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爆笑問題・田中×久米宏の討論「バラエティ番組はつまらなくなったのか」

2014.02.22 (Sat)
2014年02月22日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『久米宏ラジオなんですけど』(毎週土 13:00 - 14:55)にて、お笑いコンビ・爆笑問題の田中裕二(以下、田中)がゲスト出演していた。そこで、同番組のパーソナリティである久米宏(以下、久米)と、「バラエティ番組はつまらなくなったのか」ということについて議論していた。

ザ・ベストテン 1980-81
ザ・ベストテン 1980-81

真剣に観なくなったバラエティ番組

久米:最近…というかここ10年くらいなんですが、物凄い数のバラエティ番組が増えてるじゃないですか。

田中:はい。

久米:バラエティ番組と一口に言っても、何をバラエティ番組って言ったらいいのか分かりませんが、凄い数でしょ?制作費を安く上げて、視聴率がとれて…ってことで、こういうことになってしまうと思うんですけど。

田中:はい。

久米:僕が「これは面白い」っていうバラエティ番組は、そうは無いんですよ。数えるくらい。

田中:はい。

久米:あと、一応観るんですけど、「なんだよコレ」っていうのが多くて、その渦中にいる爆笑問題としては、どう思います?

田中:たしかにね…。僕も家でテレビを観る時は、あまり観ないです。バラエティ番組を観る方としては。スポーツ中継だったり、ニュース的なものを観るんですけどね。

久米:うん。

田中:1個ヒットすると、それと同じようなバラエティ番組が増えるって傾向があるじゃないですか。

大衆化するための編集

久米:バラエティ番組は、ほとんど収録でやってるって知ってますから、1人1人のタレントさんが、「ここは編集させないぞ」って、気迫のこもった考え方、あるいは発言の仕方が分かってしまうわけですよ。

田中:はい(笑)

久米:「こういう言い方をすれば、ここを編集しないだろう」っていうのを、読んで発言しているってことが分かってしまうと、あまり面白くないんですよね。「思わず言ってしまった」というような、編集されてしまったつまらない発言の方が、面白い可能性があるんですよね。

田中:あぁ。

久米:編集マンが、編集してしまったところこそに宝が埋まってるのに、そういうところでなく、大勢の人が面白がるってところを残してるだろって編集をされてしまうと、9人中、1人しか面白いって思わないものを、何か宝物をとっておいてくれるっていう編集をしている人は、少ないんですよ。それも不満の種なんです。

田中:なるほど、それはあると思います。ただ、一般の視聴者の方は、そういうことは分からないので、そっちをとるのは仕方ないと思いますけどね。

久米:それは分かりますよ。収録の番組、いっぱい出たことあるから。そうすると、「ここはカットされるだろうな」って思うんですよね。話ながら。

田中:虚しいですよね(笑)

久米:「ここはカットされるだろうな」って思ったら、結論を早めたりね(笑)そういうの分かってるから、生放送の方が好きなんですよ。

田中:はい。

久米:バラエティ番組自体は、物凄い多い。

田中:そうですね。昔は曜日ごとに「欽ちゃんの番組」とか「ドリフの番組」とか、『ザ・ベストテン』があって…とか、週に1回、2回、決まった番組を観るって感じでしたけど、今はつけておいて、ザッピングしながらって時代ですから。1時間番組を最初から最後まで観るっていうのは、少ないですもんね。

「環境ビデオ」の役割化するバラエティ番組

久米:僕はね、テレビのことも心配で、バラエティ番組のことを考えてるんですけど、若い人、若くない中年の人も多いのかな。家族がいなくてね、一人で外で契約で働いて帰ってきて、家の中が無音じゃないですか。とりあえずテレビをつけると、大勢が出てて賑やかな番組を選ぶって気持ちは分かるんです。

田中:はい。

久米:なんだか分からないけど、ザッピングして大勢がいる番組を選んで、少しボリュームを大きくしておいて、手を洗って食事の支度をするなりなんなりして…つまりは、自分が寂しくならないようなボリューム、大勢の顔ぶれのためにテレビをつけておいて、何を喋ってるか問題じゃないようにしている視聴者が多いとしたら、これは僕は自殺行為だと思うんですよ。テレビとは、そういうものではないから。

田中:うん。

久米:それなら、環境ビデオとかのほうが、よっぽど良いわけじゃないですか。

田中:うん。

久米:僕が面白いと思えないバラエティ番組を、観ている景色を想像すると、余計に悲しくなるんですよね。

田中:はい。

久米:それは出演していて、どう考えてます?

田中:そこまで考えて、収録には望んでないですけども(笑)

久米:ふふ(笑)爆笑問題のことはね、社長の光っちゃんのこともあるから、それこそ厳選して出てるっていうのは分かってるんですよ。

芸人の技量

田中:今の芸人さん、若手芸人も含めているじゃないですか。才能というか、レベルはとんでもなく上がってるんですよ。

久米:うん。

田中:もちろん、多いから。ジャンルとして、お笑いの裾野が広がったから、昔だったら「え?漫才師なんかになるの?」っていうのが、今や人気ですからね。

久米:中高生に訊くと、吉本NSCとかも人気だし。

田中:僕らが子供の頃に観ていたバラエティ番組より、面白さでは上回ってると思うんですよ。

久米:うん。

田中:今の若い人たちの、ギャグの内容なんかの若い話題にはついていけなくなってくるんでしょうけども、今、観ている人たちは、物凄い面白がって観ていると信じてるんですけどね。

久米:うん。

田中:ながらで観ている人はいっぱいいますけど、バラエティでも人気のある番組は長く続くし、視聴率も良いんですよ。だから、そこはちゃんと内容を観て笑って、面白い。今週も観ようって人は、まだいっぱいいると思います。だから、そんなに悲しまなくて良いと思いますよ。

最後には「人」が試される芸人

久米:若い芸人さんのレベルが上がってるって話ですけど、そこなんですよね。瞬間的に面白いギャグを飛ばしたり、漫才やコントをやって物凄い面白いグループがいっぱいあるっていうのは、知ってるんです。

田中:うん。

久米:ただ問題は、その芸人たちは「1年間生きられればそれで良い」ってことじゃないんです。本来なら、生涯の職業として、お笑いなり漫才なりコントなりをやっていくべきだと思うんですけど、段々、観ている方の人間は、芸も観てるんですけど、芸60%、人40%で観ているってことになってくると思うんです。長い間観ていると。

田中:はい。

久米:爆笑問題が面白いことを言った/言わない、それも重要ですけど、問題は、太田と田中っていう人間の生き方がそれぞれ面白いかどうか。1988年からやってて、一回、干されてコンビニで働いてて…とか(笑)そういう「人が面白い」っていうのが、最後に辿り着く芸だと思うの。

田中:はい。

久米:だから、今の若い人たちの芸が面白くても、その人が5年10年やって、そいつがつまらない時でも面白いって思わせる。舞台の上ではつまらなくても、「こいつの10年間を見てきた人にとっては、舞台にたってつまらないことを言ってることも、面白い」っていうのが、本当に芸人が辿り着くべき場所だと思うんだよ。

田中:いわゆる、落語家さんの大御所の名人みたいな人は、その境地だって聞きますけどね。ただそれは、そうなったら凄いんですけど、その間、どうしてもウケたいんですよ。

久米:はっはっはっ(笑)

田中:何か笑わせようとして、シーンとしたりスベるって恐怖は、めちゃめちゃあるんで。

久米:僕もあります。芸人じゃありませんけど(笑)

田中:目先だけです。明日どうでも良い、今日ウケたいってなっちゃいますから。それはサガですから。たとえば若手が出てきて、「一発ギャグで1年で消えるよ」なんて言われたりする。でも、それはやりたいんです。出し惜しみして、別の方法で10年なんとかもたせて…なんて余裕は無いです。

久米:うん。

田中:生放送だろうが収録番組だろうが、お客さんもいて、出演者もいますから。その人達にウケたいんです。どんだけ笑ってくれるかって。

久米:凄い分かる(笑)人間だもん、当たり前だよ。

田中:瞬間瞬間ですから。結果、長く続いてそういう境地にいったら、それは素晴らしいですけどね。そうなりたいですけどね。

久米:その気持は分かるんだけど、芸人マシーンみたいになっちゃった人は負けると思うんですよ。人間っていう自覚をどこかの隅で持っていて、「マシーンでない。人間なんだ」って意識を持ってる芸人さんが、結局は勝つと思うんだ。

田中:あぁ。

久米:マシーンになったら、やっぱりマシーンにすぎないからね。

『ザ・ベストテン』という番組

田中:俺は、今までのテレビ番組で、『ザ・ベストテン』が一番好きなんですよ。なんで好きなのかと言えば、やはりそこなんでしょうね。久米さんと徹子さんって人間が出てきちゃうじゃないですか。そして、ドキュメンタリーじゃないですか、生放送で。それで歌はメインであるんだけど、全部総合して、アレが一番面白いんです。

久米:この間、山田脩二っていうのが亡くなりまして、ここの局で追悼特番やってたんですけど、久々に観たんですよ、『ザ・ベストテン』。面白かったもんね(笑)

田中:そうですよ。本当に面白いんですよ。

久米:「こんな面白い番組、やめなければ良かった」って思って。

田中:なんでやめたんですか?

久米:『ニュースステーション』が始まるから(笑)生放送で、こんなことやってたんだって、本当に思いましたね。

田中:アレを越えられるのは、なんだろうって。お笑いだから、また違いますけど、ああいう番組ができたら一番幸せなんですよね。

久米:テレビの機能を最も活かすには、どうすればいいかってことだと思うんですけど、情報歌番組にしようってことだったんですけどね。今からだって、出来ないはずはないんですよ。機材は進歩してるんだから。

田中:機材的にはできるんですけど、中身の問題でしょうね。ランキングに従ってくれたり、出てくれたりとか。そこがね。

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タグ : 爆笑問題,田中裕二,久米宏,

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