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爆笑問題・太田、小林秀雄の紹介する柳田國男『山の人生』の衝撃的な一節「ある囚人の話」

2014.08.15 (Fri)
2014年8月12日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題カーボーイ』(毎週水 25:00 - 27:00)にて、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が、文芸評論家・作家である小林秀雄の紹介する柳田國男の書籍『山の人生』の一節について語っていた。

山の人生


ある炭売りの男が、山の中で暮らしていた。その男が、炭を麓に売りに行くのだが、なかなか売れない。その日も売れずに帰ってきたが、痩せ細った子供たちに「今日も売れなかった」とは言えなかった。

部屋で寝ていると、庭からはナタを研ぐ音が聞こえた。長男がナタを研いでおり、「お父ちゃん」と呼び止めた…という話だった。その凄まじい結末に衝撃を受けた小林秀雄は、「こういう話を『序文にかえる』とした、柳田さんの気持ちが分かるかい?」と語っているという。

『山の人生』の出版された当時、自然主義文学といって田山花袋が出現してきたことを受け、「なんだくだらない恋愛みたいな話をね。どっかの女の子と仲良くなって布団に入って、女の子が出て行った後に、その残り香した…みたいな。くだらない。どうでも良い話で、それが心理描写だなんだって偉そうに言いやがって。恋愛なんてとるに足らないことをエバってた頃です。その時、柳田國男さんは、『何をやってんだ、君たちは』と。恋愛がどうしたこうしたってくだらない」と語っていたそうだ。

この語りを聴いて太田は、「柳田さんは、そうは言ってないんだよ。小林秀雄は、そこが長いんだよ」と苦笑しつつ言っていた。

太田光:小林秀雄さんっていう、私が大尊敬する哲学者ですけども。その人の講演の音源をよく聴いてるんですよ。

田中裕二:はい。

太田光:小林秀雄さんは、科学にも物凄い詳しいんですよ。専門的な知識もいっぱいあって。文学、思想、精神哲学も研究してて。

田中裕二:うん。

太田光:アンリ・ベルクソンっていう、大変な人がいて。その人と、本居宣長っていう、我々なんかのレベルなんかじゃ分からないんですよ。

田中裕二:うん。

太田光:直接読んだって分からないんですよ。でも、小林秀雄さんは解説してくれて。それでも難しいんですよ。講演でよく言うんですよ。「私は、よく講演が難しいと言われるんです。でも、当たり前なんです。難しいことを言ってるんですから。『難しい』っていうのは、しょうがないんです。そういうものっていうのは、難しいんです。当たり前なんです。簡単なことを言ってるわけじゃないんですよ」って言うんです。

田中裕二:うん。

太田光:小林秀雄さんが、『遠野物語』の柳田國男先生を尊敬してて。「あの人は、立派な人ですよ」と。

田中裕二:うん。

太田光:『山の人生』という本がありましてね。それをたまたま、小林秀雄さんが読み返したところ、その「序文にかえる」って物語があるんですよ。

田中裕二:うん。

太田光:それは、ある囚人の物語で。その囚人がなんで捕まったかっていうと、山の中で暮らして、炭を売ってるんですよ。

田中裕二:うん。

太田光:それで、息子が14歳くらいで、養女に女の子、同じ年くらいの子をもらって。奥さんは他界しちゃってて。

田中裕二:うん。

太田光:炭が売れないんだって。麓に行っては、炭を売って。親子3人で飯を食ってるんだけど。でも、その日もやっぱり売れなくて。子供はひもじくて痩せ細って。親父さんは売れずに帰ってきて。あまりにも子供が可哀想で。「売れなかった」って言えなかった。

田中裕二:うん。

太田光:それで、庭に子供がいたんだけど、会わないようにして自分の部屋に入って、昼寝しちゃったんだって。そしたら、庭からナタを研ぐ音が聞こえてきたっていうんだ。

田中裕二:うん。

太田光:それで見たら、息子がナタを研いでて。息子は「お父ちゃん」って呼んで。おもむろに息子と娘が、丸太に転がったんだって。「お父ちゃん、このナタで俺たちを殺してくれ」っていうんだよ。

田中裕二:うん。

太田光:その時に炭焼きの男は、いてもたってもいられず…目の前が暗くなって、ハッと我に返ったら、2人の首を落としてたっていうんですよ。

田中裕二:うわ…

太田光:それで、フラフラと麓を歩いてるときに、捕まった、と。そういう囚人の話なんですよ。

田中裕二:うん。

太田光:「こういうことを書いて、『序文にかえる』っていう柳田さんの民俗学。こういう感受性、こういう話こそが人生じゃないか」と。

田中裕二:うん。

太田光:「こういう話を『序文にかえる』とした、柳田さんの気持ちが分かるかい?」と。その本が出た当時、ちょうど自然主義文学といって、田山花袋だなんだって出てきて。

田中裕二:うん。

太田光:「なんだくだらない恋愛みたいな話をね。どっかの女の子と仲良くなって布団に入って、女の子が出て行った後に、その残り香した…みたいな。くだらない。どうでも良い話で、それが心理描写だなんだって偉そうに言いやがって。恋愛なんてとるに足らないことをエバってた頃です。その時、柳田國男さんは、『何をやってんだ、君たちは』と。恋愛がどうしたこうしたってくだらない」って。柳田さんは、そうは言ってないんだよ(笑)小林秀雄は、そこが長いんだよ(笑)

田中裕二:ずっと言ってるんだ(笑)

太田光:「くだらない。そんなどうでも良いことを書いてどうすんだって気持ちがあったんじゃないかって思います」って言うんだよ(笑)俺はそういうのをずっと聴いてるんです。

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タグ : 爆笑問題,小林秀雄,太田光,

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