も血が流れなくてめでたし、めでたしに見えて、大非難は浴びなかったんです。

カンニング竹山:うん。

小田嶋隆:やむを得ない処置で、超法規的措置でしょうって言われてたんですけど、結局、それから釈放に応えた事件がいくつかあって。

カンニング竹山:ええ。

小田嶋隆:70年台の終わりから80年台にかけて、ハイジャックが頻発したんですよ。

カンニング竹山:うん。

小田嶋隆:それこそ、ミュンヘン・オリンピックの頃。それから、テロリストの要求に応えることは絶対にあってはならないってことが共通理解になって。人質が亡くなる場合もあるんだけど、それを押して突入する。この間のフランスのヤツもそうですね。

赤江珠緒:ああ。

小田嶋隆:それでこそ、模倣犯を防ぐ、連鎖テロを防げる。とにかく、テロリストにエサを与えるってことは、非常に良くない、と。

カンニング竹山:うん。

サザンオールスターズ・桑田佳祐の謝罪

小田嶋隆:もう一個、話を広げて…サザンの桑田さんが謝ってしまったでしょ?全然違う話に見えるかもしれないけど、私はとても似た話に見えてて。クレームを言ったり、文句をつけたりする、あるいは抗議行動を起こす人達に対して、1担当者、レコード会社の人とかにしてみれば、謝ってしまうのが一番簡単なんですよ。

赤江珠緒:うん。

小田嶋隆:プレスリリース1枚、A4の紙出して謝れば、沈静化する。だから、個々の担当者レベルからすれば、何かあれば、真っ先に炎上が広がる前に謝ってしまえば一番良いんだけど、それをやってしまうと、彼らにエサを与えてしまう。謝った達成感を与えますから。

カンニング竹山:たしかにね。

小田嶋隆:そうすると、高々、10~15人の抗議行動をやってる連中が、「サザンの桑田から謝罪を勝ち取った」っていうのは、彼らからすれば大成功ですよ。

赤江珠緒:うん。

小田嶋隆:去年あたりから、こういうことは続いてまして。朝日新聞の社会部のアカウントが、サッカーでブラジルとドイツの試合で、ドイツがブラジルに1-7で勝った。その時に、「0-7というスコアは、甲子園の地方予選でいえば、コールドを検討するレベルだ」みたいなことを書いて。それはからかったわけではないんですけど、「なんて失礼な」と。

カンニング竹山:うん。

小田嶋隆:「一国の代表に対して、言い方が失礼じゃないか」って声が殺到して。すぐに謝っちゃったんですよ。平謝りして取り消して。「こういうの、謝るの良くないな」って思ってたんですよ。きっと、担当者レベルで謝っちゃうのが簡単なんだけど、「からかう意図や、バカにするのではない。君たちの考え過ぎだ」って言って、2~3日荒れるかもしれないけど、やるべきだなって。

赤江珠緒:ああ。今、抗議する側の意見が、どうとでも大きくできますからね。

小田嶋隆:今回、桑田さんが謝ったのもね、ご本人は昔から色んなところで、色んな歌詞を書いて物議を醸したり、反発を受けたりってことは慣れっこの人で。

カンニング竹山:はい。

小田嶋隆:ご本人は屁とも思ってないかもしれないけど、謝っちゃった裏に…これは、私の憶測ですけど、どこに抗議が行ったのかって思うと、レコード会社かもしれない、あるいはプロダクションかもしれない。その辺は、苦情圧力に力のある人ですけど、協賛企業なんかの1つがこういう苦情があったりすると…また、抗議する人は、そういうところにクレーム入れるんですよ。

カンニング竹山:うん。

小田嶋隆:苦情に弱い企業って、「我々は協賛できません」なんて言いだしたり。そういうことがあったのかも知れないな、と。

赤江珠緒:そうですね。それで言うと、つまようじのニュースをずっとやるのも、巨悪に向かうより、一番簡単で、苦情がこないニュースではありますよ。

小田嶋隆:ですよね。根底にあるのは、事なかれ主義というのか。「面倒くさいから謝っといちゃった方が話が早いじゃないですか」ってことですよね。

赤江珠緒:なるべくクレームが来ないようなものを。

小田嶋隆:大きく見ると、一件一件では謝るのが良いんだけど、世間の謝罪のハードルを低くしてしまう。「あの時、朝日はああやって謝った。桑田さんも謝った。村上春樹さんも、タバコポイ捨てで謝って撤回した」ってことになると、何かがあって、「これ、けしからん」って言われた時に、「俺は謝らないぞ」って頑張るのが、凄く難しくなってくるんですよね。

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タグ : 小田嶋隆,カンニング竹山,

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